路線バス「さらに減便あり得る」 富山地鉄、1日から大幅減 中田社長インタビュー
●運転手の残業規制が拍車 10月1日付で路線バスの大幅な減便を行う富山地方鉄道(富山市)の中田邦彦社長が富山新聞社のインタビューに応じ、今後のバス運行について「運転手の不足が解消できなければ、さらなる減便があり得る」と明らかにした。現在は運転手経験のある管理職などもハンドルを握って運行体制を維持しているとし、公共交通をめぐる環境の厳しさを強調した。 【写真】1日から大幅な減便を行う富山地鉄の路線バス=富山駅 中田社長はこれまで、運転手の残業や休日出勤でダイヤを維持してきたが、4月の時間外労働(残業)の上限規制により難しくなったとし、「(バス路線を)切りたくて切っている訳ではない。従業員の負担が限界を超えている」と理解を求めた。 減便するのは県内36路線で平日80便、休日25便。通勤・通学の時間帯となる朝夕は極力維持し、利用率の 低い日中の本数を減らす。中田社長は「東日本大震災以降、慢性的に運転手は不足している。今回の減便後もひっ迫した状況は変わらない」と話した。同社の運転手は定員219人に対し、8月末時点で183人と充足率は83・6%にとどまる。 ドライバーの残業時間が規制されて人手が回らなくなる「2024年問題」で状況はさらに厳しくなり、中田社長は「生活路線が最優先」と今年に入り、貸し切りや高速バス路線の減便にかじを切った。 高速バスでは3月に、北陸鉄道(金沢市)と共同運行する富山―金沢線の廃止を皮切りに、4月は京都・大阪線を1日2往復から1往復に減便。7月には主要路線の名古屋線4往復減らして1日10往復にした。学校の修学旅行での貸し切り需要に応えるため、一時的な運休も行ってきた。 人員を確保すべく対策も講じている。3月には運転手の体験会を5年ぶりに開催したり、運転手として入社した対象に貸し出す「入社支度金」を、従来の30万円から100万円に増額したりした。ただ、支度金制度が終了した8月末で採用に至ったのはわずか3人と、思うような結果につながっていないとの認識を示した。 ●最終益3期連続黒字 一方で、バスだけでなく、鉄道や市内電車も含めた会社全体の最終利益は3期連続で黒字と、明るい兆しも見えている。