熊本地震1カ月 各自治体の「表情」を訪ね歩く

最終更新:2016/5/14 5:38

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キーポイント

  • 避難生活が長引く一方、仮設住宅の建設が一部で進んでいます。
  • 道路や鉄道が寸断され、通学や観光への影響が続く地域もあります。
  • 復旧・復興のため全国からの支援をまだまだ必要としています。

熊本地震の発生から5月14日(土)で1カ月。12日(木)と13日(金)に熊本市、益城町、西原村、阿蘇市、高森町、南阿蘇村、宇土市を訪ねました。(ヤフー株式会社 北九州編集室 山内安子)

「避難所より家で寝たい」

【南阿蘇村】南阿蘇中学校の避難所。避難者はピーク時に1000人を超えましたが、現在は250人余り。食事の配給を受けに来たという同村長野の男性(67歳)は「水道がまだ使えない。家の前まで土砂がきて土のうで食い止めている。しばらく車の中で寝ていたが疲れて自宅に戻った。避難所で周りに気をつかうより家で寝たい」。日中は近所の屋根に雨漏りを防ぐブルーシートをかける手伝いなどをしているそうです。

心のケアが大事に

日本赤十字社の救護班が仮設の診療所や手術室を設営。「発災直後は打撲や切り傷が多かったのですが、避難生活が長引いて心のケアが重要になっています。看護師が巡回するなど細かな対応を心がけています」と姫路赤十字病院の医師。

ペットと寝泊まり、変わらぬニーズ

【益城町】再春館製薬の敷地内でNPO団体が運営しているテント村。19世帯54人がペット28匹とともに避難しています。「今も見学希望が来ています。需要はまだあります」とスタッフ。外出時にペットを預けるプレハブには12日、エアコンを設置。熊本市中央区からメスの愛犬とともに避難してきた女性は「ここ1カ月は心拍数が上がりっぱなし。この子もまだ興奮しがちですが、大事にしてあげたい」。

市庁舎は崩壊の危険、夜間も監視

【宇土市】鉄筋コンクリート造り5階建て市庁舎は地震で4階部分が押しつぶされました。崩壊の危険があるため、国土交通省が定点カメラと照明を設置し、夜間も監視を続けているそうです。敷地内に仮庁舎を建てる計画はあるものの具体的な時期は未定といいます。

市民体育館で通常業務

【宇土市】市庁舎にいた職員200人のうち140人が市民体育館に移り、5月10日から通常業務を再開しました。電話とパソコンが各課1台ずつしかない中で「市民の皆さんには不便をかけますが発注中です」と担当者。自ら被災した職員も。各避難所に分かれて運営にあたるほか、交代で泊まり番して緊急対応に備えているそうです。

仮設住宅の着工急ピッチ

【西原村】計画の302戸すべて着工、すでに2棟の骨組みができていました。「早く入居いただきたい。急ピッチで進んでいます」と村総務課担当者。6月中には完成予定です。

災害ごみの全容見えず

【阿蘇市】災害ごみの仮置き場です。木材、金属など7種に分別して処分場に運びます。がれきを積んだトラックが次々に到着していました。同市市民課は「一時に比べて量は減りましたが搬入は続いています。最終的にどれだけの量になるかまだ見えません」。

倒壊したままの家屋も

【南阿蘇村】一方で、倒壊したままの家屋もまだあちこちに残っています。

南阿蘇鉄道、復旧のめど立たず

【南阿蘇村】南阿蘇鉄道の駅舎で最も被害が大きかった「阿蘇下田城ふれあい温泉駅」。屋根瓦が崩れたり柱がずれたりしたままです。地面にも亀裂が走っています。

高校生「親の負担軽くしたい」

【南阿蘇村】車窓に広がるのどかな田園風景が観光客に人気でした。また地元住民の大切な足でもありました。県立高森高校3年の女子生徒は、臨時バスが午後5時出発のため部活動は毎日30分のみ。「降りた後は親に往復1時間かけて送り迎えしてもらっています。お手伝いして親の負担を軽くしないと」。

義援金を受け付け

【高森町】南阿蘇鉄道ターミナル駅。車庫から出して数日ごとに車両の点検と空気の入れ替えをしています。「まだまだ先は見えませんが、社員一丸となって一日も早い復旧に向けて頑張っていきます」。応援の声は日が経つにつれて減ってきているといいます。駅構内で応援グッズを販売するほか、銀行口座で復旧義援金を受け付けています。

農家からの入荷は伸びず

【阿蘇市】「道の駅阿蘇」にはレタスやウド、イチゴなどが並んでいました。マネージャーは「農家からの入荷は減っています。道路がようやく整って物流は回復してきましたが、外からのお客さんが減って売れないので」。市内ではコメ生産が盛んですが、水田の地割れや陥没で作付けができない農家も少なくないそうです。「われわれも余震におびえている。安全ですからおいでくださいとは言えません」。特産品セットのインターネット販売に力を入れています。

「阿蘇山がやめろと言っているのかな」

【阿蘇市】
同市一の宮町でシイタケを露地栽培する男性(75歳)。味と香り、色が自慢です。地震でクヌギの原木が倒れるなどした影響で、春の作業が遅れています。「去年は収穫期の秋に阿蘇山が噴火して火山灰をかぶりほとんど出荷できなかった。阿蘇山がもうやめろと言っているのかな」。

長崎や箱根のロープウェーが協力

【阿蘇市】JR阿蘇駅に隣接する産交バス営業所の一角で、阿蘇山ロープウェー職員がグッズを販売していました。「火山灰を固めたくまモングッズ、人気なんですよ」。阿蘇山噴火でロープウェーは2014年8月から運休中。「アトラクションや売店は営業していましたが、地震で道路が閉鎖。少しでも売り上げを出したい」。長崎や箱根のロープウェーが販売に協力しているそうです。

「阿蘇はきれい。癒やされました」

【南阿蘇村】環境省「名水百選」の一つ、白川水源。変わらぬ水量がわいていますが、人影まばら。熊本市方面と結ぶ俵山トンネルや阿蘇大橋が崩落し「このまま孤立してしまわないか不安」と売店スタッフ。「余震は続いているし梅雨入りして地盤が緩んだら……道路はできるんでしょうか」。母親(71歳)と車で訪れた熊本市北区の女性(46歳)は「震災後初めて遠出しました。う回路で時間はかかりましたが意外と走りやすかった。やっぱり阿蘇の新緑はきれい。癒やされました」。

車中泊を支えるボランティア

【熊本市】車中泊の人たちを支援するよか隊ネット。県内外の団体が協力して炊き出しなどを行っています。「避難者は減りましたが、見えなくなっただけともいえます。長期的な構えで取り組んでいきます」

高校生が毎日交代でボランティア

【宇土市】災害ボランティアセンターによると、ニーズは物資の搬出入や配布、避難所の清掃などから最近はがれきの処理や家の中の片付けが増えているといいます。秀岳館高校(八代市)の生徒たちが毎日交代で駆けつけます。生徒会長の椎葉由樹さんは「被災した生徒も多い。私たちができることはやっていきたい」。

「がまだせ熊本!」

【熊本市】JR熊本駅の改札口前。同駅のJR九州社員が手書きしたというメッセージがホワイトボードに貼られ、行きかう人たちに語りかけています。「皆さまから頂いた力で 少しずつ熊本も 元気を取り戻します がまだせ(頑張れ)熊本!」