企業のPRイベントはおいしい? 芸能人が呼ばれる理由 芸能人が行く理由
連日、テレビ番組の芸能情報のコーナーやスポーツ紙、Webニュースなどで取り上げられる芸能人をゲストに招いたイベント。商業施設の集客や企業の商品PRのために行われることが多く、起用されるタレントは、マスコミが注目している旬の人物であることが鉄則だ。どんなに商品テーマに沿った専門家を呼んでも、知名度がなければあまり集客は望めないが、マスコミや世間的な関心を集めている人物を呼べば、それだけで集客力は大幅にアップする。
イベントの成否は、いかにマスコミを呼び込めるかにかかっている
企業の発表もののイベントの成否は、マスコミをいかに呼ぶかにかかっている。ネットやテレビ、新聞、雑誌などにいかに露出させるか、そのために旬の芸能人を呼ぶわけだが、前述のような理由から、必ずしもその商品をサポートしているとは限らない人をゲストにする場合もある。マスコミが注目する話題のタレントを呼ぶと、それが地味な商品のPRイベントだったとしても、芸能人につられて多数の媒体から取材陣が集まることが期待できるのだ。 ひと昔前は、叶姉妹がこの類のイベントで引っ張りだこだった。それこそ毎週のように……いや、週に複数回、叶姉妹が登壇するイベントがあり、つど取材に出かけたものだが、写真集やDVDなど自身が出演している商品のPRイベントのみならず、CMにも出ていないお菓子のPRだったり、なんていうことも多かった。 「よくあるのが、ガス展。調理器などガス機器を売るためのもので、そこにタレントを呼び、プレゼントの引換券も出す。あるいは、実際に商品を見せることに効果のある住宅展示場のイベントなどでも、タレントを呼ぶことによって集客がアップすれば、それだけ多くの人に見せることができるわけです」とはPR会社の広報スタッフ。
PRイベント企画に大切なこととは?
また、芸能人をゲストに招くイベントは毎日何社もの企業が実施している。マスコミの数も限られているため、できる限り競合するイベントの少ない日をにらんでスケジュールを立てる工夫も求められる。つまり、同日に似たようなイベントが5つあれば、マスコミもそのうち3つは行くが2つは落とすかもしれない。これが、もし同日に芸能イベントが一つしかなければ、おのずと芸能マスコミが集中してきてくれる可能性があがる。その辺りの情報収集力も、企画を立てる側、イベンターには必要なスキルだ。 「今週の金曜なんですけど、芸能のイベントって多いですかね?」 そんな電話がPR関係者から馴染みの記者にかかってくることも多い。 準備万端整え、マスコミ各社に取材案内のプレスリリースを配りはしたものの、イベント日が近づくにつれて取材申請の数が少ないようなら、競合イベントが多かったり、ゲストに呼んだ芸能人が今ひとつパンチ不足なのかもしれない。その際にはPR会社からマスコミ各社に個別に電話をかけ、ぜひ取材に来てもらうよう働きかける……といった地道なロビー活動も展開される。
タレント側にもメリットが
一方、タレント側にしてみれば、通常のトークショーなどと違って、あまりしゃべらなくて済むし、MCの質問にただ答えるだけということも多い。会見の時間はトータルでせいぜい30分弱というところ。拘束時間も短い。それで一本100万円のギャラも夢ではないので、営業としては非常にいい案件なのだ。また、CMと違い、イベントに担ぎ出されただけであれば、イメージが固定化しないのも利点だ。 これからも、この蜜月関係は続くだろう。 (文・志和浩司)