アパレルEC最大手のZOZOTOWNを運営する、スタートトゥデイ。彼らが先日リリースしたモバイルアプリ「WEAR」は、O2Oソリューションの最新型のひとつといってもよい。

なにが新しいかというと、店舗側とブランド側双方が自発的に参加することで成立するモデルだからだ。具体的にいうと、店舗は商品にZOZOTOWNのデータベースにアクセスするバーコードを用意する。スマートフォンにインストールされたWEARでそれを読み取ると、商品のサイズ違いやカラーバリエーション、おススメのコーディネートなどの情報を受け取ることができる。さらに、その店舗にはない商品をZOZOTOWNで購入することもできるという仕組みだ。つまり店舗をショールーム扱い(ショールーミング)することで、直に商品を確かめてもらいつつ、購入自体はECサイトで行なう。

これをO2Oと呼んでいいかは、正直微妙だ。消費者は店舗で商品を確かめたいから、実際の店舗(オフライン)に向かうかもしれないが、買うのはEC(オンライン)だ。商品を卸しているブランドおよび直営店であれば、どこで商品を買ってもらっても同じことなので、あえてショールーミング化を甘んじて受けるかもしれないが、百貨店ではそうはいかない。

米国では、Kindleで商品の価格チェックをしたうえで店舗にいながら購入はAmazonで行なう、という事例が多く見られたため、ウォルマートなどの大手流通業者はKindleの利用を店内では禁止しようとしたし、自分たち自身がオンラインカタログ用のデバイスと配送機能をもつことで、Amazonに対抗しようとした。

一般的に発生しているショールーミングでは、特定の業者と特定のブランド、特定の店舗という動きではなく、店舗で商品を確かめ、今度は比較サイトなどでもっとも安く買えるECサイトを探すという動きだ。だから、ZOZOTOWNのように、ブランド側とタッグを組んで流通業者を中抜きするという動きは新しい。

流通業者側も、店舗内で消費者がWEARを使う際に必ずチェックイン機能を使って、自分がどの店をショールームとして使っているのかを特定し、スタートトゥデイがその店舗に対してコミッションを払うことに同意したことで、態度を軟化しているようだ。WEARがO2O効果をもち、実際に店舗に訪れる潜在客が増えるのであれば、甘んじてスタートトゥデイの提案を受けてみようということだろう。店舗で買うことを選択する消費者も少なくないだろうし、その場に欲しい商品がないことで販売機会を失うのであれば、少しでもコミッションを受け取れるほうがいいと考えているかもしれない。

いずにしても、これまでのO2Oは、インターネットから実店舗に来店させて、そこで消費行動をしてもらうというのが約束事だった。しかし近年、来店はするが結局オンラインで買う、というループを描くソリューションを店舗側が受けるような不思議な現象をみせるようになった。

ホテルやパチンコのような装置産業はもちろん、レストランのようにその場で消費を行なわざるをえない事業であれば、O2Oを純粋に追求できると思うが、アパレルをはじめとして商品を持ち帰る(配送できる)ものや、どこでも買おうと思えば買えるような商品を扱う小売流通の場合は、O2O2O(オンラインからオフラインへ、そしてまたオンラインへ)というループの中で、利益率をどんどん下落させてしまう大きなリスクを、どう回避するかを考えなければならないだろう。

via MdN Interactive