■パソコンの前で、そんなに仕事をすることがあるのか?

私は現場に入って、目標を絶対達成させるコンサルタントです。労働時間を増やさず、それどころか短くして結果を出すには、不必要な仕事、「やった気になっているだけの作業」をどれほど減らすか、にかかっています。

生産現場は改善を繰り返し、「ムリ・ムダ・ムラ」を極限にまで減らしているのに、オフィスの現場は「ムリ・ムダ・ムラ」のオンパレード。その元凶が「パソコン」だと私は考えています。工場で働いている人も、物流センターで働いている人も、店舗で働いている人も、誰も椅子に座ってパソコンに向き合い、キーボードをカタカタ叩いてはいません。にもかかわらずオフィスワーカーは、どのような業種の企業であろうが、ほぼ全員パソコンを与えられるのです。

■パソコンで「何か」をしていると、仕事をした「気分」になる。

総務部であろうが、企画部であろうが、営業部であろうが、職種を問わず、どんな企業でもオフィスワーカーたちは、みんなパソコンの前に座って「何か」をしています。その「何か」とは一体なんなのかがわかりませんが、気を付けたいのは、

パソコンで「何か」をしていると、仕事をした「気分」になる。

ということです。

オフィスワーカーにパソコンが必要なのはわかりますが、そんなに1日中、パソコンの前に座って仕事をすることがあるのだろうかと思います。これは純粋な疑問です。パソコン等ないほうが、もっと労働時間が短くなるのではないか。もっと人が少なくて済むのではないか。もっと組織内コミュニケーションが活性化するのではないか。

ちなみに私はほとんど毎日、日中は、どこかの企業でコンサルティングをするか、講演や研修をしています。ホワイトボードを使って話し、全員に手書きのメモをとってもらいながら議論するというスタイルをしています。ですからパソコンは使用しません。コンサルティングセッションが終わってから、短い時間で日々送られてくるメールの処理をし、移動時間などでコラムやメルマガの執筆をするぐらいです。

ところが、私もたまにオフィスに1日いると、ずーっとパソコンの前に座っています。そこで「何か」をしているのです。もちろん何か仕事に関わることをしているのですが、後で振り返ってみると、何をしたのか思い出せないようなことばかり。サボっているつもりはないのですが、おそらくその「何か」をしなかったとしても、困ることではないでしょう。

■もしもパソコンを、すべてスマホに変えたなら

パソコンの前にいるから、この得体の知れない「何か」が生まれてくるのではないか。パソコンが半日故障しても大幅に作業が遅延するわけでもない人は、特にその傾向が強いと言えるでしょう。急に体調を崩して休んでも、職場にまったく迷惑がかからなかったという人はいませんか? それと同じです。

ここで提案です。

オフィス内のパソコンをすべてスマホにしてみるのです。できる限り周辺機器をつけずに、オフィスワーカー全員に渡します。キーボードは諸悪の根源ですから絶対になし。全員、スマホだけを手に持って仕事をするのです。外部インターネットへの接続もアクセス制限します。そうなるとどうなるか?

● メールが来ても長文の返信ができない。その結果、相手に会いに行くか、電話でコミュニケーションをとる頻度が増える

● 凝った資料を作ることができないので、不必要な会議資料などが激減する

● 長時間「スマホ」だけに向き合っていられないので、立ち上がって動きたくなる。誰かと話したいという「気分」になる

● キーボードを使って入力作業をしなければ作業にならない人が見つかる

パソコンをスマホに変えるだけで、職場の対面コミュニケーションは劇的に増えるでしょう。少なからずメールに書かれる総文字数は90%ぐらい減るのではないか、と思います。

資料やメールの作成のためには文字入力が必要です。しかしその入力作業に、パソコンのキーボードが本当に必要でしょうか?キーボードのような快適な文字入力装置があるから、ムダな資料が増えたり、意味のないメール、やたらと文章の長いメールが飛び交うのです。多少、非効率的になったとしてもスマホで十分。パソコンで仕事をしている「気分」を味わえる時間を減らすだけで、オフィス内の残業は激減するはずです。

経理や総務などならともかく、それ以外の間接部門にパソコンを渡すのはやめましょう。すべてスマホにしてしまうのです。1ヶ月、2ヶ月経過して、どんな支障があるかしっかり観察することで、ムダな業務、ムダな仕事をし続けている人を発見することができるでしょう。オフィスワーカーの長時間労働を是正するためには、荒療治が必要です。