浄水場の水から有害性指摘「PFAS」 発表から1年…”発生源”活性炭所有者が取材に応じる【岡山】
岡山放送
岡山県吉備中央町の浄水場から国の暫定目標値を超える有機フッ素化合物PFASが検出されたと町が発表してから1年です。水の安全性を揺るがす問題はなぜ起きたのか。発生源とみられる使用済み活性炭を所有する地元の業者がOHKの取材に応じました。 (岡山大学 学術研究院 小松満教授) 「原因は資材置き場に置かれていた使用済み活性炭と考えることが妥当との結論に至った」 吉備中央町の円城浄水場から国の暫定目標値を超えたPFASが検出されたと町が発表してから1年。2024年9月、原因究明のための有識者委員会は「発生源は水源付近に置かれていた使用済み活性炭と考えることが妥当」と結論づけ山本雅則町長に報告書を提出しました。 (吉備中央町 山本雅則町長) 「この原因究明で原因者が特定されたと思っている。まずは第一原因者に誠意ある対応をしてもらう」 長年、円城浄水場の水を飲用水として利用してきた小倉博司さん。PFASの発生源とみられる活性炭が置かれていた資材置き場の近くの道をよく通っていたといいます。 (円城浄水場PFAS問題有志の会 小倉博司代表) 「水の汚染が明確になった時に、ここが原因だと全く予測しなかった。住民はおそらく10人中10人がここが原因と言い当てた人はいない」 約15年間、野ざらしで置かれていた大量の使用済み活性炭。県の調査により一部の活性炭からは目標値の9万倍のPFASが検出されました。PFASは発がん性のリスクなど健康への影響が指摘されています。 水の安全性を根底から揺るがす今回の問題の責任は一体、どこに。PFASを含んだ活性炭を野ざらしで置いていたのは地元の活性炭製造業者です。なぜこの場所に置いたのか、取材を申し込むと文書で回答が寄せられました。業者はあるメーカーから委託され性能の落ちた活性炭を再生する業務を行っていたといいます。 (活性炭製造業者の回答) 『性能低下炭の再生ビジネスにおいて急なオーダーにより再生が間に合わない場合などはメーカーへの納期順守のため新炭を使ってユーザーに収めるということが行われていました。弊社としては再生すれば販売できる資材であるとの認識から社内にこうした在庫が蓄積されていくことになりました。この蓄積した性能低下炭の置き場として町と土地賃貸借契約を締結し土地の使用を開始しました』 業者はメーカーから委託された使用済みの活性炭を工場で使える状態に再生し循環させていました。しかし納期まで時間がない場合、再生するのではなく新しい活性炭を納品していたため使用済み活性炭の在庫が溜まっていたといいます。 その、メーカーから渡された活性炭にPFASが含まれていることを把握していたか、という質問には。 『(メーカーから)説明はありませんでした。PFASが含まれている事実も把握していませんでした』活性炭にPFASが含まれていたと知ったのは問題が発覚した去年(2023年)10月、としています。そして、メーカー側に責任を問うか聞くと。 (活性炭製造業者の回答) 『コメントは控えます』 (円城浄水場PFAS問題有志の会 小倉博司代表) 「第一原因者である業者とメーカーの企業秘密もあるし、今のところその先は闇で誰も知らない。知らないことばかりで全国でばらまかれているとしたら早く止めて明らかにしないと被害がどんどん広がる」 県が2カ月に1回行うモニタリング調査では10月も資材置き場の近くから目標値の100倍を超えるPFASが検出されていて、これは問題が発覚した1年前よりも高い数値です。小倉さんは今後、国や町に規制や対策を求めるとともに活性炭を置いた業者や排出したメーカーなどにも責任を問う考えです。 (円城浄水場PFAS問題有志の会 小倉博司代表) 「住民が被った精神的な苦痛。特に若い夫婦は子供のことも含めてどうなるんだろうという将来に対する不安。我々は(問題を)放置して、自分たちだけが被害者として泣き寝入りすることは考えていない」 活性炭を置いた業者は被害を受けた住民に向けてこうコメントしています。 (活性炭製造業者の回答) 『住民の方々に多大の不安を生じさせてしまったことについては誠に申し訳なく思っております。弊社の責任について真摯に検討していきたいと考えております』
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