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三菱商事の若手社員が脱炭素社会の実現に挑む

提供:三菱商事

最終更新:

今回の座談会にご参加いただいた三菱商事のCCUSタスクフォースのメンバー。写真左から小山真生さん、小﨑知恵さん、中村富郎さん。※奥村龍介さんは米国シリコンバレーよりオンライン参加

温室効果ガス削減を定めた「パリ協定」の目標達成に向け、2050年までにCO2排出を実質ゼロにするため、三菱商事が取り組むのが「CCUS」だ。30代の若手社員を中心とした10人規模のグループ横断型のタスクフォースで挑む。このCCUSの取り組みについてAERA編集長の片桐圭子が聞いた。

パリ協定が示したCO2排出量削減目標を達成するための手段として、いま注目されているのがCCUS(Carbon dioxideCapture Utilization and Storage)。三菱商事でそのCCUSに挑むのは、それぞれ所属部署が違う、全社横断型のタスクフォースチームだ。今回は奥村龍介さん、小山真生さん、小﨑知恵さん、中村富郎さんの4人のメンバーに取材。三菱商事が取り組むCCUSの内容や、その展望とは。

――そもそも「CCUS」という言葉がまだあまり浸透していないですよね。どういうことなのか、具体的に説明して頂けますか。

小﨑 CCUSとは、地球温暖化の原因となるCO2を回収して有効利用(CCU)、または貯留(CCS)することを指します。CO2の排出を抑えるだけではなく、CO2を資源として回収して利用することで環境問題に取り組むと同時に、新しいビジネスを創出する。低・脱炭素社会実現のために期待されている技術です。

小﨑知恵 Chie Kozaki 三菱商事株式会社 天然ガスグループCEOオフィスカーボンリサイクルユニット

――CO2 の回収や貯留というのは具体的にはどう行うのでしょうか。

小山 回収は、工場の排気ガス等に含まれるCO2を化学反応を起こしたり、膜で濾過したりして取り除く方法があります。身近な例だと、炭酸飲料やドライアイスはCO2排出量の多い工場の排気ガスを使って作られているものなんです。実はもうCO2の再利用は実現できているので、問題は排出と再利用のバランスです。ネット排出量ゼロを果たすためには、CO2濃度が低い排気ガスからCO2だけを効率的に取り出すにはどうすればよいかがポイントになる。今はそこに取り組んでいます。将来的には大気中からのCO2の回収も可能になると思います。

脱炭素で先をいく欧米カルチャーにギャップ

菅首相は2020 年10月の就任後初の所信表明演説で、2050 年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする「ネット・ゼロ宣言」を表明。業界の意識を「カーボンニュートラル」に向けた。三菱商事はCCUS 事業の成功に向け取り組む。

小山真生 Masao Koyama 三菱商事株式会社 金属資源グループCEOオフィスローカーボンタスクフォース

奥村 ネット・ゼロの難しさは、その先端をいくカリフォルニアなどでは相当前から言われていましたが、欧米の「難しいことをやるのがカッコいい」カルチャーと日本の「できないことは言わない」カルチャーとでは大きなギャップがある。日本人の場合、それが自分ごとになった瞬間にブレークするのではないかと思います。ゴミの分別をきちんとできる国民性をCO2の回収に生かせれば、日本は一気に変わるかもしれません。

――CCUS で、個人でもできることはあるのでしょうか。

小﨑 昨年までニューヨークにいたのですが、サステナブルファッションがすごく流行っていて、低炭素に取り組んでいるブランドの商品を身につけることはすごくクールなことだという意識が浸透していました。そうしたファッションで情報発信や意思表示をするのも個人でできることの一つだと思います。

小山 ポップな人たちや最先端の人たちにインフルエンサー的にやってもらうと浸透するでしょうね。

中村 私は先月までブラジルにいましたが、ブラジルでもサステナブルなことに取り組んでいる企業は多く、そうした企業を消費者が選んで意思表示するという流れもできていました。SNSを使ったビジネス戦略が上手く、日本も真似できることは多いと思います。

中村富郎Tomiro Nakamura 三菱商事株式会社 総合素材グループCEOオフィス事業構想・デジタル戦略ユニット

CO2で衣類も 究極のエコ社会が実現

――この仕事で、自分に、あるいは次の世代に、何が得られると思い描いていますか。また、やりがいを感じることや、大切にしていることは?

小山 CCUSは未来を〝究極なエコ社会〞にすることができる、一つのアイテムだと思っています。CO2リサイクルで代用できる製品もある。例えば、ウォッカやアルコール消毒液、コンクリート、ポリエステル、ガソリンなど、意外となんでもCO2で作れるんです。我々がいま作ろうとしているのはコンクリートやポリエステル衣類、ペットボトルです。将来的にはガソリン車もCO2を回収・再利用したガソリンで走らせることが技術的には可能です。

中村 CCUSを社会に広く流通させるための仕組みづくりから参加できるというのは三菱商事らしいなと思います。始めるところの発射点が低いというか、作り上げていくものが大きい。チャレンジの面白さも感じます。

奥村 ケネディ大統領のムーン・スピーチではありませんが「難しいとわかっているからこそやる」というシリコンバレー的とも言えるマインドセットはすごく大事です。チャレンジを誇りにしている部分もある。仲間とこの感覚が共有できているうちは大丈夫かな、と思います。

CO2はいずれ静脈的に リサイクルも当たり前

――今の仕事が未来にもたらすものはなんだと思いますか?

奥村 CO2のインフラは100年後にはもう当たり前で、当然ないと困る静脈的なものになっていると確信しています。例えば下水道って、紀元前2000年頃のモヘンジョ・ダロで最初に作られた時はものすごくイノベーティブなものだったと思うのですが、今ではあるのが当たり前になっていますよね。CCUSについても、100年後に、最初に取り組んだチームとして我々を思い出してもらえたら、ちょっとカッコいいかな、と思いますね。

奥村龍介 Ryo Okumura 北米三菱商事会社 シリコンバレー支店エネルギー&カーボンマネジメント

小﨑 日本人は「もったいない」というコンセプトが浸透しているので、CO2でもその意識が高まれば再利用が進むはずです。我々の仕事を起点に広まって、それが当然になっていたらいいな、と思います。

中村 CO2が増えて温暖化が進めば、気候変動で住めなくなる地域が出てきたり、絶滅の危機に瀕する動物も増える。マイナスの変化を少しでも食い止め、環境問題に貢献できているという実感を持って働けるのはうれしいです。

小山 僕らの仕事が「CO2リサイクルは当たり前」というドミノの最初の牌になれば。本当にそれができたら誇らしいですよね。

※AERA 2021年3月15日号(3月8日発売)掲載