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新米シーズン到来も米価格は高止まり:中食の現状と課題#専門家のまとめ

池田恵里フードジャーナリスト
新米が出回る今、これまでだと価格が年間を通して安価な時期である。(写真:イメージマート)

新米が出回る今、通常だと年間を通して、最も低い価格で流通される時期でもある。しかし承知の通り、米価格は4割程、高騰している。新米が出回ることで、一旦、米不足は解消されても、価格は据え置かれると言われているのだ。そこで今、中食の米の状況を述べていきたい。

ココがポイント

あいち経済連は2024年収穫分のコメの概算金をコシヒカリ、あきたこまちとも前年より米60キロあたり5800円、およそ47%引き上げ
出典:FNNプライムオンライン 2024/9/3(火) 

千葉産の同じ品種のコメが去年は60キロ=1万4300円が今年は2万7000円の大幅に値上げ
出典:テレビ朝日系(ANN) 2024/9/1(日)

猛暑で昨年、米の出来が良くなく、流通量が減ったことが要因。外食需要の回復、災害に備えてまとめ買いが増えた。
出典: 岩手日報社 2024/9/3(火)

コメ不足が全国的に取り沙汰される中、西日本最大級の早場米のコシヒカリ産地三重県でも新米が高値で取引されそうだ。
出典:中日新聞社 2024/8/28(水)

エキスパートの補足・見解

今年の米不足は5月ごろから指摘され、価格は次第に上昇してきた。5月の段階で、既にスーパーでは、弁当内容の量を調整する動きも見られたのだ。米不足による価格高騰は、インバウンド需要の影響とも言われているが、気温上昇による米の生育悪化にも要因がある。加えて、人件費も高騰していることから、今後、価格が以前の水準に戻ることは難しいとされている。そして気温の上昇により、収穫地域が北上すると、気候や気温に強い品種改良が求められる。

現状

大手ベンダーでは、日本の複数原料米で弁当を製造することが難しく、アメリカ産の米を輸入してブレンドしているところもある。近々では、米の高騰により、ベンダーは月間で数千万円の赤字を計上している状態なのだ。例えば、398円の弁当を卸していたベンダーでは、米の高騰により398円での製造は難しく、498円に切り替わる予定である。スーパー各社も他の原材料も既に高騰し、これまで比較的、価格が安定していた米までも高騰していることから、弁当価格が500円以上になる可能性が高まっているのだ。このように弁当の価格が全体的に500円以上にアップすることで、消費者に398円から498円の価格設定を受け入れてもらえるのではという期待もあるようだ。

しかし、いずれにせよ今後、消費者の生活の負担は続くことになるであろう。

フードジャーナリスト

神戸女学院大学音楽学部ピアノ科卒、同研究科修了。その後、演奏活動,並びに神戸女学院大学講師として10年間指導。料理コンクールに多数、入選・特選し、それを機に31歳の時、社会人1年生として、フリーで料理界に入る。スタート当初は社会経験がなかったこと、素人だったこともあり、なかなか仕事に繋がらなかった。その後、ようやく大手惣菜チェーン、スーパー、ファミリーレストランなどの商品開発を手掛け、現在、食品業界で各社、顧問契約を交わしている。執筆は、中食・外食専門雑誌の連載など多数。業界を超え、あらゆる角度から、足での情報、現場を知ることに心がけている。フードサービス学会、商品開発・管理学会会員

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