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スリランカの紅茶農園で持続可能な農業を支援 そして「午後の紅茶」はキリンCSVのフラッグシップに

提供:キリンホールディングス

最終更新:

スリランカの紅茶農園に生まれた少女

新型コロナウイルス感染拡大など暗いニュースが多い中、テレビを見ていてホッとできるような映像に出会えるとうれしいもの。例えばキリン「午後の紅茶」のアニメーションCMもその一つだろう。かわいいキャラクターに美しい茶畑の風景、「幸せの紅茶。午後の紅茶」というキャッチコピー。見ているだけで気持ちがほっこりしてしまう。そして、たった30秒のCMながら、ちゃんと物語になっていて、実は重要なメッセージがぎっしり詰まっている。そこに込められた思いを知った後、あなたは「午後の紅茶」をどんな風に味わうだろうか。

描かれているのはざっとこんな物語――スリランカの紅茶農園に生まれた少女が、「スリランカから、世界に認められる質の高い茶葉を作りたい」という父親の思いを継ぎ、茶葉づくりを学びながら成長。大人になった少女は、農園のレインフォレスト・アライアンス認証取得を通じて父の思いを実現させていく・・・。
「CMを作るにあたって最も苦心したのは、いかにして短い時間で伝えたいことをきちんと伝えられる構成にするか、でした。説明的ではなく、パッと見ていいなと共感していただけるように、脳に直感的に働きかけてくるようなストーリー仕立てにしました」
そう語るのはキリンビバレッジ マーケティング部の池田翔悟氏。CMの制作にも深く関わった、「午後の紅茶」のブランド担当だ。アニメーションという手法を選んだのも直感的な働きかけを狙ったものだろうか。

キリンビバレッジ株式会社 マーケティング部 池田翔悟氏。

「いえ、本当は現地に行って実写で撮影する予定だったんです。スリランカの茶畑の壮大な風景を伝えたかったのですが、新型コロナウイルスの感染拡大によって断念しました」
では、どうやったら自分たちの思いを伝えられるか。議論した結果、数々の受賞歴を誇る海外のアニメ制作会社「Unlisted」「Hornet」に依頼することにしたという。オリジナルアニメには、キリンならではのこだわりを反映させることを忘れなかった。

「現地のリアリティーにはすごくこだわりました。服装や持ち物、草木、レインフォレスト・アライアンス認証を取得している農園に必ずある看板など、ディテールに至るまでです。現地を訪れたことのある何人かに確認すると意見が食い違ったり、アニメ制作会社のアーティストとしての表現と調整が必要だったりと簡単ではありませんでした」

35周年を迎えた「午後の紅茶」とスリランカへの思い

スリランカの人が見て、「これスリランカじゃないよ」と言われることだけは絶対に避けたかったと池田氏は言う。なぜそれほど配慮したのか。それは、キリンがこのCMで最も伝えたかった思いに関係してくる。
「1986年発売の『午後の紅茶』は、今年35周年を迎えました。スリランカの茶葉は発売当時から一貫して使っていて、『午後の紅茶』に欠かせない存在です。実は日本に輸入される紅茶葉の約50%はスリランカ産で、その約24%が『午後の紅茶』に使用されています。おいしい『午後の紅茶』をお届けし続けるためには、スリランカの紅茶農園が持続可能でなければなりません。今回のCMでは、『午後の紅茶』を支えているスリランカの紅茶農園の方々の、環境を大切にしながら良い茶葉を作っていきたいという思い、我々のスリランカに対する35周年の感謝の思いを伝えたかったのです」

スリランカはインドの南にある熱帯の島国。世界遺産が8つもあり観光地としても人気だ。日本との縁も深く、戦後のサンフランシスコ講和会議で各国が日本に膨大な賠償金を要求しようという時、セイロンの代表が対日賠償請求権を放棄すると宣言し、日本の早い国際復帰につながった。

インド洋の真珠ともいわれるスリランカは、以前の国名がセイロン。涙のしずくのような形をした北海道の8割ほどの面積の島国だ。そもそも「午後の紅茶」はなぜスリランカの茶葉を使っているのだろうか。
「スリランカは、セイロンティーで名高い世界有数の紅茶の産地。島の中央部から南部にかけて山岳地帯があって、雨がよく降り水に恵まれ土壌も豊かなため、色、味、香りのバランスがとれた良質な茶葉を安定して供給できます。さらに標高や気候の違いによって、ヌワラエリア、ディンブラ、キャンディ、ウバなど産地ごとに特徴の違う茶葉が生まれますから、商品に応じた使い分けができるのです」

「午後の紅茶」のパッケージには、ストレートティーに「ディンブラ(20%使用)」、ミルクティーに「キャンディ(20%使用)」、レモンティーに「ヌワラエリア(15%使用)」などと使用茶葉(=地域名)が明記されている。スリランカには5大産地とも7大産地とも称される、それぞれに魅力の違う茶葉を産出する紅茶産地がある。そのバラエティーの豊富さは、世界中の紅茶の特色はスリランカ一国で用意できるといわれるほどだそうだ。

このCMで重要なキーワードとなっているのが「レインフォレスト・アライアンス認証」だ。主人公の少女が掲げる看板に描かれた緑のカエルがその認証マークである。レインフォレスト・アライアンス認証は、環境・経済・社会の面からより持続可能であることを、持続可能な農業基準に照らし、第三者認証機関が独立した立場から審査し、保証する国際的な農園認証制度。認証が得られれば、環境や社会に配慮していることが認められ、農産物の付加価値も高くなる。8月3日にリニューアル発売された「キリン 午後の紅茶 ストレートティー」250ml紙パックのパッケージには、その認証マークが付いている。

8月3日に発売された「キリン 午後の紅茶 ストレートティー」250ml紙パック(LLスリム)。スリランカのレインフォレスト・アライアンス認証農園の茶葉はまだ量が限られているので、まずは容器も持続性に配慮したFSC(R)認証紙を使用した紙パックで使われることになった。レインフォレスト・アライアンス認証は、自然と作り手を守りながら、より持続可能な農法に取り組むと認められた農園に対してあたえられる認証。https://www.rainforest-alliance.org/ja/    FSC(R)C137754

「キリングループは、2007年から始まった『キリンスリランカフレンドシッププロジェクト』の一環として、2013年からスリランカの紅茶農園のレインフォレスト・アライアンス認証取得を支援してきました。継続的に現地とのパートナーシップを築き上げてきたんですが、それを体現する商品は、実はこれまでありませんでした。今回の商品は、スリランカ産の茶葉100%、なおかつ現地のレインフォレスト・アライアンス認証農園の茶葉を使っています」

レインフォレスト・アライアンス認証取得支援

レインフォレスト・アライアンス認証取得支援とは、どのような活動なのか。長年スリランカでの支援に関わってきた、キリンホールディングス CSV戦略部で環境コミュニケーションを担当している藤原啓一郎氏に、まず認証取得支援のきっかけからうかがった。

キリンホールディングス株式会社 CSV戦略部 藤原啓一郎氏。

「2010年のCOP10(気候変動枠組条約締約国会議、生物多様性を議論する国際会議)の後に生物資源の調達品のリスクを調べ、2013年に行動計画を作って対処に動いた品目の中で紅茶を取り上げました。調査した結果、大きな問題は見つからなかったんですが、『午後の紅茶』はキリンの看板商品ですから、万が一にも森林破壊や児童労働のような問題があっては困ると考えたのです。レインフォレスト・アライアンスと組もうと決まった時、スリランカで認証取得している農園の数はまだひとケタでした」
認証を取得するためはどのようなことが必要なのだろうか。
「2021年に基準が変わりましたが、以前の基準でも細かく分けると100項目くらいあり、大きく分けると"経済""環境""人権"に分かれます。例えば、茶摘みさんの住居では天井の最低の高さが203cmと決められているなど、項目が細かく決まっていて、すべてをクリアする必要はありませんが、最低限やらなければならない項目と、ぜひやってほしい項目に分かれていて、審査で合格ラインに達していると認められると認証がもらえる仕組みです」

キリンの支援で作成されたレインフォレスト・アライアンス認証 取得のトレーニング会場で配布されている研修用冊子。

多岐にわたる項目をクリアするためには、「野生動物の保護」「廃棄物の管理」「排水処理」「農薬・肥料などの化学品管理」「土壌流出の防止」「子どもの教育」などのトレーニングが必要で、そのための主に研修費用を提供するのがキリンの認証取得支援だという。
その仕組みはこうだ。レインフォレスト・アライアンスが農園に認証を取ることを勧め、受諾されるとキリンが費用を負担して現地NGOがトレーニングを実施。農園が認証を取得すると、キリンはより持続可能な茶葉を調達することができる。

現地NGO(ASLM)のトレーナー、ギリ・カドゥルガムワさん。

「ただし、レインフォレスト・アライアンスからの提案で、審査費用だけは農園側に負担してもらっています。必要な資金すべてを提供すると、やる気のない農園まで手を挙げてしまうからです。また、お金を払うだけだと何が起こっているのか分からないので、毎年、現地に行って認証取得によってどう農園が良くなっていくのかを自分たちの目で確認しています。さらに、持続可能な農業をやっていく上で本質的に必要なことは何なのかを、農園のマネージャーとディスカッションするのです。こちらの思い込みでやっても意味はないですから。その上で必要だと判断したところは取り組みを拡大して支援しています」
何度もスリランカを訪れている藤原氏にこれまでの成果を尋ねてみた。
「5回ほどスリランカに行き、20以上の農園を見てきましたが、認証を取得した農園としていない農園はパッと見てわかります。トレーニングしていない農園は雑然としていたり畑の中にゴミがちらかっていたりしますが、認証を取得している農園は明らかにきれい。マネジメントレベルが確実に上がっているんです。農薬や肥料の適正量を学ぶことで、業者に余分に売りつけられることもなくなるので、農園の収益も上がりますし、残留農薬の問題もトレーニングした農園では起きていません。茶摘みさんの給料が上がり、農園に住む住民の疾病率が低下したというデータもあります」

農園で作業する茶摘みさん。

2020年末までに、スリランカの認証取得済み紅茶大農園の約30%に相当する累計93農園がキリングループの支援によって認証を取得した。これからの課題は80万近くもあるという、家族経営のような小農園の認証取得支援だ。
「最初は小農園がそんなにたくさんあると知らなかったんですが、現地のマネージャーやトレーナーから、キリンが大農園を支援してくれるのはうれしいが小農園の支援は興味ないかと言われました。よくよく理由を聞いてみると、小農園の茶葉を大農園が買い、それを加工して自分のところの茶葉として売っている。大農園だけが認証を取っても、小農園の茶葉は認証茶葉ではないので、別の場所に保管して別口として2重管理するので大変だと。事情を理解し、小農園にまで取得支援を広げることがキリンが買える認証茶葉が増えることにもつながると考え、2018年からは小農園の認証取得支援も始めています」
キリンは、2025年までに認証取得支援をする小農園(トレーニングを始める農園も含む)を10,000に設定している。小農園は数が多いのでトレーナーが1軒1軒回ってトレーニングするわけにはいかない。20~30の小農園で一つのグループを作って、グループの代表者をトレーニングし、その人が戻ってグループの小農園の人たちにそれを伝えるという形になるという。

キリンのCSVフラッグシップブランド

認証を取得している農園だけから茶葉を買うという方法もあったはずだが、キリンは認証取得支援という道を選択した。なぜ、そんな道を選んだのか。生産地全体の持続可能性を高める方が、将来的なリスクも回避でき、長年茶葉を提供してもらっているスリランカに貢献できると判断したのだという。そこにはキリングループのCSV(Creating Shared Value=共通価値の創造)という経営戦略が色濃く反映されている。社会課題を解決することで、社会的価値と経済的価値を創出し、持続的な成長を実現していくという考え方だ。
「午後の紅茶」は今年から、キリンのCSVフラッグシップブランドつまり旗頭として位置付けられている。その理由を池田氏に尋ねてみた。
「『午後の紅茶』は、年間約11.7億本を販売する、日本の紅茶飲料のNo.1ブランドです。もちろんキリンビバレッジの中で最大の商品ですが、キリングループ全体で見ても、最もお客様との接点が多い商品です。キリングループは酒類メーカーとしての責任に加え、"健康""地域社会・コミュニティ""環境"の3つの社会課題の解決を掲げていますが、『午後の紅茶』は3つのテーマすべてに関わってきます。お客様との接点が最も多く、キリンが掲げるCSVのテーマにマッチし、かつ会社の成長が見込める商品だということが、キリンのフラッグシップブランドになった理由です」

アニメCMは、「幸せの紅茶。午後の紅茶」というキャッチコピーで締めくくられる。「午後の紅茶」には、「いつでもお客様に幸せなときめきを届ける」というブランド・パーパス(ブランドの社会的存在意義)があり、商品やさまざまな活動を通して、消費者に幸せを届けたいという思いがそこにはあるからだ。だが、「幸せの紅茶。」という言葉を実感するのは、日本の消費者にとどまらないのではないだろうか・・・。取材後に、スリランカの紅茶農園の人々のことを思いつつ飲み干した「午後の紅茶 ストレートティー」は格別な味がした。

2007年から始まった「キリンスリランカフレンドシッププロジェクト」の一環として、紅茶農園のある地区の小学校に図書を寄贈している。これまで、200校以上に各校100冊程度の図書と本棚を寄贈している。