アメリカ軍、2つの基地に対ドローンシステムを展開…相次ぐ目撃情報に対応か(海外)
アメリカ軍は最近、ニュージャージー州の基地周辺でドローンの活動が確認されたことを発表した。 【全画像をみる】アメリカ軍、2つの基地に対ドローンシステムを展開…相次ぐ目撃情報に対応か 国防総省は2024年12月17日、2つの基地にドローンに対して対策を配備したことを明らかにした。 これらのシステムのうちのひとつは、ドローンバスターと呼ばれる手持ち型の電子戦ツールだと特定されている。 アメリカ国防総省(Department of Defense)は、ニュージャージー州にある2つの軍事基地にドローン対策を配備し、無許可で侵入してくるドローンから空域をより効果的に防御するための対策を取ったという。アメリカ国防総省が具体的に名前を挙げたシステムのひとつは、「ドローンバスター(Dronebuster)」という名前が付けられている。 アメリカ軍は2024年12月、ニュージャージー州にある軍事基地のピカティニー・アーセナル(Picatinny Arsenal)とアール海軍武器基地(Naval Weapons Station Earle)でドローンを目撃したほか、オハイオ州のライト・パターソン空軍基地(Wright-Patterson Air Force Base)でも複数の目撃事例があったと発表している。一時的にドローンが原因で基地内の領空を閉鎖する事態も発生した。統合参謀本部の報道官は、基地上空でのドローン活動は新たな問題ではないとしながらも、一部の最近のドローンの事例を「無責任な行為だ」と批判している。 最近のドローンに関する騒動、特に軍事基地付近で確認されている未確認航空機に対しては、撃墜を求める声が繰り返し上がっている。 2024年12月中旬、国防総省は、「無許可のドローンが悪意ある活動を行っていると判断された場合、指揮官はこれらの無人システムに対して適切な措置を講じる権限を有している」と述べたが、「明確かつ差し迫った危険」がない限り、軍は物理的な対応は取らないと報道官は付け加えている。 元々、軍事基地にはドローンの侵入に対処するための能力が備わっているものの、新しい技術を投入することが潜在的な脅威の緩和に役立つことを国防総省は認めている。 アメリカ国防総省の報道官であるパトリック・S・ライダー(Patrick S.Ryder)は、アメリカ軍はピカティニー・アーセナルとアール海軍武器基地に「即応型検出と状況認識」と「無人機対策」の能力を展開していると述べた。 2024年12月17日、ライダー報道官は記者団に対し、これらのツールのひとつとして、「ドローンバスター(Dronebuster)」を挙げた。これは新しいタイプのドローンに対し、「非物理的手段を用いてドローンの信号を妨害」し、機体の運用能力に影響を与える技術を使用しているという。 ピカティニー・アーセナルは配備したシステムについての詳細は明かさなかったが、「無人機侵入を検知し、その影響を軽減するための能力を強化している」と述べた。Business Insiderはアール海軍武器基地と連絡が取れなかった。 ドローンバスターは、アメリカのフレックス・フォース(Flex Force)社によって開発された携帯型電子戦システムだ。2016年に初めて運用が開始されたこの軽量なデバイスは、ドローンに向けて使用すると信号が発信され、ドローンとその操縦者との接続が遮断される。このシステムは、さまざまな軍事機関で使用されている。 アメリカ陸軍は、ドローンバスターをスマートシューターシステムと組み合わせて使用し、兵士にドローン対策の訓練を行っている。スマートシューターとは、ドローンを追跡し、その動きを計算して、弾丸で命中させるタイミングを教えてくれる特別な光学機器を備えたライフルだ。Business Insiderはこの訓練をアメリカ陸軍の新しい教育機関であるジョイントC-sUAS(小型無人航空機システム対策)大学で直接見学している。この大学はオクラホマ州のフォート・シル陸軍基地にある。 アメリカ軍だけでなく、セキュリティ担当者や緊急対応者も脅威に直面した際、ドローンバスターを携帯型のジャマーシステム(特定の無線通信を妨害する装置)として使用できる。このジャマーは年々進化しており、初期のモデルと比べて数倍強力になっており、さまざまなドローンの作戦に対応できるように耐久性も向上している。 ライダー報道官はドローンバスターについて、「必要に応じてドローンを非物理的手段で飛行を停止させることができる」と説明している。 軍にとって、ドローン技術が普及する中、ドローンに対して強力な力を維持することはますます重要になっている。だがドローンの低コスト化によって、趣味で使う人や悪意のある人も簡単に手に入られるようになっている。中東の戦闘では、テロリストや反乱軍が小型のドローンを武器化して使用し、ウクライナ戦争では数百ドル(数万円)で購入できる安価な市販の趣味用ドローンは、監視から、非常に高い精度での攻撃まで、さまざまな用途で使用されている。 アメリカの基地周辺でのドローンの動きは、長年アメリカ軍にとって問題となっており、ニュージャージー州やオハイオ州の事例に限ったものではない。
Jake Epstein