益城町の物資ニーズ「水道が使えない」影響濃く

最終更新:2016/5/9 20:32

キーポイント

  • 水道が復旧していない地域で「水」問題が多様化しています。
  • 暑くなる季節、感染症を防ぐため殺虫剤や除菌剤のニーズが高まっています。
  • 家屋再建の資金やメンタルケアなど、物資以外への心配の声も聞かれました。

地震で大きな被害を受けた熊本県益城町。救援物資のニーズは変化を続けています。4月27日(水)時点では「生活必需品」が求められていましたが、10日後の5月7日(土)と8日(日)に3つの施設を訪ねると、「水道が使えない」という不自由を補うための物資を調達する動きが目立っていました。(ヤフー株式会社 北九州編集室 山内安子)

上下水道がいまだ使えず

同町総領にある有料老人ホーム「くましき」。44人が入居しているほか、デイサービスを行っています。住家が倒壊し車中泊する近所の人を受け入れることもあります。

一帯は地盤の隆起や陥没が激しく、地下を走る上下水道の復旧めどはたっていません。飲用と調理用、口腔(くう)ケアのため、お茶と水を合わせて毎日2リットルのペットボトル約20本を消費します。先月27日(水)に比べると明らかに段ボールケースを積み重ねた「水の山」が低くなっていました。

「各方面から物資をいただき、飲料水も生活用品もそろっています。ただ水道が使えない状態がいつまで続くのか。この先底をつく不安はあります。お願いすれば届けてもらえるのでしょうが」と担当スタッフは話します。

何より困っているのが洗濯や食器洗いができないことです。トイレには近くでくんできたわき水を利用していますが、衣類や食器類は使い捨て製品に頼らざるを得ません。

被災地支援のためアスクル(株)とヤフー(株)などが立ち上げた「LOHACO応援ギフト便」を利用し、朝昼晩の食事に使う紙コップやプラスチック製スプーン、食べこぼしを吸水するパルプ製のエプロンを注文。7日に商品が到着しました。

水をくんで運ぶための長靴や台車も

近くの有料老人ホーム「桜花」。平均80代の高齢者9人が入居。4月28日にはデイサービスを再開しました。

こちらも水道が使えないため「食器洗いやトイレ用に近くのわき水をくみに行くための長靴や、運び込むための台車があると助かります」と担当スタッフ。缶詰や抗菌シートなども注文しました。

また夜間は余震の不安からか入居者の失禁が増えているそうです。洗濯できないため、替えの敷き布団を確保したいといいます。

一方、玄関前のコンクリート床はひび割れて危険なため、はがしました。建物には応急危険度判定による「危険」との張り紙も。隣家が傾いて建物の非常口がふさがった状態です。「安全な土地に移転して1階建てにしたい。億単位かかる見込みですが、いま欲しいのはその資金です」

病院にとって「感染症が一番怖い」

「益城病院」では、ライフライン寸断により200人近い入院患者が全員、転院または退院しました。今月に入って外来診療を再開し、入院患者受け入れの準備を進めています。

8日には「応援ギフト便」で注文していた吸水凝固シート付きの簡単トイレ、台所用漂白剤、洗剤、ハンドソープ、紙コップ、プラスチック製スプーンなどが届き、関係先に配布しました。

「病院にとって感染症が一番怖い」と担当スタッフ。「仮設トイレには気温が高くなると蚊やコバエがわいてきます。虫が媒介して感染しないように、殺虫剤や蚊取り線香が必要。漂白剤はふき掃除などに使います。ふん便の雑菌もきれいにしてくれるので重宝します」

対策は手洗いの徹底です。なんとか手洗い場は確保したものの、施設全体では配管のズレや破損を復旧工事中。「補修できたと思ったら別の箇所の破損が見つかったりで、毎日状況が変わっています」と復旧のめどは見えません。

このほか、通常業務の本格化に伴って電子カルテを再開するために、パソコン、液晶モニター、プリンターなどを修理するためメーカーに問い合わせているところだそうです。

「物流はだいぶ回復しましたが、こまごましたものが調達しにくいです」。たとえば芳香剤、セロハンテープやホワイトボード用のペンなどの事務用品です。

復旧がひと段落したら、メンタルケアも

職員の中には自宅が全壊した人も。家族ごと病院で受け入れています。事務局幹部は「洗濯ができないので着替えが必要です。ただ衣服を使い捨てるわけにもいかないし。仮設の洗濯機はないものでしょうか」。

「今後の気がかりは職員のメンタル」という課題もあります。「今は復旧へと向かう途中。自宅修理に400万円という負担を抱えながら頑張る職員もいる。ひと段落ついたらガクンと落ち込む時がくる。その時どうするか、考えていかなければ」と話しています。

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