米国で中間管理職が標的に、「効率化」流行でレイオフが急増
(ブルームバーグ): 最近の企業の流行語は効率化だが、陰口をたたかれることの多い中間管理職にとっていい話ではない。直属の部下を持つ立場であるなら、気をつけた方がいいだろう。
コーディ・サンデルさんは、フィンテックのスタートアップ企業で製品管理ディレクターを務めていたが、昨年末に失職した。サンデルさんは「中間管理職は最も危険な役職だというのが同僚たちとの冗談だった」と話す。
ライブ・データ・テクノロジーズがブルームバーグ・ニュースのために行った分析によれば、経営幹部以外で従業員を監督する立場にある中間管理職は2023年のレイオフ全体のほぼ3分の1を占めた。18年は20%でしかなかった。
今年1月、宅配大手ユナイテッド・パーセル・サービス(UPS)は1万2000人の管理職を削減して10億ドル(約1500億円)以上のコストを節減すると発表した。シティグループは今後数年間で2万人を削除し、管理職の層を13から8にスリム化することを目指している。これはさらに続きそうな気配で、モルガン・スタンレーの分析によると、今回の米決算シーズンでは「業務の効率化」への言及が過去最多に上った。
一方で、従業員による企業口コミサイト「グラスドア」のリポートによると、中間管理職の雇用主に対する信頼感は先月に過去最低を記録、新入社員と同じ水準に落ち込んだ。
効率化という言葉は合理化や縮小などと同じく人員削減を遠回しに指す表現だが、給与が高い割には事業プロジェクトに直接貢献しないことが多い、中間管理職をより意識しているように見受けられる。
イーロン・マスク氏は22年にツイッターを取得した後、会社で最も「めちゃくちゃ」なのは、コーダー1人につき「管理」する人が10人いるように見えることだとツイートした。
しかし中間管理職の削除によって不確実性が生じ、逆効果になる可能性もある。中間管理者として重要な業務は、従業員がサポートされ、大切にされていると感じられるようにすることだ。上層部は従業員を個別に配慮するような時間がないため、中間管理職がいなければそうしたサポートはある程度失われてしまう。