米が高すぎる。命日にお供えもできない…白米好きの71歳夫死去→年金が月1桁万円に減額。「無念の71歳妻」に届いた、年金機構からの「緑の封筒」の中身【CFPが解説】
8月から続いた米不足。「令和の米騒動」ともいわれ、話題を呼びました。騒動は落ち着きをみせるものの、米の価格は高止まり。米に限らず物価高は、特に年金を収入の柱として暮らす高齢者への影響が大きいようです。本記事では、Aさんの事例とともに、物価高に苦しむ高齢者への救済措置についてCFPの伊藤貴徳氏が解説します。 【早見表】年金に頼らず「夫婦で100歳まで生きる」ための貯蓄額
年金激減の残された妻の生活
Aさん(70歳)は、夫を亡くしてから1年が経ちました。夫が亡くなってから、年金が大幅に減額されたことに毎日頭を抱えています。夫の生前、2人で受け取っていた年金は、月に合計14万円ほど。家賃や生活費をなんとか賄えるほどの金額です。しかし、夫の死後、Aさんが受け取る年金はおよそ7万円にまで減額してしまったのです。 Aさんは、「こんなに減るなんて思ってもいなかった」と話します。毎月の家賃や光熱費、そして食費を支払ったあとには、ほとんどお金が残らない状況です。これまで頼りにしていた夫からの年金収入がなくなり、自分1人の年金だけでは生活を続けることが難しいと感じるようになりました。 なぜこのように、年金が激減してしまうのでしょうか? 遺族年金の仕組み Aさんが体験したように、夫婦の年金額はいずれかが亡くなると変わります。特に自営業であったAさん夫婦の場合、Aさんは夫が生前受け取っていた年金は受け取ることができません。 結果、夫の死後Aさんが受け取る年金は自分の年金である月約7万円のみとなり、生活を維持するのが厳しい状況に追い込まれてしまいました。 Aさんは食費を調整し、光熱費もなるべく節約するなど、できる限りの対策を試みましたが、やがてそれだけでは限界があると気づきます。食費を抑えるようになったため毎日の食事は簡素になり、趣味だったガーデニングを楽しむ余裕もなくなりました。健康も心配でしたが、医療費を抑えたくて病院に行くことも控えるようになります。 一番無念だったことは、夫が生前なによりも好物であった白米を供えることができなかったことです。 「お米は高すぎるので、最近は食べていません。近所のスーパーでは、以前の2倍くらいの値段になっているので、とても手が届かなくて。命日なのに、夫に申し訳ない……」Aさんは涙します。