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佐藤丙午

佐藤丙午

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拓殖大学国際学部教授/海外事情研究所所長

報告

米国史の中で、大統領のFarewell Address(離任演説)は、どのスピーチにも心を動かされる。それは、トランプの離任演説も同じであり、ここまでに混乱はあったが、スピーチには4年間の大統領の職務に対する彼個人の誇りと、去り行く権力者の哀愁を感じた。 過去の離任演説では、歴史に残る名言や、その後の米国の行動を長く規定した「ドクトリン」なども生み出されてきた。初代大統領のワシントンのいわゆる「孤立主義」演説や、アイゼンハワーの「軍産複合体の危険性」を訴える演説などは、長く人々の心に残り続けている。 トランプの演説の重要なメッセージは、党派性を超えて自由の価値の下に国家の統合を求める点だろう。その内容は素晴らしいが、残念ながら、米国民の心には届かないかもしれない。トランプの演説はシンプルで、文字に起こすと意外にいいことを言っているが、映像や音声ではその良さが伝わらない、珍しい人物だった。

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コメンテータープロフィール

佐藤丙午

拓殖大学国際学部教授/海外事情研究所所長

岡山県出身。一橋大学大学院修了(博士・法学)。防衛庁防衛研究所主任研究官(アメリカ研究担当)より拓殖大学海外事情研究所教授。専門は、国際関係論、安全保障、アメリカ政治、日米関係、軍備管理軍縮、防衛産業、安全保障貿易管理等。経済産業省産業構造審議会貿易経済協力分科会安全保障貿易管理小委員会委員、外務省核不拡散・核軍縮に関する有識者懇談会委員、防衛省防衛装備・技術移転に係る諸課題に関する検討会委員、日本原子力研究開発機構核不拡散科学技術フォーラム委員等を経験する。特定通常兵器使用禁止制限条約(CCW)の自律型致死兵器システム(LAWS)国連専門家会合パネルに日本代表団として参加。

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