博士(国際関係)。横浜市立大学、明治学院大学、拓殖大学などで教鞭をとる。アフリカをメインフィールドに、国際情勢を幅広く調査・研究中。『21世紀の中東・アフリカ世界』(芦書房)、『世界の独裁者』(幻冬社)、『イスラム 敵の論理 味方の理由』(さくら舎)、『日本の「水」が危ない』(ベストセラーズ)など。
記事一覧
- ロシアの反発は必至でもNATO加盟 メリットや狙いは…知っておきたい基礎知識5選
スウェーデンとフィンランドがNATO加盟を正式に申請したことは、ウクライナ侵攻にどんな影響を及ぼすか。また、いくつもある中立国のなかで、なぜこの2カ国がいち早く方針を転換したか。これらの疑問を考える。
- 「ウクライナ侵攻は我々の戦争ではない」の論理――「ロシア封じ込め」の穴(2)
西側がロシア包囲に力を入れれば入れるほど、国際的にはシラけた反応が返ってくる。中東の‘親米国’も例外ではない。彼らにとっては両隣の家が火事なのに遠くの山火事への対応を優先しろと言われるに等しいからだ。
- 「ロシア封じ込め」の穴(1)――ロシア非難をめぐるアフリカの分断と二股
今やロシアを非難する声は珍しくもないが、アフリカにはロシア非難に沈黙する国も少なくない。ロシアに「義理」のある国が少なくないからだが、それに加えて西側の求心力の低下もこれに拍車をかけているといえる。
- スリランカはなぜ急速に「破たん国家」に近づくか――危機と日本の関わり
ウクライナ戦争と比べてメディアの露出度が圧倒的に低いが、スリランカでは経済危機をきっかけに政治的な混乱が広がっている。そこには一族支配への抗議があるが、スリランカ危機は海外にとっても無関係ではない。
- 極右政権になったらどうなる? 知っておきたいフランス大統領選の基礎知識5選
フランス大統領選挙で極右政党「国民連合」党首マリーヌ・ルペンが躍進したことは、フランスに極右政権が誕生するかの関心を高めている。それはヨーロッパ全体ひいては先進国全体にも大きな衝撃となるからだ。
- プーチンとの蜜月を否定する欧米の「友人」たち――フランス大統領選への余波
プーチンは欧米極右に多くの「友人」がいるが、彼らはウクライナ侵攻をきっかけにプーチンとの蜜月をなかったことにしようと必死である。フランス大統領選挙でマクロンに挑戦するルペンは、その一人である。
- TVに映るウクライナ避難民はなぜ白人だけか――戦争の陰にある人種差別
ウクライナを逃れる避難民は白人ばかりではなく、有色人種は白人以上に危険に晒されている。白人の避難民が優先されるなか、彼らは国境を超えることさえ難しく、国境を越えても差別的な待遇に直面しやすい。
- ウクライナ「戦争犯罪」に法の裁きは可能か――知っておきたい基礎知識5選
「ロシアによる非人道的行為」への非難は日増しに高まり、そのなかで戦争犯罪などを扱う国際刑事裁判所への関心と期待も高まっている。ただし、実際に戦争犯罪を裁くためにはいくつもの条件をクリアする必要がる。
- 「国家のため国民が戦う」が当たり前でなくなる日――ウクライナ侵攻の歴史的意味
ウクライナ侵攻は土地の奪い合いという極めて古典的な戦争である反面、戦争に非協力的な国民が多く、その裏返しで外国人に頼ることが目立つという意味で、極めて21世紀的な戦争でもある。
- ウクライナとロシアは何を交渉しているか――停戦協議のポイントとネック
ウクライナとロシアの間で停戦に向けた協議が断続的に行われている。焦点は何か。何が交渉の進展を阻んでいるか。ウクライナの「中立化」を軸にした協議を進める最大の障壁は、相互の不信感にある。
- ロシアはウクライナで本当に核兵器を使用するか――警戒すべき三つの理由
ロシアがウクライナで核兵器を使用する可能性は高くないものの、その恐れは着実に増している。そこには三つの理由があり、これを無視して「ただの脅し」と軽視すれば、かえってロシアに引き金を引かせやすくする。
- なぜロシアは‘デスノート’や‘異世界アニメ’を禁止するか――強権支配が恐れるもの
ロシアでは多くの日本アニメが規制されてきたが、その多くは異形の者や異世界を扱っている。「目に見えない世界」に多くの者が惹きつけられることは、強権的な権力者にとって自らの正当性を脅かすものといえる。
- ウクライナ侵攻で進むロシアの頭脳流出――国外脱出する高学歴の若者たち
かねてからロシアでは高学歴の若者ほど国外に移住しようとする傾向が強かったが、ウクライナ侵攻はこれに拍車をかけている。若者の‘大脱出’を促すことで、プーチン政権はロシア自身にも大きな損失をもたらす。
- ウクライナ「義勇兵」を各国がスルーする理由――「自国民の安全」だけか?
ウクライナ政府が世界に呼びかける「義勇兵」の募集に、各国政府は消極的な姿勢を崩さない。そこには「自国民の安全」への配慮だけでなく、「義勇兵」がかえって自国にとってのリスクになることへの警戒がある。
- ベラルーシはなぜロシアに協力的? 経緯や狙いは…知っておきたい基礎知識5選
旧ソ連圏の小国ベラルーシがウクライナ侵攻のなかでしばしば注目される。この国はなぜロシアに協力的なのか。そこには、単に「旧ソ連圏だから」という一言では片付けられない理由がある。
- トランプ復活の狼煙としてのウクライナ侵攻――米ロ‘蜜月’は再生するか
西側が有効な対策を打てない限り、ウクライナ侵攻はアメリカで「トランプ復活」を加速させるとみられる。プーチンにとっては超大国の再生を目指すバイデンより「アメリカ第一」のトランプの方がよほど扱いやすい。
- 「親ロシア派政権樹立はウクライナ人のため」か――レジーム・チェンジの罠
ウクライナに親ロシア派政権を樹立しようとするロシアの意図が鮮明になってきた。これはロシアに言わせれば「ウクライナ人のため」だが、力づくの体制転換が現地のためになりにくく、むしろ事態を悪化させかねない。
- 「ウクライナ侵攻は台湾海峡へ飛び火する」の矛盾――中国の気まずさとは
中国政府は表面上ロシアと友好的でも、ウクライナ侵攻とは距離を置いている。ウクライナと台湾の問題は構造的に異なり、中国にとってウクライナ問題でロシアに肩入れしすぎることはヤブ蛇になりかねない。
- ウクライナ侵攻に落とし所はあるか――ロシアに撤退を促せる条件とは
ロシアのウクライナ侵攻に欧米や日本は批判を強めているが、実際に取れる有効な対抗策は乏しい。少なくとも短期的にロシアに撤退を促すことは困難で、これが可能なのは戦闘が長期化した時だけとみられる。
- ロシアはなぜウクライナ東西分割に踏み切ったか――‘鉄のカーテン’の再生
ロシアがウクライナ東部地域を「国家」と承認したことは、ウクライナを東西に分割し、新たな‘鉄のカーテン’をほぼ完成させた。これはグローバル化に逆行するものだが、欧米とロシアの住み分けの境界線でもある。
- 「ロシアの侵攻がなければOK」か――ウクライナがテロ輸出国になる脅威
ロシアの侵攻が焦点となっているウクライナ危機には、全く別の側面がある。ロシアが侵攻するかしないかにかかわらず、ウクライナで戦闘経験を積んだ白人テロリストが欧米でテロに向かうリスクが高まっているのだ。
- ‘安全なカナダ’でなぜ?――‘トラック軍団占拠’の影にいる者
カナダを代表する大都市オタワやトロントは1週間にわたって無数のトラックに占拠されている。その中心はワクチン接種義務化に抗議するトラック運転手だが、その影にはカナダ政府が「テロ組織」と呼ぶ極右がある。
- ガソリン高騰をさらに煽るウクライナ危機――プーチンの二重の賭け
ガソリン高騰の一因にはウクライナ危機がある。「戦争があるかも」という観測そのものが、エネルギー市場に過剰な資金を呼び寄せてきたわけだが、原油高は産油国ロシアにとって利益であると同時にリスクでもある。
- なぜウクライナで欧米とロシアが対立? 経緯や今後は…知っておきたい基礎知識5選
ウクライナをめぐる欧米とロシアの対立は、長年の相互不信の積み重ねの結果である。それはロシアのナワバリに手を伸ばす欧米の無遠慮さと、なりふり構わずナワバリを守ろうとするロシアの拒絶反応の結果といえる。
- ウクライナ危機の影の主役――米ロが支援する白人右翼のナワバリ争い
緊迫するウクライナ情勢は、欧米とロシアのナワバリ争いであると同時に、白人右翼同士のナワバリ争いでもある。米ロはそれぞれ白人右翼を手先としているが、ここには欧米各地から外国人戦闘員が集まってきている。