「カシオワールド」で賞金王を決めた中島啓太! 突然天国に旅立った幼なじみが"力"をくれた 優勝はプロ12年目の鍋谷太一
国内男子ツアー「カシオワールドオープン」最終日、単独4位でフィニッシュした中島啓太が1試合を残して、自身初の賞金王を決めた。23歳での戴冠は石川遼(18歳、2009年)、松山英樹(21歳、2013年)に続く、ツアー史上3番目の年少記録。昨年9月のプロ転向から1年3カ月で日本ツアーの頂点に立った。
前日に母親から幼なじみの訃報を聞いて……
今大会の開幕時点では5人に賞金王の可能性が残されていたが、最終日の終盤になって争いは賞金ランクトップの中島と同2位の金谷拓実に絞られていた。 金谷の側から見れば、最終戦に望みをつなぐには中島の上を行くしかない。 逆に言えば、中島は金谷と同じ順位で終われば、戴冠が決まる。
「もちろん優勝を目指していたんですけど、終盤になって追いつけないことは分かっていたので、18番(パー5)はイーグルを取って金谷さんとの差をつけたいということだけを考えていました」 そんな思惑通り、グリーン右から12ヤードの3打目を60度のウェッジで沈めてチップインイーグル。 最終組で回る金谷はまだホールを残していたが、中島は賞金王争いの決着を確信したように両手を突き上げた。 前日の夕方に母親から先日幼なじみが亡くなったことを伝えられた。 「全然会えていなかったんですけど、僕のゴルフを応援してくれていることは知っていたので、天国から見守ってくれているような気持ちでした。最後のイーグルも実はちょっと左に跳ねたんですけど、最後にスライスして入ってくれたので、あれは自分の力じゃないと思います」 幼なじみのためにも、ここで賞金王を決めたいという中島の思いが込められた一打でもあった。
来シーズンは海外に主戦場を移す
賞金王と呼ばれることを素直に「嬉しいですよ(笑)」としつつも、まだまだ気を緩めるつもりはない。 「自分は今週勝てなかった選手なので、来週勝ちたいと思っているので、まだ喜ぶのは早いと思っています」 その先に控えるPGAツアーの下部、コーンフェリーツアーのQTに向けても「志高くやっていきたいです」と言葉に力を込めた。 下部ツアーのQTではあるが、トップ5に入れば“飛び級”で米ツアーの出場権が得られる。 賞金王になったことでDPワールド(欧州)ツアーの出場権を獲得しており、いずれにしても来季は海外に主戦場を移すことになる。