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楊井人文

FIJ事務局長・弁護士

楊井人文

慶應義塾大学総合政策学部卒業後、産経新聞記者を経て、2008年、弁護士登録。2012年4月、マスコミ誤報検証・報道被害救済サイト「GoHoo」を立ち上げ、一般社団法人日本報道検証機構を設立。2017年6月、「ファクトチェック・イニシアティブ」(FIJ)を旗揚げし、事務局長。2018年4月、共著『ファクトチェックとは何か』を出版(尾崎行雄記念財団ブックオブイヤー受賞)。2019年4月、インターネットメディア協会(JIMA)監事に就任。早稲田大学次世代ジャーナリズム・メディア研究所招聘研究員。

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    • 楊井人文

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      「野党は増税反対」は、「今年10月の増税に反対」という意味で間違いではありませんが、野党内でも微妙に立場が異なるので注意が必要です。

      立憲民主党は公約で「10%への引き上げを凍結します」とうたい、引上げ自体に無条件に反対ではなく、当面は凍結という立場をとっています。国民民主党の公約も「消費拡大による景気回復を十分果たさなければ引上げを行うべきではありません」とあり、景気回復後の引上げを否定していません。支持母体とされる連合が消費税増税に賛成の立場であることが背景にあります。日本維新の会も「増税の前に身を切る改革」つまり増税自体は否定していません。増税そのものに反対しているのは社民党、共産党、れいわ新選組です。

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      ヤフーに掲載されたのは、共同通信が配信した記事の全文ではなく一部分です(全文は、日刊スポーツのサイトに掲載されています)。記事後半に書かれていた重要な事実を記しておきます。以下の情報も踏まえて、海外旅行の自由を制限するだけの十分な根拠があるのか、冷静に考える必要があるでしょう。

      「安田さんによると、外務省は、安田さんが解放されたトルコで強制退去処分と入国拒否を受けており、旅券法の規定に触れる可能性があると説明した。」
      「安田さんは拘束時にパスポートを奪われ、帰国後の1月7日に発給を申請。4月、外務省から渡航計画の提出を求められ、5月にインド、6月に欧州へ家族旅行したい考えを伝えた。行き先にトルコは含まれていない。」

      安田さんはFacebookで「現在の状況は、ほとんどの日本人が渡航できているインドやヨーロッパに家族旅行であっても行ってはいけないという事実上の処罰です」と訴えています。

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      政治家がマスゴミとの表現を使うのは不適切ですが、報道の側にも問題がありそうです。問題視されたのは毎日新聞の「小沢氏、国民民主『相談役』に 処遇ようやく決着 選挙戦略担当」との記事で、こう書かれていました。

      > 国民民主党の小沢一郎衆院議員は23日、党本部で玉木雄一郎代表と会い、玉木氏が務める党の総合選対本部長の「相談役」の就任を要請され受諾した。小沢氏のための新設ポストで、玉木氏に夏の参院選などに関する助言を行う。先月26日に小沢氏率いる旧自由党が国民と合併して以降、「懸案」だった小沢氏の処遇問題は約1カ月で決着した。

      玉木氏は「ようやく決まったわけではない」と反論しました。実はこの記事には、小沢氏が会談後、記者団に「本部長個人の相談役ということでなら『分かりました』と言ってきた」と話したと書かれています。たしかにこの発言と「1か月かけて23日受諾した」という報道は矛盾していますね。

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      この見出しはミスリーディングだと思います。実際は(日本企業が支払いに応じることは)「何の問題もない」と言っただけのようです。見出しの「賠償に応じるべき」だという表現は、外務省が支払いを積極的に要求したかのような印象を与えますが、実際の発言とは異なります。このように日本のメディアは、読者の注意を惹きたいためか、しばしば「発言内容」と「発言の趣旨についての記者の主観的解釈」を混同して伝える傾向があり、要注意です。

      韓国通信社「聯合ニュース」日本版の記事でも、外務省報道官の発言は「日本企業が大法院の判決を履行する場合は何ら問題がないとみている」と引用(翻訳)されており、「賠償に応じるべき」という表現で報道されていません。

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      憲法改正のためには与党(自民・公明)を中心とする「改憲勢力」が3分の2以上の議席が必要、というのが相も変わらずメディアが繰り返すステレオタイプな解説ですが、「現実」を反映しているとは言えません。公明党は「改憲勢力」とは言い難いですし、党議拘束を前提とした現在の国会・憲法審査会の枠組みでは、いくら「改憲勢力」が3分の2以上の議席を確保しても前進することはありません。野党第1党が抵抗すれば手続きが進まない仕組みになっているからです。野党第1党が抵抗している理由の一つは、3分の2の「改憲勢力」が野党の意向を無視して発議手続きを進めるのではないかという猜疑心でしょう。とすれば、今年夏の参院選で「改憲勢力」が3分の2を下回ると、逆に野党第1党が抵抗する重要な理由がなくなり、前進する可能性があります。議論が熟せば、改憲に必ずしも反対ではない他の野党議員の賛同を得て改憲発議が可能になるかもしれません。

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      この記事も核心のファクトについて「関係者によると」と匿名の関係者情報で書かれています。検察側の話を聞いて記事化したと思われますが、裏を返せば文書で確認していないことになります。裁判所の決定の文言がどうであったのか、この記事では分かりませんので、鵜呑みにすべきでないと思います。

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      この記事には「デマ」と「流言飛語」という言葉がごちゃまぜに書かれていますが、本来は異なる概念です。「デマ」はデマゴギー(demagogy)の略で、「政治的な目的で、意図的に流す扇動的かつ虚偽の情報」。「流言飛語」は世間にひろがる根も葉もないうわさ。災害時に発生しがちな根拠不明情報をテーマにしたこの記事では「流言飛語」の方が適切でしょう。最近は何でもかんでも「デマ」「フェイク」という言葉が乱用されていますが、大手メディアにはもう少し言葉遣いに気をつけてほしいものです。言葉の乱れも誤情報と無縁ではありません。

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      法律上(公職選挙法、政党助成法、政治資金規正法)の政党要件は「現職国会議員5人以上」または「現職国会議員1人以上で、前回衆参いずれかの国政選挙で全国の得票率が2%以上」です。よって、山本議員1人で”新党”を結成しても、当初は政党要件を満たさないと考えられます。また、自由党も山本議員の離党で4人となり、政党要件を満たさなくなると考えられます。そうすると、(衆院選で)小選挙区と比例代表との重複立候補が認められない、メディアの党首討論会で呼ばれなくなる可能性がある、といったデメリットがあります。山本議員は、そうしたデメリットも承知の上で、自由党や(合流した場合の)国民民主党ではなく"新党"という新政治団体を標榜した方がよいと判断したのでしょう。もちろん、次回国政選挙で5人以上当選すれば、そこで晴れて政党要件を満たす政党となります。

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      朝日新聞の報道によると、ルドリアン外相は、東京地検特捜部がゴーン氏を再逮捕し、勾留したことについて「問題視している姿勢を示した」ようです。ゴーン氏は、保証金10億円を納め、住居出入り口監視、パソコンや携帯の使用は弁護人の用意したものに限り使用履歴を裁判所に提出など、証拠隠滅・逃亡の恐れのないよう厳しい条件の下で保釈中でした。再逮捕されたのは別事件だとしても、この保釈条件が継続している中で、再び身柄拘束する必要性がどこまであったのか、という疑問は拭えません。

      4月5日付の読売、朝日、毎日、日経には、再勾留を認めるべきかについて4人の元裁判官の見解が載っており、うち3人が認めるべきでないという見解でした。しかし、逮捕翌日の5日、東京地裁は10日間の勾留決定をしました。

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      何が「保釈の弊害」かと読んでみたら、「再逮捕時に数十人の報道陣が殺到したこと」が「保釈の弊害」だと。驚き呆れます。大事件で数十人の報道陣が殺到することは、「保釈」とは何の関係もないことで、単にメディアが作出した混乱です。このような意味不明なコメントをさらに「見出し」化するセンスを疑います。「保釈の弊害」があるとすれば、保釈中に証拠隠滅がなされ、真相解明が妨げられるようなケースでしょう。保釈中にそのようなケースがどれほどあったのか、メディアは具体的に検証してみたらどうでしょうか。

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