日本ハムの斎藤佑樹が、会社社長からポルシェを提供されていたという。週刊文春が報じている。斎藤は13日のオリックス戦に登板したが、「ありがとう文春!」などのヤジが飛んだという。

世間的には、本件はかつて「ハンカチ王子」ともてはやされた青春ヒーローのスキャンダルだろう。爽やかなイメージが先行していたが、後援者に高級車他の高額品の提供を求めるなどのダーティな側面もあることが明らかになったからだ。また、彼本人がプロ入り後は振るわず、いまやヤンキースのエースとして20数億円の年俸を稼ぎだすかつてのライバル田中将大と比較するのも愚かなほどの決定的な差がついたことも、この転落劇にスパイスを添える。

しかし、本件は斎藤問題ではなく、スポーツジャーナリズム問題だと思う。タニマチに金品を厚かましく求めるのは褒められた行為ではないが、「まあ、やっぱりな」というところだ。清純派?の斎藤だけにショックだが、おそらくこんな関係は他にもいくらでもあるだろう。

しかし、彼に自動車その他を買い与えたのが、ベースボール・マガジン社の池田哲雄社長だったというくだりは見逃せない。これは、ジャーナリズムとしての自殺行為に等しいと思う。ジャーナリズムのモラルという観点からは、ポルシェその他の購入資金が同社長のポケットマネーであるか、会社の経費であるかはあまり関係ないと思う。代表取締役はその法人とある意味イコールだからだ。野球を中心とする報道機関の社長が、本来取材対象であり健全な距離を保つべき野球選手に金品を贈与していたのだ。これは、入れ込んでいるキャバクラ嬢に貢ぐということとは次元が異なる。ジャーナリズムへの冒涜行為だろう。

世間では、ベーマガ社長よりハンカチ王子の方が話題性が高いため、「斎藤問題」としてワイドショーで面白おかしく報道されるかもしれない。 また、多くのメディアは同じマスコミの一員としてベースボール・マガジン社への批判を手控える だろう。しかし、これはスポーツヒーローの転落劇ではなく、スポーツジャーナリズムの堕落ぶりが露わになった件として認識されるべきだろう。ベースボール・マガジン社も含め、日本の野球メディアは体制や球団、選手に対し批判がましいことをほとんど書かないが、本件を知るとそのことも何となく理解できる気がする。メディアと取材対象の関係に程よい緊張感がないのだろう。本件は氷山の一角かもしれない。このことを認識させてくれた週刊文春には「ありがとう!文春!」「センテンススプリング!」と言わねばならない。