「横浜DeNAは最善の防御を怠った」セーフティースクイズ&1秒40の隙を突く重盗を仕掛けた巨人の阿部采配と危険な“綻び”を見せた三浦野球
大きくテイクバックを取るサブマリン中川のクイックは1.40秒を超える。名将として知られる故・野村克也氏が、阪神監督時代にチームに配った「ノムラの教え」という教則本によると「1.30秒以上なら盗塁を仕掛けよ」とある。1.30秒が分岐点。データ的には、中川のクイックなら走れるのだ。後は勇気。増田は、試合後に「阿部さんも言っていたように思い切っていこうという結果がセーフにつながった。セーフになることだけを考えて、アウトになったらアウトになったときに考えようという気持ちでいった」と語っている。 隙を突かれた横浜DeNAは浮足立った。長野は、詰まらされてのボテボテの一塁ゴロ。増田も好スタートを切り、タイミング的にホームは間に合わなかったが、オースティンはボールを握り直してからバックホームし、しかも送球はワンバウンドになって戸柱は捕れず後ろへそらした。岸田までがホームイン。4-1として勝負を決定づけた。 4回の先制点もベンチの仕掛けで奪いとったものだった。 2番で起用した先頭の門脇が四球を選ぶと、カウント1-1から、門脇を走らせた。おそらく盗塁のサインだったと思われるが、今季対ジャクソンに打率5割、1本塁打と、相性のいい丸の打球がゴロでセンター前へ抜けた。無死一、三塁として、続く岡本はセカンドへの併殺打に倒れたが、その間に先取点をマークした。結局、この日の巨人はタイムリー無き4得点。ベンチワークで奪った4点だった。 「(3連敗中に)相手にプレッシャーをかけられていなかったというのもありましたし、失敗を恐れずね。どんどん動いていくぞと言ってあった。期待に応えてくれましたね」 試合後の阿部監督の発言がすべてを物語っている。 前出の評論家は「勝ち越しの流れを作ったのは7回のピンチを連続三振で切り抜けた元阪神のケラーであり、キーマンのオースティンのところで船迫からケラーに変えた阿部采配の冴えだったと思う」と指摘した。 阿部監督は5回までパーフェクトピッチングを見せた先発左腕の井上が6回に戸柱に同点本塁打を許すと、7回から船迫にスパッと代えた。しかも先頭の牧にセンター前ヒットを許し、続く佐野をレフトフライに打ち取ると、2試合連続で本塁打を打っているオースティンの打席で、ケラーにスイッチした。オースティン、宮崎と続く最大の要注意場面だ。試合後に阿部監督は「船迫が右打者のインコースに放れないこと」が理由だったと明かした。