<独自>日産“下請けいじめ”の実態 部品メーカー「減額断れば切られる」【WBS】
日産自動車が取引先の企業に30億円もの減額を強要したのは下請法違反にあたるとして公正取引委員会は7日、再発防止を勧告しました。こうした中、下請けの部品メーカーが不当な取引の実態について生々しく語りました。 【動画】公取委 日産に再発防止を勧告 7日、関東のとある場所。日産自動車と、およそ20年間にわたって取引する部品メーカーの経営者。意を決してカメラの前で、日産による減額の実態を語りました。 「減額要求はもう毎回ある。半額っていうケースもあるし、2~3割引きっていうのは、もう当たり前に起きている事象。それに対してあらがうということであれば、切られてしまう」(日産と取引のある自動車部品メーカー社長) 公正取引委員会は7日、日産が取引先の企業に対して支払金額を一方的に減額したとして、下請け法違反を認定。再発防止などを求める勧告をしました。 「過去最大の減額事件である。違反金額30億円超と極めて大きい」(公正取引委員会の片桐一幸取引部長) 公正取引委員会によると、日産は資本金3億円以下の中小企業36社に対し、製品が納入されるときになって、一度決まった支払い代金の減額を強要。その額はおよそ2年間で30億円を超えたといいます。 今回の下請け法違反の認定について、インタビューに答えた部品メーカーの社長は「誰がどういうタイミングでどういうふうに声を上げて、これが明るみに出たのかについては非常に興味深い。おそらく商談からその会社は外される。それが実態です」と語ります。
最大5割減額も
日産との取引について詳しく聞くと、「発注が先でその時点で金額決定はなされない。とにかく品物を作って納めることが先。私が出した見積もりに対して『いくらにしてくれ』という感じで、“たたかれる”というのが現状」といいます。 部品メーカーの社長によれば、日産からは注文数と短い納期だけが示され、業者は間に合わせるべく部品を製造。納品時に支払金額を請求すると2~3割、多いときは5割ほど減額を強要されたといいます。 「『まけろよ』という形。(断ることは)できないですね。従業員の生活がありますし」(部品メーカーの社長) 多い年で売り上げのおよそ5割を日産との取引に依存するという社長。さらなる実態を明らかにしました。 「年間の売り上げに応じて年度末に“合理化要請”というのが必ず来る。“上納金”的な『年間でいくら売り上げがあったよね』『あと何%差し出してよ』ということに対して応じた、応じないということで、次の仕事の受注量が決まってきてしまう」(部品メーカーの社長) 日産だけでなく、その1次下請けの日産系企業が年間の売り上げに対して数%分を納めるよう求めていたというのです。その名目は、合理化要請だったといいます。 この一連の証言について、テレビ東京が日産に事実関係を尋ねると「回答できません」とコメントしました。 「生かさず殺さず、もうけさせないがつぶれるほどはたたかない。 そういう形だと下請け会社は発展ができない。投資意欲も湧かず、設備投資もできない。結果的には負の循環になってしまう」(部品メーカーの社長) 一方の日産。会見は開かず、コメントのみを発表しました。 「本勧告を大変重く受け止めております。(中略)法令遵守体制の強化を行うとともに、再発防止策の徹底に取り組み、今後の取引適正化を図ってまいります」