東京半蔵門にある福岡県のアンテナレストラン「福扇華」にて、福岡の食材や料理を楽しむイベントが開催されました。八女(やめ)手すき和紙や小倉(こくら)織、上野(あがの)焼などさまざまな工芸品がしつらえられた店内は、東京にいながらにして福岡を感じることができる上質な空間。福岡にゆかりのある方々が集い、福岡県の魅力を伝える映像などを観ながら旬の味を堪能したイベントの様子をレポートします。
プロフィール
こだまゆき
知らない土地での朝食がなによりも楽しみなフォト派のライター。iPhoneで撮るのも一眼レフで撮るのもどちらも好き。自由で気ままな女性ならではの目線で旅のレポートをお伝えしています。執筆業は旅関連の他、デジカメ、雑誌コラム、インタビューなど。趣味は顔ハメパネル。
福岡料理と旬の味 福扇華 | ふくおか
東京都千代田区麴町1-12-1住友不動産ふくおか半蔵門ビル1階
東京メトロ半蔵門線「半蔵門」駅3a・4出口より徒歩3分 定休日:土日祝、お盆、年末年始
個室ご希望の際はご予約時にお伝えください。個室ご利用は、夜の部のみ10%サービス料がかかります。
ご予約、お問い合わせ:03-3288-2170
平日 昼の部:11時30分~15時(L.O.14時)夜の部:17時~22時(L.O.21時)
※新型コロナウイルス感染症の影響により、営業時間が異なる場合があります。
約300年の歴史をもつ「大川組子」でできた、店内の扉。見た目は華奢(きゃしゃ)ですが、精巧に噛み合った部材は一枚の板のように頑丈だそう
「かたる」という福岡の方言をご存じでしょうか? 実は私は知らなかったのですが、博多では「参加する、仲間になる」という意味なのだそうです。ですので「私もかたらせて!」は「私も語らせて!」ではなく、「私も仲間に入れて!」の意味となります。ということで、今回のイベントに"かたった"のは、福岡にゆかりのある5組10名の皆さん。福岡出身の人や以前福岡に住んでいたことがある人など、福岡愛のある方々ばかりです。
皆さんが楽しんだのは、料理長自慢「四季の宴」コースの中から「福」コース。郷土料理のがめ煮や水炊きは福岡ならではの一品ですね
最初に料理長から全8品の料理の説明がありました。前菜は「博多がめ煮」と「博多蕾(つぼみ)菜の旬菜揚げ」。福岡県のブランド野菜である「博多蕾菜」は、1~3月頃に出回る今が旬の冬野菜で、熱を加えてもコリっとした程よい食感が残ります。椀(わん)物は「糸田すっぽんの丸仕立て」。滋味深いスープの中にしんじょに仕立てたすっぽんが入っています。お造りの「長浜港直送鮮魚二種盛り」は、天然ひらまさと「特鮮本鰆(ほんさわら)」。薄いピンク色の身が、盛り付けられた器の色とのグラデーションでさらに映える華やかな一皿でした。
博多蕾菜の旬菜揚げ(右)と、博多がめ煮(左)。春を告げる野菜と言われる「博多蕾菜」は、和・洋・中どんな料理にも相性がいいのだとか
焼八寸は「博多和牛のロース 若松潮風(R)キャベツソース」。グリルで塩焼きした牛ロースを、甘くてくせのない「若松潮風(R)キャベツ」のソースでいただきます。
おしのぎは「博多もものすけの蕪(かぶ)蒸し」。甘みのある赤蕪として知られる「博多もものすけ」をすりおろして蕪蒸しにしたもので、鐘崎漁港直送の穴子入りという贅沢(ぜいたく)な一品です。
主菜は福岡ならではの水炊きを各自小鍋で、ご飯ものにはうまみが濃縮された水炊き雑炊を。最後の甘味は、「あまおう」やキウイなどの旬の県産果物と梅ヶ枝餅が、冷製の八女茶チョコレートフォンデュとともに提供されました。
博多和牛のロースに添えられたのは、今が旬の「若松潮風(R)キャベツ」をすりつぶしてバターと生クリームで仕上げたソース。キャベツのソースって珍しいですよね
ワイングラスで提供された水出しの「八女伝統本玉露」での乾杯に始まってソフトドリンクでは旬の「あまおう」のビネガーサイダーなど、飲み物も福岡ならではのものが用意されていました。さらに、料理長おすすめ日本酒飲み比べセットも! 久留米市は若竹屋酒造場の「田んぼのめぐみ 袋取り純米吟醸」、飯塚市にある瑞穂菊酒造の「一鳥万宝」、福岡県久留米市の酒蔵「杜の蔵」の「翠水」の3本の日本酒が振る舞われました。
料理長おすすめ日本酒飲み比べセット。どれも福岡県内で造られたお酒で、今回は3本とも純米吟醸酒が用意されました
食事の合間には、「博多和牛」のソースに使われていた「若松潮風(R)キャベツ」と、前菜で天ぷらとして提供された「博多蕾菜」の生産者からのメッセージ動画を鑑賞するなど、より深く福岡県産の食材を知ることができるコンテンツも盛りだくさんだったこの日。
北九州市の「若松潮風(R)キャベツ」生産者、藤田雄一郎さんは、動画の中で「甘みが強くて、ぎゅっと巻きが強い」と「若松潮風(R)キャベツ」の特長を紹介しました。カメラを通じて音が轟々(ごうごう)と響くほど、海の近くで潮風を強く浴びている様子に驚きの声もあがりました。特に今年はさまざまな天候不順を耐え忍んだそうで、例年に比べて甘みが増しているそうですよ。
柳川市の「博多蕾菜」生産者、吉開優さんは、おすすめの食べ方を「天ぷらが一番おすすめ。ベーコンで巻いて素揚げも。減農薬で作っているので生(サラダ)でも大丈夫です」と紹介。収穫作業風景では、両手でないと持てないような大きな葉を広げる株の中に、隠れるように付いている芽の部分を指さして「この部分が蕾菜です」。まさかあんなに大きな株の小さなわき芽だなんて!とびっくりでした。
飲み比べの日本酒3種。皆さん利き酒を楽しまれている様子でした
終盤には、福岡のご当地CMや観光動画などの福岡県にゆかりのある映像も鑑賞し、これには思わず箸を止めて懐かしそうに見入る参加者の姿も。おいしい料理を楽しんだ後は、福岡の宴席や祝いの場で親しまれている欠かせない締め方、博多を代表する祭りの一つである博多祇園山笠で一番山笠のみがうたえるという「祝いめでた」と山笠が集合した際の締めである「博多手一本」にて、笑顔で締めくくられました。
一人ずつ小鍋で提供される水炊き。柔らかいのに程よくしまった鶏肉は、コクがあって美味。玄界灘から吹きつける潮風が畑に当たることで甘く育つという「若松潮風(R)キャベツ」も入っています
参加者の皆さんにお聞きした感想を最後にご紹介しましょう。「ここはランチでも来たことがあるんです」という福岡県出身の女性は、「今回のお料理、どれも本当においしかったです!」と大満足のご様子。「特に、若松潮風(R)キャベツソースで食べた博多和牛のロースが絶品でした」とのこと。ちなみに「博多蕾菜」や「若松潮風(R)キャベツ」はご存じだったかお聞きすると、「知らなかったのですが、東京で手に入るならぜひ買ってみたいです」と話してくださいました。
お土産には、福岡の特産品いろいろ
転勤で5年ほど福岡に住んでいたことがあるという男性は、「懐かしかったのは水炊きですね。福岡に赴任していた時は、冬場はよく水炊きのお店に行っていたんです」と赴任時代を懐かしんでいらっしゃいました。
北九州市出身の前田支配人との情報交換を楽しむ参加者の皆さん
他にも「福岡の食材をまるでフレンチのフルコースのように堪能させていただきました。博多もものすけや博多蕾菜、若松潮風(R)キャベツなど、初めて見聞きする野菜ばかり。どれもおいしかったので、東京でも探してみようと思います」などなど。皆さん福岡県の食材の魅力を、ココロと胃袋でしっかり再認識した夜となったようでした。