本(ビジネス書)を読むことは、人材教育においてとても有効な手段です。読書習慣のある人すべてが「できる人」になるとは限らないが、「できる人」には必ず読書習慣がある――。成功者の多くの人が口をそろえて同じことを言います。

また、同様に、多くの経営者が「本は自分のお金で買ってはじめて身に着くものであり、会社が買って与えるものではない」と考えています。

確かに、本は自分で買ったほうが、読む気になりますし、自腹で買ったからこそ本から何かを学ぼうという姿勢が芽生えるものです。しかし、私は、本は会社が買ってやるべきだと考えています。

なぜか?会社が「自腹で買え」とは強制しづらいからです。年に1回や2回ぐらいなら「社内研修で使うからこの本を自分で買ってください」と強制できるかもしれませんが、読書習慣が身に着くほどに「自腹で買え」とは無理強いできないはずです。

読む本を指定するならともかく、自己投資のために自分がいいと思ったビジネス書を「1週間に1冊ぐらいは買いなさない。自腹で」などと、従業員が10人、30人、50人いて、全員に対して課することができるかというと、非現実的でしょう。

つまり「自腹」を強いると、「主体性」に頼ることになります。

読書習慣がある人は、ほぼ全員が「本は自腹で買うもの。会社から買ってもらうものではない」と思っています。前述したとおり、「仕事のできる人」のほぼ全員が読書習慣があるため、会社の中でポジションの高い経営者や管理者の方はそう思い込んでいます。

しかし、従業員の全員に読書習慣があるわけではないことも事実です。主体性に依存すると、主体性の高い人しか本を読まないことになりますし、主体性を促す経営者たちは、身銭を切って行動を起こさない従業員を責めることになります。

悪いのは私たちではない、自ら主体的に動こうとしない従業員たちが悪いのだ。

こういうのを他責と呼びます。他責にする価値観を持っている経営者は心の余裕がありません。自分の子どもだったらどうでしょうか。「どうせ学校へ行かせても勉強しないんだから、学校へ行く必要がない」と考えるでしょうか。人材教育に熱心でない人ほど、主体的な自己投資を促し、自ら成長しようとしない従業員に責任を押し付けます。

私のアイデアは2つです。

● 定期的に課題書を指定し、従業員に配布して読書感想を提出してもらう

● 仕事に関係のある書籍は会社の経費で購入できる制度とし、この制度を有効活用するよう常に働きかける

こうすることで、読書習慣が身に着く従業員は増えるはずです。全員が全員、本を読んで、すべての本からその価値を学び尽くせ。そうでないと会社がお金を出すなんてもったいない、と思う経営者や組織のリーダーは「器」が小さすぎるのです。

部下が一人なら自分の価値観を押し付けることもできるでしょうが、何十人、何百人もの従業員がいる組織であれば、読書習慣を持つ人の絶対数を増やすことに力を入れるほうがよいでしょう。

相対的に捉えると、本はとても安い教育ツールです。1冊いくらで考えるのではなく、10冊、50冊いくら、で考えたほうが適切な価値を推し量ることができます。1冊1,500円から2,000円程度の書籍を、たとえ年間100冊買っても、15万円~20万円の経費です。ひとりの従業員に対して、これぐらいの経費もかけることができない会社が成長することはありません。

ちなみに、本を読まない人ほど「最近、読んでためになる本って減ったよね」と言います。これは”反論のための反論”の思考です。お客様のところへ足を運ばない営業ほど「お客様のところへもっと行けと言いますが、そんなに行く先がどこにあるんですか?」と主張するもの。こういう「できない営業」と同じ思考です。

経営者や組織のリーダーが本を読まない人だと、「そうは言っても、最近、読みたくなるようなビジネス書が少ないじゃないですか」と言ってきます。読書以前に、部下育成に関心がないという証拠ですので、こういう上司を持つ部下たちは気を付けたいですね。主体的に自己投資をするしかありません。