「まるで詐欺」子育て支援金、年収600万円なら年2.4万負担増「言い回し変えた」増税に「どこが支援だ」批判殺到…しどろもどろ加藤こども大臣
4月9日、こども家庭庁は、少子化対策拡充の財源として公的医療保険に上乗せして徴収する「子ども・子育て支援金」について、衆院の特別委員会の理事会で、会社員らが加入する被用者保険の年収別の負担額を示した。元プレジデント編集長で作家の小倉健一氏が解説するーー。
日本の「少子化対策」が根本的に間違っているわけ
日本の「少子化対策」が根本的に誤っていることを、政治家、行政、エコノミスト、学者たちは早く学ばなければならない。 米国・ワシントン大学のInstitute for Health Metrics and Evaluation (IHME)が主導する研究活動【Global Burden of Diseases, Injuries, and Risk Factors Study 2021】(https://www.healthdata.org/research-analysis/gbd)にもとづく最新の分析によると、1950年以来すべての国で減少している世界の出生率は、今世紀末まで急落し続け、その結果、深刻な人口動態の変化が起こるという。 出生率は、1950年の4.84から2021年には2.23となり、2100年には1.59まで下がり続けることになる。 この調査の上席著者でIHME所長のクリストファー・マレー博士は、CNN(3月21日)の取材(https://edition.cnn.com/2024/03/20/health/global-fertility-rates-lancet-study/index.html)に対して、「教育や雇用における女性の機会の増加、避妊やリプロダクティブ・ヘルス・サービスへのアクセスの向上など、この変化には多くの理由がある」と述べている。
価値観の変化といった経済的要因のすべてが、出生率の低下に寄与
同様に、世界保健機関(WHO)のギタウ・ムブル博士は「子育てにかかる直接的なコスト、子どもが死亡するリスクの認識、男女平等や自己実現に関する価値観の変化といった経済的要因のすべてが、出生率の低下に寄与している可能性がある」と述べている。 安定した人口を維持するためには、女性1人あたり2.1人の合計特殊出生率で、この数字を下回ると人口は長期的に減少することになる。2021年には46%の国が出生率が、女性1人あたり2.1人の出生率を下回っており、これが2100年には97%に増加。今世紀末には世界のほぼすべての国の人口が減少することになる。 同分析において、下記のことも判明している。 1、育児補助金、育児休暇の延長、税制優遇措置など、一部の国が実施している出産促進政策の効果も調べた。その結果、出産促進政策が実施された場合、女性1人当たりの出生数の増加は0.2人以下であり、強力で持続的な回復を示唆するものではなかった。 2、子育て支援政策は、他の理由からも社会にとって有益かもしれないが、現在の人口動態の変化の軌道を変えるものではない。