見解被害者救済委員会の設置が発表されましたが、第一弾の発表とはいえ、極めて問題だと言わざるを得ません。 委員会に性暴力や臨床心理、PTSDの専門家はいません。高齢な裁判官経験者だけで設置された委員会で果たして被害者が安心して被害申告ができる機関と言えるか懸念されます。 補償に対する基本的考え方や補償基準、賠償の原資も明確にされていません。 そもそもこうしたスキームは、最も重要なステークホルダーである被害当事者の意見を十分に聴取したうえで構築されるべきですが、被害当事者との意義ある対話がなされているのか、大いに疑問を感じます。 信頼できないシステムに安心してアクセスする被害者はなかなかいないでしょう。 早急に、被害者の方々にとって納得できる体制と基本方針を構築すべきですが、その大前提とすべきは、すでに声を上げている被害当事者との対話です。
コメンテータープロフィール
1994年に弁護士登録。女性、子どもの権利、えん罪事件など、人権問題に関わって活動。米国留学後の2006年、国境を越えて世界の人権問題に取り組む日本発の国際人権NGO・ヒューマンライツ・ナウを立ち上げ、事務局長として国内外で現在進行形の人権侵害の解決を求めて活動中。同時に、弁護士として、女性をはじめ、権利の実現を求める市民の法的問題の解決のために日々活動している。ミモザの森法律事務所(東京)代表。