南半球最高峰であるスーパーラグビーの日本人選手第1号、ハイランダーズの田中史朗が、電話取材に応じた。現在の状況や日本ラグビー界の未来について見解を示しながら、今秋のワールドカップ(W杯)イングランド大会への展望も語った。

日本代表として44キャップ(国同士の真剣勝負への出場数)を誇るスクラムハーフの田中は、4年に1度のW杯へは2大会連続2回目の出場を目指す。2011年のニュージーランド大会を予選プール3敗1引き分けで終えたことが、海外挑戦への原動力となっていた。

現在のジャパンは、就任4年目のエディー・ジョーンズヘッドコーチ(HC)のもとボールキープ率重視のスタイルを実行。通算1勝のW杯での決勝トーナメント進出(8強入り)を狙っている。

独占インタビューがあったのは現地時間の6月1日、22時30分ごろ。

以下、一問一答の一部。

――最近、ジョーンズHCとコンタクトは取りましたか。

「日本のスーパーラグビーのことを少し聞かれたことと、『エキストラフィットネス(全体練習とは別な、体力強化)はしてるのか』と。そんなに連絡は取ってないです」

――ジャパンへは、スーパーラグビーのシーズン終了後に合流予定。W杯への意気込みは。

「とりあえず勝つこと。勝てば、皆も目を覚ましてくれる。特に、トップリーグの選手が目を覚ましてくれるのではないかなとは、思います。いまの帝京大学、東海大学、早稲田大学の学生たちで、頑張っている人たちは世界への思いが強いのでしょうけど、25歳を越えると安定感を求めてしまう。そういう人たちに、31歳になる僕の…そういうもの(気概)を見てもらうために、結果を残したい。チームとしても、個人としても」

――そのための準備について。

「こっちではなかなかゲームタイムがもらえない。(控え選手が出る)クラブチームでの試合も、ハイランダーズから『怪我したらあかんから止めてくれ』と言われている。取りあえず、走り込みですね。チームのトレーナーにフィットネスはやってもらっている。日本代表のラグビーではもっと走るので、(シーズン終了後に)日本に帰ってから少しもらえる休みの間、しっかりと走り込みたいなと思います」

――ジャパンに合流後、ジョーンズHCとは。

「一回、ちょっと、全てを話そうかなと(強化方針やチーム運営について)。こっちも自分のパフォーマンスが良くないので、偉そうなことは何も言えないですけど。大会に入ったら、信用したい。そうしないと、自分のパフォーマンスもよくならない。日本のためにやりたいからこそ信用する。そのために、ある程度の話をする」

―― 一般論として、いち選手が「話」をすること自体、選考に悪影響を及ぼすリスクもあります。

「もし、それが選考に関わるのであれば、それも僕の実力です。もしジョナ・ロムー(ニュージーランド代表の伝説的ウイング)が監督に何かを言って、それで出られないということはニュージーランドではあり得ないので」

――大会本番。初戦は世界ランク2位の南アフリカ代表とぶつかります。

「ディフェンスをしっかり頑張る。キックでエリアを取って。それとも、エディーの言うようにマイボールをキープ。ただ、向こうのディフェンスは激しいので、マイボールをキープし続けるのは難しい」

――次はスコットランド代表戦。

「スコットランドは、前の試合もすごくいい形だった(2013年11月。敵地で17―42と敗戦も、後半初頭まで僅差だった)。ジャパンの戦い方をでやれば可能性はあるんじゃないかなと」

――その次のサモア代表。本番で力を発揮する環太平洋系のチームです。

「ヨーロッパでプレーしている選手が来て、という形ですね。チーフスのティム・ナナイ・ウィリアムズもサモア代表でやると言っていた(ウイング、過去に7人制ニュージーランド代表経験も、オリンピックイベントに伴う資格申請がワールドラグビー規定委員会に承認されて同サモア代表入り。ワールドシリーズ4戦以上出場で15人制代表入り可)。スコットランドより手ごわいと思います。世界でも、上位のボールキャリアたちがいるんで」

――相手には、ボールを持たせたくない。

「というより、ディフェンスですね。相手に持たせてもいいんですけど、それを止めて、何をどうしてでもトライラインを割らせない。意識、戦術はひとつにしないといけない。そのためには、ミーティングを増やしたい」

――最後は、アメリカ代表戦。近年、ジャパンが負けていない相手とあって軽視されがち。大丈夫ですか。

「怖いですね。前のカナダ(必勝を期して臨んだ4年前の最終戦で激突。引き分けに終わった)があるんで。大丈夫だとは思うんですけど、しっかり、気を引き締めたい。出られなくても、チームにアドバイスをしながら頑張って行きたい」

――ジョーンズHCは8強入りを目指しています。

「可能性はゼロではない。本当に低いと思いますけど、ゼロではない。だからそのための準備をする。チームで、全員が自分のやることを理解してできれば…」

――お疲れのところ、ありがとうございます。

「すみません。色々と余計なことを」