EURO名場面 攻めるオランダ、守るイタリア...欧州サッカーの真髄を見た
後日談をもうひとつ。EURO2000の直後、バルセロナが新シーズンに向けてオランダで合宿を張った時のことだ。PKの練習でフランク・デ・ブールがボールをセットすると、選手仲間からいっせいにヤジが飛んだ。「トルド、トルド、トルド......」。デ・ブールは勘弁してくれと苦笑い。周囲は大爆笑に包まれた。トルドがオランダのPKを5本止めたイタリア代表のGKであることは言うまでもない。 優勝は決勝でイタリアを破ったフランス。だがオランダ対イタリアの準決勝は、それほどインパクトがある一戦だった。「サッカーってスポーツは、攻めていればいいってもんじゃないんですね」。日本に帰国し、サッカーにあまり詳しくない知人からそう言われ、筆者には返す言葉がなかった。 UEFA選定ベストイレブンは以下のとおり。 GKフランチェスコ・トルド(イタリア)、DFリリアン・テュラム、ローラン・ブラン(ともにフランス)、パオロ・マルディーニ、ファビオ・カンナバーロ(ともにイタリア)、MFエドガー・ダービッツ(オランダ)、パトリック・ヴィエラ、ジネディーヌ・ジダン(ともにフランス)、ルイス・フィーゴ(ポルトガル)、FWパトリック・クライファート(オランダ)、フランチェスコ・トッティ(イタリア)。
杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki