地元テレビは今なお「L字」 地震情報の制作現場

最終更新時間:2016/5/7 15:16

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キーポイント

  • 地元局は現在もテレビ画面上にL字型の字幕を出し、地震関連情報を提供しています。
  • 車中泊や県外避難の方には特設ウェブサイトやSNSで発信する動きもあります。
  • いま必要な情報は何か、スタッフの生活感覚や視聴者の反応をもとに自問自答が続きます。

災害時などに緊急情報を知らせるテレビの「L字情報」。熊本県内の地元放送局は今なお流し続けています。最新の避難所数、住宅支援、健康相談窓口、災害ごみの受け入れ先など、内容は各局さまざま。どのように運用しているのか、熊本県民テレビ(本社・熊本市)を訪ねて聞きました。(ヤフー株式会社 北九州編集室 山内安子)

NHK、民放とも「L字」で地震関連情報

熊本県内でテレビ(デジタル放送)をつけると、通常の番組放映中に「L字」画面が表示されます(5月7日午前8時現在)。

【1ch NHK総合】熊本地震 今後も警戒
【3ch 熊本放送】RKK地震情報
【4ch 熊本県民テレビ】KKT地震情報
【5ch 熊本朝日放送】KAB地震関連情報
【8ch テレビ熊本】TKU地震情報

内容は、避難情報、給水場所、り災証明書受付、免許証をなくしたら、臨時託児サービス、災害ごみの受け入れ先、スポーツ施設開放、悪質業者やデマ情報への注意呼びかけ、迷子のイヌ・ネコに関する問い合わせ先、エコノミークラス症候群を防ぐ弾性ストッキングのはき方など、各局さまざまです。

このうち熊本県民テレビでは、4月14日の発災後から24時間提供を続けています。

同社1階の報道局フロア。県や市町村、企業からファクスで届いた情報が仕分けされています。陣頭指揮をとる丸山淳一・取締役報道局長によると、L字掲載までには情報が既に古くないか電話で「裏取り」したり、官公庁のホームページで制度を確認したり。公式情報を出していない相手先とは電話やメールで直接やりとりすることもあるそうです。

交通情報、断水状況、死者・不明者など、主要な災害情報はホワイトボードに書き出し、最新の状況を本放送に関わるスタッフと共有します。

「当初のL字は水道や電気などライフライン、病院、炊き出しといった情報が中心でした。今は住宅など生活再建に関する情報が多くなっています」と丸山局長。

情報選びは日々の実感をもとに

掲載の基準は、コマーシャルチックにならないこと、あやふやな部分がない情報であること。「やっぱり水は大切」「電気がないと大変だ」。地震に関する大量の情報の中から何を発信すべきかという判断には、被災者でもあるスタッフの日々の実感が反映されているといいます。

L字情報を入力するのは元女性アナウンサーです。「誤りがあってはならない作業。信頼のおける人にアルバイトの形で応援を頼みました」(丸山局長)。

夕方帰る段階で朝まで出して問題ない情報か確認。その後に新しい情報が入れば、手が空いているスタッフや夜勤当番が更新しています。

「L字は流れてしまうため欲しい情報を確認しにくい」という問題を解決するため、データ放送でも発信しています。

避難生活を送る方たちへ、SNSで発信

また同社では、TwitterとFacebook、そしてウェブサイトでも情報発信。担当者間で紙の情報を回しながらそれぞれ入稿し、テレビ放送を見られない車中泊や県外避難の方たちにも届けようとしています。

同社ホームページから入れる特設サイトには、さまざまな情報を集約しています。サイトは今年1月、九州北部を襲った大雪の情報を発信した初の試みの経験をもとに立ち上げました。

文字だけが並ぶシンプルなリンク集。スマートフォンや携帯電話にできるだけ負担をかけずに見られるように配慮したのだそうです。
一方でガス会社のページがアクセス集中でつながりにくい状況が続いた時は、復旧予想を示す地図を送ってもらってページに貼りつけるといった対応もしたそうです。

これから求められる情報は

発災から3週間経った今、熊本市内ではライフラインの復旧も進み、元の暮らしに戻る動きも出ています。炊き出し、給水、お風呂など生活に必要な情報は各地域で浸透している部分もあるといいます。しかし県内で自宅に戻れず避難している人は、ピーク時から大幅に減ったとはいえ2万人います。

余震が続き、いつ収束するか見えない状況。丸山局長は「情報を必要とする県民がいる限り続けていきたい」と語る一方で、不安と緊張が続く中で「励ましが大切になってくる」。民放4局とFM局と地元新聞社は統一キャンペーン「支えあおう熊本」を始めました。
今どんな情報が必要か - そこに意識を向けながら発信を続けます。

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