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待ったなしの地球規模課題「気候変動」 私たちZ世代やミレニアル世代の未来はどうなるの!?

提供: 独立行政法人国際協力機構

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いま、地球規模で気候変動が加速している。これに伴い、台風、洪水、干ばつが増加し、日本でも、2020年に熊本県の集中豪雨、2021年に広範囲に渡って大雨が続く事態などが発生した。ほかにも海面上昇や生態系の変化など、世界中で、様々な問題が起こっている。「このままでいくと、21世紀末(2081~2100年)の気温は、最大で5.7度上昇する可能性がある」「ますます自然災害が増加する」という報告も。また、10月31日~11月12日にかけて、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)を批准するすべての国が参加する気候変動に関する国際会議「第26回気候変動枠組条約締約国会議(COP26)」が開催されたことも見逃せない。気候変動は、地球規模で解決に向けて取り組みが進められている、まさに待ったなしの問題なのだ。

では、私たちは具体的に、いったいどのような対策を講じればよいのだろうか? 気候変動の現状や、Z・ミレニアル世代が迎える未来とは...? 世界の人々が注目するホットイシュー「気候変動」について、研究の第一人者である高村ゆかりさん(東京大学未来ビジョン研究センター教授)、JICA職員の宮崎明博さん(気候変動対策室長)、モデル・長谷川ミラさんに語り合っていただき、そこから「私たちのこれから」について紐解いていく。

ここ数年の激しい気候変動は「人間の活動が原因である」と、公式に断定されている

――まずは気候変動の専門家である高村ゆかりさん、宮崎明博さんから、改めて、「気候変動の現状」についてお聞かせください。

高村:2018年に台風21号が上陸し、関西国際空港が浸水するという出来事がありました。2019年には関東に台風15号がやってきて、千葉のゴルフ場のネットが倒れたり、電気が止まったり...。ほかにも、2019年の台風19号で北陸新幹線が止まったり、線状降水帯によって雨が降り続けたりと、異常な気候が続いています。

こうした気候の変化は、間違いなく、「人間の活動」が原因となって起こっているものです。今年の8月、科学者たちが気候に関する研究を精査・検討して、「現時点でもっとも確かな最新の知見である」としてまとめた「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」という報告書が発表されたんですけれども、こちらにも、気候の変化は人間の活動によるものであるということが明記されました。初めて、公式な報告書によって、「この変化を作っている要因は人間である」ということが断定されたわけで、私たちは、より自覚と危機感を強めなくてはいけないタイミングであると感じています。

東京大学未来ビジョン研究センター教授 高村ゆかりさん

宮崎:私はJICAでの活動を通して、日本以上に世界、特に開発途上国で気候変動のインパクトが大きいと実感しています。日本の場合は、防災技術の向上やインフラ整備が進んだことによって、極端な気象事例でなければ、以前に比べて大幅に洪水などの被害は減ってきています。我々の日常生活への影響を最小化することができているといえるかと。一方、途上国の場合は、それほど極端ではない大雨でも街が浸水し、生活、経済が停滞し、大規模な被害へと繋がります。また、農業に従事する方が多く、大雨や干ばつで例年通りの作物が取れなくなり経済的に困窮するケースも少なくありません。今後、気候変動が進むと、ますます生活を維持できなくなる方が増えるのではないか、格差や貧困が進むのではないかと危惧しています。

――気候変動は、日本だけでなく世界で、人命や経済に関わる大きな影響を及ぼしているのですね...。では、Z世代の皆さんは、このような現状をどう捉えていらっしゃるのでしょう? 長谷川さんやその周囲の方々は、危機感を持っていらっしゃるのでしょうか?

長谷川ミラさん

長谷川:う~ん、「気候変動がヤバい!」とか「地球規模の課題である!」とか言われても、正直なところ、あまりピンとこないという若者が多いんじゃないかなあと思います。規模が大きすぎて、まだまだ、自分たちの暮らしに影響がある課題だということが理解されていないように思います。

――確かに日本で生活していると、直接的な影響を感じにくいという部分はあるかもしれませんね。では実際に、気候変動は私たちの暮らしにどのような影響があるのでしょうか?

高村:例えば、気候変動によって途上国の農業が打撃を受けると、私たちの食生活にも影響が出てきます。日本人はカロリーベースで6割以上を輸入食品から摂取していると言われています。ですから、途上国からの作物の供給が滞り、輸入食品が減ると、回り回って日本で食糧難が起こる可能性があるのです。ほかにも、気候変動によって生態系が崩れることで、自然の恵みが全般的に得られなくなるという危険性がありますよね。食糧だけでなく、森林、水、空気など、私たちの暮らしにとって必要不可欠なものが急速に失われていく可能性がある。そういうことが、10年後、20年後ではなく、もっと近い将来に起こりつつあるんです。

カーボンニュートラル、いまの技術だけでは達成できない!?

――宮崎さんは、JICAで、気候変動に関する途上国の開発協力を行っているとお聞きしています。具体的にどのような活動をしていらっしゃるのでしょうか?

宮崎:JICAでは、「温室効果ガスを減らす活動」「気候変動から人や国を守る活動」の、主にふたつの活動を行っています。

例えば、温室効果ガスの排出量が少ない発電所を設計・建設するための協力や、低・脱炭素の街づくり、公共交通の促進や森林保全など持続的な開発と気候変動の対応(緩和策)を行っています。ほかにも、将来の気候変動を見越した農業計画を策定したり、水供給、防災への対策など、途上国の方々と共に気候変動のリスクを軽減する幅広い開発協力を行っているんですよ。

JICA気候変動対策室長 宮崎明博さん

こうした活動を行う際に大切にしているのが「ルールづくり」の部分です。施設や計画を作るだけではなく、気候変動に対応した社会や仕組みを構築できるように、例えば法律、制度やガイドラインを作成するなど、上流の部分で「やらざるを得ない」環境づくりにも協力しています。

ちょうどいま、ベトナムでは、気候変動への対策を織り込んだ環境保護法を改正しているところですが、途上国でも、気候変動に対してダイナミックな取り組みが進められています。社会的に非常に大きなインパクトを残す可能性がある活動も多く、こうした活動への協力について、日々、大きな手応えとやりがいを感じながら取り組んでいるところです。また、10月末から実施されたCOP26の会合においても、日本をはじめ先進国が途上国と共にいかに気候変動に対応するか議論しました。チャレンジですが、具体的かつ野心的な目標を掲げることができるのか予断を許しません。

――高村さんも、気候変動をはじめとする地球規模課題の解決のために、日本と開発途上国の研究者が共同で研究を行う活動に携わっていらっしゃいますよね。

高村:はい。私が関わっているのは、独立行政法人科学技術振興機構(JST)とJICAが共同で実施している「SATREPS(サトレップス)」というプログラムです。既に様々な取り組みが進んでおり、最近ですと、降水量の減少に苦しむエチオピアで、乾燥に強い作物や農業の仕組みについて考える研究などを行っています。

もうひとつ、ユニークな事例としてご紹介したいのが、マレーシアでのパーム材活用プロジェクト。パームの油は、食品や医薬品に使われるポピュラーな材料なのですが、これを採ったあとの木材が、非常に強力なメタンガスを発生させるということで問題になっていて...。油を採ったあとのパーム材を、できるだけCO2を固定した形で木材の製品として活用しようという取り組みを行っています。

宮崎:SATREPSは途上国だけでなく、日本にとっても非常に有意義な取り組みですよね。先ほども申し上げたように、途上国では、日本ではできないような、チャレンジングな活動を行うことができますし、日本の技術を途上国に持って行って、そこで現地の研究者と一緒にイノベーションを起こし、その成功を日本に持ち帰ってくるということもできます。

実は、カーボンニュートラルって、いまの技術だけでは達成できないと言われているんですよね。途上国だけでなく、先進国、そして世界に、いま、新しい技術が必要とされている。ですから、途上国の人々と協力し合ってイノベーションを促進するということは、我々の未来にとっても、とても大切なことであると思っています。

Z・ミレニアル世代に必要なのは、体験を含む本物の情報である

――ここまで、高村さんと宮崎さんに、気候変動の現状やその影響、対策に関する取り組みについてお聞きしてきました。こうした説明を聞いて、長谷川さんはどのようにお感じになりますか? 率直な感想や、今後に向けてのアイデアなどを教えてください。

長谷川:細かな活動など知らないこともいろいろとありましたが、大枠については「だいたい知ってます」というのが率直な感想です。私たちZ・ミレニアル世代は、先輩の方々が思っている以上に世の中のことを知っていますし、SNSを通じて膨大な情報を持っています。ただ、先輩方が「若者はものを知らない」と思い込んでいたり、聞く姿勢を持っていなかったりすることも多いと感じます。そもそも、私たち人間が今まで欲望のままに生産と消費をしてきたから、いま、こんなことになっているとも言えるわけで。私は大人が変わることも大事だと思いますね。

私の周りの同世代の子たちは、よく「大人が情報を持っていないから、SDGsとかサステナブルの話をする空気にならない」と言っています。私がテレビでSDGsに関する情報発信をするようになって、「やっと最近お母さんと、『ほら、テレビに出ていた長谷川ミラちゃんがSDGsの話してたでしょ』って、話せるようになった」という声も聞きました。日常的に、世代間温度差や情報格差を感じています。

高村:なるほど、長谷川さんが積極的にSDGsに関する情報発信をしていらっしゃるのは、同世代だけでなく、上の世代にも気づいてほしいという思いもあるからなんですね。

長谷川:「変えたい」というより、単純に、情報がなによりも大切だと思っているからです。なにが本当かわからない。そういう世の中ですから、私は、自分で調べて、納得して、初めて情報を信じられると考えていて。いつも、私の発信に触れてくれる人には、私が自分の目でみて足で確かめた情報をちゃんと届けたいと思っています。

高村:そういう考え方って、すごく大切ですよね。目の前にあるものを鵜呑みにせず、自分で調べ、目で見て、話を聞き、しっかりと理解する...。素晴らしいアクションだと思います。ちなみに、情報を情報として得るだけでなく、現地で体感したい、途上国にも行ってみたいというような気持ちなんかもあるのでしょうか?

長谷川:もちろんあります。いま、旅行会社さんと組んでサステナブルツアーみたいなものをやろうと計画しているんですけれど。私自身ももっと多くの国に行って現状を見てみたいなと思っています。そして、経済的な事情などで世界に行くことができない子たちのために、情報発信を続けていきたい。現地に行った人、行けない人、いろんな人が情報を分かちあって、なにかに気付けるような、そんな世の中になるといいなって思っています。

宮崎:そういう意味で、JICAができることはありそうですね。JICAには、これまで築いた途上国政府などとの信頼関係や国際協力の豊富な経験があります。例えば、Z・ミレニアル世代の若者たちと一緒に途上国に行って課題解決のサポートを行ったり、コミュニケーションの場を作ったり...。長谷川さんのお話を聞いていて、世界の情報との接点のような役割が果たせるんじゃないかなと思いました。

気候変動は、いま対策しなければあとがない、待ったなしの課題です。途上国に関するすべての開発行為に対して気候変動を考慮しなければならないと考えており、先進国でも最重要課題として意識されています。また、SDGsの17のゴールのうち、「1.貧困をなくそう」「2.飢餓をゼロに」など11のゴールとも関係しています。国を超え、世代を超えて、ともに向き合わなければならないテーマ。若い皆さんの圧倒的な情報力や新鮮な発想と、我々の知見と経験を掛け合わせ、ぜひとも、よりよい未来を切り拓いていきましょう。