「権威者がいない空間」…台湾の敏腕デジタル担当大臣オードリー・タンが語った、インターネットが繁栄した納得の理由
強制せずに協働する方法
このように、ウェブ上ではいろいろな団体組織の集合体のもてる力が最大限に発揮されていて、それは通信事業者にとどまらず、アプリケーション開発者も含まれます。 たとえばオンライン会議のためのソフトウェア「Webex」。これを開発したのは業務用ルーターの多くを販売しているシスコシステムズというアメリカの企業ですが、あなたの手持ちのルーターがシスコ製品であってもいいし、他のベンダー製品であってもかまわない。誰もがWebexを使用できるし、独占する必要などありません。 私はオンライン会議の際、Webexを使うこともありますし、ブラウザから参加していることもある。その場合に便利なのが「WebRTC」です。 WebRTC(Web Real Time Communications)の名前のとおり、ブラウザでリアルタイムコミュニケーションを可能にするオープンフレームワークですが、この技術の開発に、どれだけ多くの人が参加しているでしょうか? それでも誰かが何かを独占することはありません。FirefoxだろうとGoogle ChromeだろうとMicrosoft Edgeだろうと、Webブラウザさえあれば、一方に何かを押しつけることなく協力することができます。 この強制を伴わずに協働するやり方こそ、さまざまな成果を生み出すのは明らかです。 『「市民に開かれた政治を」…日本では絶対にあり得ない“オープンな政治”を台湾が実行できた納得の理由』へ続く
語り)オードリー・タン