一脚状の棒にカメラを付けて自撮りをやりやすくする通称「自撮り棒」(selfie stick)ですが、実は自分は6年くらい前から持ってました(アメリカ出張中にディスカウントショップでXshotなる製品を買いました)。当時は使ってると指を指して笑われたりしたものですが、今は、一応の市民権を得たように思えます(外国人観光客が使っているのをたまに見ます)。

さて、この自撮り棒関連の特許がどうなっているかを調べようと思ったら、既にWikipediaに「自撮り棒」のエントリーができており、そこに関連特許情報がまとまっていたので調べる手間が省けました。

自撮り棒関連特許で最古のものは1985年にミノルタカメラが米国で取得したUS4530580("Telescopic extender for supporting compact camera")のようです(それ以前にも日本で実用新案が出願されていますが、この特許はそれに優先権を主張した実質的に同じものです)。

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権利範囲は結構広く、伸縮自在で回転止めが付いた、グリップを備えた一脚状の棒の構造だけで権利化できています。Wikipediaの記事では、「反射鏡を取り付けたコンパクトカメラを棒の先の三脚ねじに固定し、棒を持つ者自身にレンズを向け、リモートレリーズで自分撮りすることを想定した発明になっている」と書いてありますが、これは特許の必須の構成要素ではありません。なお、回転止めが付いているのは結構重要で、これがない安物の自撮り棒だと重いカメラを付けたときにくるくると回転してしまって使いにくいです(XShotはちゃんと回転止めの溝が付いています)。

この特許が有効ならほとんどの自撮り棒に対して権利行使可能なはずですが、1984年の出願なので特許権はとっくに切れています。そもそも、この特許は特許料未納を理由として1993年には権利消滅しています。デジカメやスマホが普及する以前ではほとんど需要がなく、特許料を払ってもしょうがないと判断されたということなんでしょう。

特許は他人より先に出願するのが重要ですが、早すぎて市場がない状態で特許だけ取ってもあまり意味がないという事例です。もちろん、このアイデアはパブリックドメインになって誰でも使えるようになりますし、公知のアイデアに基づいた改良発明を促進することになりますので、産業全体として見れば無駄ということではありません。