熊本地震4カ月 変わりゆくボランティア活動

最終更新:2016/8/14 11:11

写真・画像Yahoo! JAPAN

キーポイント

  • ボランティアのニーズはハード(力仕事)からソフト(寄り添った見守り)へ、短期から中長期へ、さまざまな面で過渡期にあります。
  • 市町村社会福祉協議会主体の災害ボランティアセンター(VC)やNPOなど外部の支援団体が活躍していますが、情報発信力などで課題を抱えています。
  • 現地での観光や食事、県産品の購入などによる支援も期待されています。

4月14日の熊本地震発生から、8月14日で4カ月がたちました。熊本県内では連日の炎天下、全国から集まった人たちがボランティア活動に汗を流しています。災害ボランティアセンター(VC)によると、依頼(ニーズ)はお宅の後片付けが減り、避難所から仮設住宅への引っ越し支援が増えているようです。一方で、梅雨時の大雨でお宅に入り込んだ土砂のかき出しなどが続いている地域もあり、地域やお宅によって状況はさまざまです。緊急的な支援から息の長い支援に向かうため、活動内容や運営体制も変わりつつあります。(Yahoo! JAPAN北九州編集室)

お盆入りの日、南阿蘇村で

8月13日、南阿蘇村の地獄温泉には、60人を超える人たちがボランティア活動のために集まりました。周辺の道路は通行止めが続いており、電気・ガス・水道のライフラインは止まったまま。老舗旅館の建物は地震で「全壊」判定を受け、6月20・21日の大雨で土石流に襲われました。集まった人たちは汗だくになりながら、屋内外の片付けや、土のう作りなどに励みました。指揮を執ったのは宮城県石巻市に本部を持つ支援団体です。

北海道の建設会社有志15人がお盆休みを利用して参加、前日は益城町で活動したそうです。5月以来2回目の訪問で、「みなさん大変ななか頑張る姿に触れました。復旧はあまり進んでいない印象を受けました」と常務

関西発のボランティアバスで参加、みんな初対面だそうです。「阪神大震災の年に生まれ、東日本大震災は中学卒業式の日だった。大震災が他人事とは思えなかった」「これほどひどい水害があったとは。山間部の被害はわかりにくいし支援が届きにくいようだ」などと話してくれました

全国から受け入れるVCは16カ所中3カ所

県社会福祉協議会(県社協)によると熊本地震後、県内に設置された災害VCは16。このうち今も全国からボランティアを受け入れて活動を続けているのは、熊本市、益城町、西原村です。災害VCはお盆期間中はお休みします。個人宅に立ち入る作業のため、震災後初めてのお盆は静かに過ごそうという思いがあります。

南阿蘇村災害VCの後方支援を担ってきた大分県竹田市社協が7月末、全国から参加者を受け入れてきた拠点を閉鎖したのに続き、8月に入って御船町災害VCは募集範囲を「九州」に絞りました。個人宅の後片付けのニーズが残り少なく、活動の中心は仮設住宅の引っ越し支援に移りつつあるためです。8月24日から5日間、集中的に活動する予定です。

熊本市、益城町、西原村の各災害VCによると、ボランティアはおおむね充足しています。被災者のニーズと募集人数がバランスよく集まっている状態ですが、ニーズの少なさに募集人数を合わせているのが実情だといいます。お年寄り宅を戸別訪問するなどニーズ掘り起こしを進めています。

熊本市災害VCは7月1日、郊外に移転して人手不足がしばらく続きましたが、ニーズの減少もあって今はほぼ充足しているそうです

熊本市と益城町も「週末活動型」に

熊本市災害VCではゴールデンウィークには1日400件近くあったニーズも、最近は8件程度。その分募集人員も減りましたが、特に活動希望者が多い土曜日は整理券配布予定8時の前には受け付けが終わることもあります。益城町災害VCも同様で、30分前倒しで受け付ける日が続くほど活動希望者は多いのが現状です。

そんな中、熊本市と益城町の両災害VCはお盆休み明け、そろって活動日を「毎日」から「金土日」に変えます。西原村災害VCは一足早く7月末で「金土日月」に絞っているため、平日に九州以外から参加できるチャンスは狭まりました。当日朝に先着順で受け付ける形は変えません。

活動日を絞る理由について熊本市災害VCは「ニーズと応援人員が減ったため。通常業務にも戻る」、益城町災害VCは「ニーズと社協の応援が減ったのと、公費による解体に任せるため」と説明します。平日にニーズを受け付け、それに応じて活動する構えです。

半壊したお宅から壊れたタンスを運び出すボランティア。住人の女性は「我が家程度の被害で頼んでよいのか不安でしたが、助かりました」(熊本市東区)

県内では仮設住宅への入居条件である「半壊以上」の判定を求めて2次判定待ちもいるため、判定が進むと引っ越しのお手伝いが増える見込みで、遠慮している人もいるようです。

熊本市、御船町の両災害VCでは、仮設住宅への入居が始まったことから、引っ越し支援のニーズが入るようになっています。

梅雨時期の影響長引く

6月下旬から大雨に見舞われた南阿蘇村。同村災害VCのスタッフは「避難指示が出て約2週間、住民すら立ち入りができない地区もありました。土砂をかき出す作業が今も続いていて、地震の片付けは済んでいません」と説明します。

南阿蘇村災害VCの敷地内。阿蘇の山並みを望む

梅雨の時季、各VCは当日朝の警報を確認して中止判断するという運営でした。それを可能にしたのが、FacebookやTwitterなどSNSの連絡手段です。「本日は雨で中止」「災害ごみ集積所閉鎖のため休みます」「100人ボランティア募集」「軽トラック歓迎」など発信できました。

ただしスマートフォンを持たない人には伝えにくい、電話で受け付けるという課題もありました。「人手が足りない」という情報が一人歩きし、せっかく来たのにニーズがなくて不満が出ることもありました。

「これまで情報発信する対象は不特定多数のボランティアでしたが、今後は定期的に長く入ってくれるリピーター向けになる。発信の仕方が変わっていくのかと思います」と県社協は見ています。

「NPOとの連携は大事」

こうした中、ボランティア募集情報の減少を気にかけるのは菊池市災害支援ネットワークです。運営スタッフは「長い目でみて支援しないといけない。人が来なくなるのは、被災者にとってつらいこと」と話します。

県社協によると、4月17日の宇土市から4月29日の御船町まで、約2週間かかって県内16カ所で災害VCが開設されました。

JVOAD(全国災害ボランティア支援団体ネットワーク準備会)が昨年、横の連携をとろうと設立され、今回効果を発揮したといいます。NPO等の支援団体とのつながりは弱かったそうで「NPOのありがたさがわかった。今まで接点が少なかっただけ。協力し合える関係が熊本でもできました」と手ごたえを語ります。

「東北3県や支援P(災害ボランティア活動支援プロジェクト会議)が適切なアドバイスをくれました」。今後のためにもNPOとの連携は大事だと思ったそうです。

熊本県社協VCで「災害・生活復興支援ボランティア情報」ページを更新する職員(右)と桂誠一所長

災害VCは「危険」判定の建物への立ち入りや屋根など高所での作業はできません。「今の課題はブルーシートの張り替え。台風シーズンに入る前に修理が間に合うようにしてほしいと要望があります」という御船町災害VC。支援団体と連携して対応しています。

心のケアに、困りごと調査

仮設住宅に移り、孤立死・孤独死を防ぐための心のケアが大事になるといいます。さらに買い物困難、介護予防の運動なども。ボランティアの困りごと、支援団体等によるニーズ調査が始まっています。ずっと来てもらっている人はどんな特技あるか把握できるし、被災者とも仲良くなる。入れ替わり立ち代わり状態よりも慣れた方に活動お願いすることになります。

一方で「なんでもかんでもボランティアではまずい。思うような仕事でないこともあるのでガッカリされることもある。引っ越し業者や解体業者の仕事を奪ってしまう。作業内容は限定して考えていかねば」という問題もあります。

岡山県内から西原村のボランティア活動に参加した男性は、応募しづらくなることを懸念。「これまでは誰でも何でもOKだったのが、ボランティアの選択肢が分かれてくると応募しにくくなる。片っ端から電話で問い合わせする中で、自分ができるボランティアを探すのは難しい。全体の案内窓口があるととてもありがたい」

炎天下、草取りの合間にひと息つく参加者。こまめに休憩し水分補給(西原村布田)

西原村で始まった「ガレキと一輪の花プロジェクト」。復興への足跡として、ボランティアが応援メッセージととともに花を植えていきます

県社協VCの桂所長は「みんなが100点をつける災害ボラセンは難しい。スタッフがどれだけでもそろっていて、何年も運営されるのであればできるでしょうが、そんなものはない。困っている被災者のニーズに応えられるために毎日形を変えて話し合いをして、この人数や資材で何が一番いいんだろうと考えている。スタッフは被災し、応援スタッフも引き継ぎしながらの体制でもあります」と運営側の思いを代弁します。

今も変わらず人手不足の支援団体も

一方で外部支援団体。「ガテン系のニーズは続いています」というチーム熊本。「知名度は少しずつ広がっていますが、情報が伝わらない。熊本もう大丈夫でしょと県外からはいわれます」と運営スタッフはもどかしい思いをにじませます。

岩手県遠野市での経験を生かし活動する菊池市災害支援ネットワークも「参加を希望するボランティアの皆さんは、どうしても社協の情報を見に行くことが多いです。どう情報発信するか今回に限らず難しい問題。NPO自体の認知や理解にまだ課題があります」といいます。

ボランティアニーズが変わる中でぜひお願いしたいことがあるといいます。それは「ぜひきてもらって観光してもらって、熊本の品を買ってもらうこと。それだけで熊本の人は勇気付けられます。名物料理を食べて、だんだんきれいになる熊本城、街なかを見てもらいたい。熊本の人が元気になる」と県社協VCの桂所長。

南阿蘇村災害VC。周辺の通行止め情報のほか、近くの温泉や飲食店を手描きのイラストで紹介

西原村復興支援災害VCでは「崩れたまんまとか手付かずのところも多い。現地では復旧復興に時間がかかると受け止められていますが、関東の知人もニュースで目にしないという。末永く情報発信し続けていって、気にかけてもらいたい」と話しています。

「来てみないと分からないこと」

同村のボランティアに参加した男性は「村の中心部をみると震災にあった感じがしませんが、地元の人に被害が大きかった地区を案内してもらうと、家が倒壊し、道路は寸断され、池は決壊していました。同じ村内でも被災しているところ、していないところの違いは大きくて、まだ復旧していないところはたくさんある。熊本とひとくくりでは言い表せない。来てみないとわからないことがたくさんありました」

御船町でボランティア活動中の男性も「よそから来た人に『そんなに被害がないですね』と言われる。死者数数や被害規模で311と比べられる。でも被害の大きさは関係ない。被災者の心が大事。熊本としてはこんな災害は初めて。一人ひとりが生命や生活の不安をもち、まだ不自由な生活している人は多い。いまだ余震に身構えます」。

同町は山間部が7割を占めます。「土砂災害の危険が高く、町外や避難所に避難している人が多い。被害が大きい地域こそボランティアは入りにくい」という事情もあります。

御船町災害VCのセンター長(右)と並ぶボランティアの男性たち。県南のあさぎり町から仕事の休みを利用して通い、現場作業と運営のお手伝いを兼務しているそう

菊池市災害支援ネットワークでは「風化、情報がどんどん見えなくくなっていく懸念」「行き場を失うボランティアがでているかもしれません。窓口を開け続けておくことが大事。長く熊本に関心を寄せてもらうためにも」と発信強化を意識しています。

また西原村災害VCのスタッフは「せっかく関心を持ってくれた人たちに現状を通じて現地の様子を伝えていきたい」。大津町災害VCはブログを毎日更新し続けてきました。こだわりは「本日の“にっこりほっと”」の紹介です。「被災してかわいそうな人たちと見てほしくない。負のイメージではなく、同じ生活者として見てほしいのです」と同VC。

活動に参加することに限らず、観光したり食べたりすることで復興を支えるボランティアになると話します。熊本市災害VCでは、参加できなかった人にVC推薦の飲食店を案内したチラシを配っていました。参加した場合でも「黙々と作業するだけでなく、楽しんでいただきたい。ボランティアと観光をまとめて楽しむボランティアツーリズムのお手伝いもしています」(熊本YMCAスタッフ)と話していました。

JR熊本駅前では、NPOメンバーが県内全域のボランティア情報を案内します。4月29日から続けており、最近は毎週土日8~11時頃いるそうです。お盆期間の8月13・14日も開設しました。「ただし8月20・21日は人繰りがつかないため、掲示板だけでのご案内になる可能性があります」とのこと

「被災地のことを伝え続ける」意味を被災地の人たちはどう考え、取り組んでいるのか。どうすればみんなの幸せにつながるのか。この1年を通して話を聞き、現地を歩き、答えを探っていきます。

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