コスパが悪い? 結婚ほど不確実なものはない

2015年9月10日(木)11時1分配信

結婚は愛かコスパか

2015年、「婚活」が死語になる。

よりよい結婚をするためにする、合コンやお見合い、自分磨きなどの活動を指す「婚活(結婚活動)」は、2009年にブームを巻き起こし、新語・流行語大賞にもノミネートされた。「婚活しなければ結婚できない」という焦りから、「モテ力」や「愛されスキル」を必死に研究し、年収や容姿といった相手のスペックを見極めようと血眼になった末に、私たちは悟った。

結婚で、人生はアガらないのだ、ということを。
(Yahoo!ニュース・AERA編集部)

時間をやりくりしてまで会いたいと思えない

週刊誌AERA(朝日新聞出版)は2015年6月22日号で 結婚はコスパが悪いという特集を組んだ。努力すれば報われる仕事や趣味と違い、恋愛や結婚は不確実な要素が多い、という内容だ。記事に登場した独身の会社員男性(31)は、働きながら大学院に通うなど、努力して成功体験を積み重ねてきた。2年間で6人の女性とデートしたが、いずれも一度きり。

「どの人もピンとこなかった。忙しい時間をやりくりしてまで、また会いたいと思いませんでした」

結婚しても人生はよくならない。それどころか不確定要素が多すぎる。だからなのか。結婚を選択しない人たちが増えている。

国立社会保障・人口問題研究所の統計によると、50歳の時点で一度も結婚していない人の割合を示す生涯未婚率は2010年、男性20.1%、女性10.6%。男女とも2000年からほぼ倍増し、過去最高となった。

彼からのプロポーズをスルー

美容系の会社でマネジャーを務めるミキさん(39)には、付き合って2年になる彼(38)がいる。半年前から同棲を始めた。今年8月、彼に言われた。

「そろそろ結婚しようか」

返事はしていない。

ミキさんは、サラリーマンの父親と専業主婦の母親に育てられた。二槽式洗濯機がいつの間にか全自動になり、一戸建てに引っ越した。「普通に働いて普通に家庭を築いて」というのが両親の口癖だった。その言葉を信じて懸命に勉強し、進学し、就職し、責任ある仕事を任せられるようになった40歳直前、「結婚」と「出産」が残った。

「40歳を過ぎてから妊娠できるのか。育児と親の介護が重なったらどうしよう。教育費をいつまで稼げるか。退職金や年金はもらえるのか……。結婚に付随する未来を心配しすぎてしまいます」

結婚しても自動的に暮らしがランクアップすることは、もうあり得ないだろう。両親が「普通」と言っていたことが、今は「普通」ではない。5年後にどうなっているかなんて、何もわからない。自分と彼の気持ちだって、変わるかもしれない。

これまでは、こうした将来の不安を解消する手段として、結婚が選ばれていた。だがミキさんは言う。

「何かあったらすぐシフトチェンジできるように、結婚という“荷物”を持ちたくない。愛情に流されて『一生一緒にいたい』なんて言えません」

デートは趣味の合間に

大手企業で役員秘書をしている契約社員のマユコさん(37)の予定は、平日も休日もびっしり埋まっている。午後6時半に仕事を終えると女子会や趣味のダンスレッスンに繰り出す。朝早く起きて出勤前に話題のスイーツを食べに行くことも。週末は食べ歩きをしたり、マラソン大会に出場したり。その合間に「気乗りしないデート」も月4、5件は入る。

交際する相手の条件は「フィーリングが合うかどうか」。見極めるために一度は会ってみるが、初デートが「自腹でも行けそうなフレンチ」だったりすると、次はない。

「ただでさえ時間が足りないのに、この人なら、と思えなければ前に進めません」

専業主婦をしている自分の母親のことを不幸だとは思わないが、自分にはずっと家にいる生活はできそうにもない。結婚することで自由な時間が奪われるかもしれないと考えると、手間をかけてまで積極的に婚活しようとは思えない。

国立社会保障・人口問題研究所の出生動向基本調査(2010年に実施)は、独身者(18~34歳)に結婚についての考えを「いずれ結婚するつもり」と「一生結婚するつもりはない」の2択で尋ねている。「一生結婚するつもりはない」と確固たる独身志向を持つのは男性9.4%、女性6.8%。増加傾向とはいえ少数派だ。結婚願望がないわけではないのだ。

自慢できる女性が理想

「今年中には何としてでも結婚したい」

と言うのは、医師のアキラさん(41)。2年前から合コンしたり結婚相談所に登録したりと、婚活に精を出している。

しかしその婚活を「コスパが悪い」と感じ始めた。女性の分の飲食代を奢り、連絡を取り合っても、交際や結婚に結びつかない。年収は1500万円だが、飲食代が飛ぶように消えていく。こんなことに時間を費やすくらいなら論文の一本も読めたのに。

(写真:アフロ)

アキラさんが結婚相手の女性に求める条件は、30代前半、早慶以上の学歴、できれば年収1千万円以上で、同業の医者だとベスト。こうしたスペックに加え、「結婚相談所の登録情報ではわからない条件」も外せない。いつも笑顔で穏やかで、場の空気を読める賢さがあること。

「誰に紹介しても自慢できるような、人間関係をソツなくこなせる女性が理想です」

スペックだけでは決められない。やっぱり、好きになった相手と結婚したいから。

婚活ブームに乗って、結婚という「ゴール」に向かってひたすら走ることができた頃は、まだよかった。ふと立ち止まって考える。「結婚=幸せ」なのだろうか? 真剣に考えれば考えるほど、わからなくなる。「結婚はコスパが悪い」とさえ感じられる今、結婚する意味って一体、何なのだろう。
(文中カタカナ名は仮名)


Yahoo!ニュースと週刊誌AERA(朝日新聞出版)は共同企画「みんなのリアル~1億人総検証」をはじめます。身近な問題や社会現象について、AERA編集部の取材による記事に動画を組み合わせてわかりやすく伝え、読者のみなさんとともに考えます。今回のテーマは「結婚は愛かコスパか」。5回の連載の中では、読者のみなさんからのご意見も紹介していきます。意識調査にもぜひご協力ください。Facebookやメールでコメントをお寄せくださった方には、AERA編集部から取材のお願いでご連絡させていただく場合があります。

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映像監修:古田清悟

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