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関口メンディー、新城毅彦監督が語り合う「CINEMA FIGHTERS project」のジャンルの垣根を超えたエンタテインメント

提供:LDH pictures

最終更新:

「メンディーさんを主演にして映画を撮るとなったとき、普通に考えたらラブコメなのかもしれないけれど、せっかくのショートショートですから、僕も新しいチャレンジがしてみたかった。それに、絶対に"切ない"作品になるという確信もありました。メンディーさんはすごく優しいから」(新城)

新城毅彦監督がメガホンを取った短編映画「真夜中のひとりたち」は、主演の関口メンディー(EXILE /GENERATIONS from EXILE TRIBE)の温かく柔和な人柄にフォーカスして、人生のほろ苦さと小さな希望を描く大人の恋愛映画に仕上がった。グルメ番組で気持ちの良い食べっぷりを披露したり、スポーツバラエティーで驚異的な運動能力を発揮したり、はたまた女児向けドラマ「ひみつ×戦士 ファントミラージュ!」(テレビ東京系)でコミカルなボス役を演じたりと、多方面で活躍するメンディーを知る人にとっては意外性のある役どころに違いない。同時に、男の哀愁を湛えたその姿に、役者としての新たな可能性を見るはずだ。

EXILEや三代目J SOUL BROTHERSを擁するLDH JAPANと、俳優の別所哲也が代表を務める国際短編映画祭「ショートショート フィルムフェスティバル & アジア」によるコラボレーション企画「CINEMA FIGHTERS project」は、作詞家の小竹正人の詩の世界観を短編映画化するもので、11月26日に公開される「昨日より赤く 明日より青く」は同企画の第4弾となる。GENERATIONSのメンバーが総出演(ボーカルの数原龍友のみ楽曲での参加)しており、新城監督とメンディーがタッグを組んだ「真夜中のひとりたち」は、その一編だ。短編映画ならではの実験性を活かした同企画は、音楽コンテンツの幅を広げるとともに、映画業界に新たな風を吹き込む試みとして、業界での注目度も高い。

記念碑的な作品にしたい

メンディーは同企画に対して、「これまでの『CINEMA FIGHTERS project』では、LDHからピックアップされた個々のアーティストがさまざまな監督と組んで作品を作ってきましたが、今回のようにGENERATIONSというグループとして同企画に挑むのは初めて。片寄涼太や白濱亜嵐のように演技経験の多いメンバーもいれば、僕のようにほとんど経験のないメンバーもいます。おそらく今後、グループとしてこのような挑戦ができることはないし、だからこそ記念碑的な作品にしたいと考えました」と意欲を見せる。第4弾のメインタイトルとなった「昨日より赤く 明日より青く」は、GENERATIONSの現在地--アーティストとして成熟の時期を迎えつつも、まだ若く未来がある--を、小竹正人が詩的に表現したものだ。メンバーたちがそれぞれ演技に挑戦したことで、たがいに大きな刺激を受けたであろうことは想像に難くない。本作が成功を収めれば、他のアーティストグループにとっても指針となるだろう。

関口メンディー(EXILE /GENERATIONS from EXILE TRIBE)

「CINEMA FIGHTERS project」は監督の色が出た仕上がりに

一方、監督陣にとっても同企画は魅力的だ。90年代にドラマ「あすなろ白書」(1993年)や「イグアナの娘」(1995年)などの演出を手がけ、いくえみ綾の同名漫画を原作とした映画「潔く柔らかく」(2013年)などの作品によって"胸キュン映画の巨匠"とも評される新城監督だが、意外にも短編映画に挑戦するのは初めてだという。

「もともと若者向けの恋愛映画を撮ろうと思っていたわけではなく、2009年に青木琴美先生が原作の『僕の初恋をキミに捧ぐ』の監督を務めたら、それがヒットして、少女漫画原作のオファーが続くようになりました(笑)。ともあれ、僕もそうだけれど、10代や20代の多感な時期に観た映画は、良くも悪くも心に残るものです。純粋な気持ちで観にきてくれるお客さんが多いのは素直に嬉しいですね。ただ、原作ありきの長編映画を撮るとなると、多方面に配慮しなければいけないし、その規模感から監督の裁量だけで自由に撮ることは難しくなる。『CINEMA FIGHTERS project』の場合は、尺が20分という制約の難しさはあるけれど、その分、自由に撮らせてもらいました。それぞれの監督の色が出た仕上がりになっていると思います」(新城)

新城毅彦監督

音楽を軸にさまざまなメリットを生み出す

「昨日より赤く 明日より青く」には新城監督のほか、SABU監督、山下敦弘監督、森義隆監督、真利子哲也監督、久保茂昭監督が名を連ねている。どの監督も個性派揃いで、映画通ならそれぞれのアプローチの違いから作家性や時代性を読み解くという楽しみ方もできるだろう。中規模の作家主義的な映画が製作しにくいとされる日本の映画業界においては、稀有な企画といえそうだ。また、GENERATIONSのファンが、監督たちの他の作品に興味を抱くきっかけにもなるかもしれない。音楽を軸に展開することで、さまざまなメリットが生まれるのが「CINEMA FIGHTERS project」なのである。

小竹正人の歌詞からインスパイアされて物語を紡ぐのも、同企画のポイントだ。「小竹さんの歌詞は比喩表現が巧みだったり、さまざまな解釈が可能だったりして、文学的な余白を感じられます」(メンディー)、「通常は原作や脚本から映像を作って、そこからテーマにあった音楽を付けていくのだけれど、『CINEMA FIGHTERS project』はその反対。音楽から想像を膨らませていくのが楽しかったし、やり甲斐がありました。小竹さんの書いた『笑うしかないトラジディー』の歌詞に優しさが滲んでいたからこそ、こういう物語が生まれたのかもしれません」(新城)と、二人はその歌詞の魅力を紐解く。

「真夜中のひとりたち」は、バス停でたたずむ青木(メンディー)のもとに、見知らぬ女性の里実(阿部純子)が結婚式の引き出物の袋を置いて立ち去ろうとするところから物語が始まる。どちらも想いを寄せる人と結ばれなかったことがわかると、二人は行き場を失った指輪を質屋に入れ、夜の東京の街を歩くことに。失った恋への未練だけが二人を繋ぎ止める共通点だが、その関係性は果たして、ただ慰め合うだけのものなのか--。それぞれの静かな心の動きに、数原龍友が歌う「笑うしかないトラジディー」がそっと寄り添う。

「真夜中のひとりたち」

2021年のエンタテインメント業界の希望を感じさせる作品

「僕は現場であまり細々とした指示を出すタイプではなくて、役者の内面から素直な感情が出てくる瞬間を、逃さずに撮ることが大事だと考えています。もちろん、自分が納得できないものは出さないし、せっかく恋愛映画を撮るなら、お客さんが期待しているような美しい世界を見せたいと意識はしています。ただ、役柄と一番向き合うのは役者ですし、メンディーさんもしっかり咀嚼して現場に入ってくれたので、あとは彼の優しさが自然と滲み出れば十分だと思いました。世知辛い世の中だけれど、この作品を観て『やっぱり世の中捨てたものじゃないよな』と感じてくれたら嬉しいです」(新城)

「グループにとっての僕の役割は、他のみんながやらないことをやること。バラエティー番組に出たとき、最初は正直『どうしてこんなにイジられるんだろう』と不思議に思ったことはありますが(笑)、おかげで仕事の幅が増していき、他のメンバーも次々とバラエティー番組に挑戦するようになりました。今回も、僕自身も気づかなかった側面を引き出していただき、監督には感謝の気持ちでいっぱいです」(メンディー)

異色のタッグが紡いだ物語は、多かれ少なかれ孤独を感じることが増えた我々の心に暖かな火を灯すとともに、エンタテイメント業界がジャンルの垣根を超えて繋がっていくことへの希望が託された、2021年を象徴する作品のひとつとなるのかもしれない。