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矢萩邦彦

教育ジャーナリスト/知窓学舎塾長/スタディオアフタモード代表

矢萩邦彦

教育・アート・ジャーナリズムの現場で活動し、一つの専門分野では得にくい視点と技術の越境統合を目指すアルスコンビネーター(松岡正剛より拝命)。横浜に「受験指導×探究型学習」をコンセプトにした統合型学習塾『知窓学舎』を開校、プログラムデザイン・講義・受験指南・講師研修・企業研修・教育コンサルティング等を手がける。代表取締役を務める株式会社スタディオアフタモードではジャーナリスト育成や大学との共同研究に従事、ロンドン・ソチパラリンピックには公式記者として派遣。主宰する教養の未来研究所では教育研究・戦略PRコンサルタント・クリエイティブディレクターとして企業の未来戦略やブランディングを手がけている。

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      教育現場で学生達と話していると、家族・親戚と学校・塾以外に直接大人と接しない学生が増えています。そんな小さな世界の中で接している数少ない大人から否定をされることは脅威になる可能性があります。実際、1人の教師とうまくいかないことが様々な活動に影響を及ぼしているケースも散見しますし、悩み相談をされる機会も多くあります。彼らの話を聞いていると、地域との関わりを積極的に持つことや、学校や塾内でもできるだけたくさんの大人が直接関わって対話をするような機会を設けることで、もしかしたら防げたかもしれないと感じます。

      インターネットを介して大人と接しているつもりになっている学生もいますが、直接対面して対話するのとは全く違います。サードプレイスなど、学生が安心して関われるリアルな場が増えることで、特定の人間関係に思い詰めなくて済むような環境作りが望まれます。

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      大変残念な事件です。教育現場に限らず、たとえ良かれと思って取った言動でも他人を傷つけることはありますし、どこからが「行きすぎた指導」なのか境界線が曖昧であることにも問題があります。また、どうしても生徒と学校自体のシステムや方針、教師、クラスメイトと様々な相性があります。

      多様性を受け入れることを目標にする学校も増えてはいますが、現場レベルではまだまだうまくいってはいません。一方で、近年フリースクールやホームスクールについての是非も活発に議論されていますが、まだまだ認知されておらず積極的な賛成意見は少ない現状です。合わないと感じたときに、相談できる体制や提示できる選択肢があることで、救える生徒はたくさんいるはずです。法整備はもちろんですが、官民が協力してオルタナティブ教育やインクルーシブ教育環境を作っていくことが望まれます。

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      こと育児や教育に関しては、専門書よりも他分野の書籍の方が参考になる場合が多いように感じます。理由は、育児専門書は書いてある方法やメソッドは、何も調整せずそのまま適用させてしまうため、子どもの個性に合っていない場合が多い事が考えられます。

      一方、育児書ではない書籍を参考にした場合、子どもに合わせてどのように育児に組み込むか、という思考プロセスを経るので、自然に子どもに合う形に編集される傾向があります。その結果、個別にフィットするオリジナルなものになります。子どものために考えること自体が育児に良い影響を与える事も考えられます。

      育児本は指針としては良いですが、何冊も読むより、多様なテーマの書籍にあたる方が効果があるかも知れません。親が方法に走らず、好奇心を持つことが大事だと感じます。

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      親戚づきあいがなかったり、地域との繋がりが薄い場合、一人目の子どもで苦戦するお母さんはとても多いと感じます。しかし、教育現場で保護者の方々と接していると、苦戦していると感じているお母さんほど、なんとかしようと情報収集をしたり、色々な方と繋がりを持とうとしたりしている傾向があり、むしろ安心できます。うまくいっていると感じていたり、問題に気づかない方が、子どもを放置することにつながったり、周囲の大人が異変に気づいても「口を出さないで欲しい」と閉鎖的になったりする傾向があり、大きな問題に発展かる可能性もあります。苦悩しているお母さん達のケアと同時に、苦悩していないお母さん達へのアプローチも必要だと感じます。

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      教育現場でも、かつてウケた体験をそのまま引っ張って何年も同じギャグを言い続けて生徒から冷ややかな目で見られる講師はたくさん居ます。20年以上教育現場に関わっていますが、特にこの数年は子どもの変化が大きく、使う道具や話題のソースがどんどん変わっています。それに伴って、何を面白いと感じるかだけでなく倫理的な感覚も変化していっていると感じます。

      悲劇は時を超えますが、喜劇は時代に依ります。大事なのは、現在の文脈を捉えて良い意味で「空気が読める」こと、つまり誰かの気持ちを想像できることで、それらを培うために教育現場やメディアに関わる大人はつねに「子ども達に背中を見せている」という感覚を持つことが望まれます。

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      発達障害にも度合いがあります。また性質や性格によっては個性として捉えてみんなと同じに接した方が良い子も居れば、診断を受けた方が楽になるケースもあります。しかし、特に教育業界においては、たとえ診断を受けてもどのように対応したら良いのか困惑する現場教師や保護者も多く、対策が取れないまま不登校にも繋がるケースも散見します。

      自らが発達障害の診断を受けて人生が変わったという『ADHDでよかった』の著者立入勝義さんは、周囲が「この人は違うんだ」と認識してあげて、特性に応じた支援してあげることが大事だといいます。そのためには診断を受けやすい環境になるよう、発達障害がどういうものなのか広く認知されることが望まれます。

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      反抗することで自分と他者の違いを認識し、自分の思想や行為を正当化するために葛藤しながらアイデンティティを確立していくのが健全な思春期です。しかしながら、反抗を放置したり、対応を誤ることで取り返しのつかない問題につながることもあります。

      教育の現場でも思春期の子どもの扱いについて問題になることがありますが、たとえ意見がぶつかっても、同じ人間として真摯に向き合う態度が重要です。また家族への反抗と家族以外の大人への反抗は若干種類が違うので、家族と教師が連携を取ってお互いがフォローするような関係を作るのが理想的です。

      閉じた関係ほどこじらせやすいので、多くの大人と接する機会を作ることも大事ですが、なかなか教育機関以外でそのような関係を作ることが難しくなっています。まずは家族と教育関係者が同じ子どもに接するチームであるという認識が広まることで、問題が起きにくい環境を作ることが望まれます。

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      15年間に渡り4000人を越える小中学生に「学校の嫌なところ」はどこかというアンケートを実施したところ、大多数を占める「授業が面白くない」「先生が話を聞いてくれない」「先生がひいきをする」という回答に混ざって「先生のボディタッチが嫌だ」という回答も目につきました。実際、学校だけではなく学習塾においても問題になることはあり、小学生時代の体験を今もトラウマになっていると話す高校生もいました。線引きが難しい問題ではありますが、できる限りオープンで多くの人が関われるような場作りや、嫌がっている生徒がいないか、嫌がっているのに言い出せない生徒がいないか、見ている方が不愉快になるような事例がないか、などをしっかりと把握できるようなシステムを作ることが望まれます。

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      今まで多くの保護者の方と接してきましたが、中には自分の子どものことを「他人事」と表現したり、何か問題を起こしても「私の人生とは関係ない」として注意や謝罪を放棄したり、「父親(母親)に似てしまった」などと別の家族のせいにする方もいらっしゃいました。

      今回のケースで問題なのは、勝手に奨学金を借りたことだけでなく、親子が連絡が取れない状況にあるということです。一概には言えませんが、連絡できる状況をキープできなかったことは保護者にも原因があるはずです。家族のあり方をコントロールできるのは大人側です。まずは保護者が家族を自分事として考えて家庭を作り、家族だけでは解決が難しいことをうまく地域や学校がサポートするような形が望まれます。

    • 矢萩邦彦

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      中学受験の世界では、幼児教育で英語をやっていたという生徒はかなり多いですが、弊害として日本語の物語文の読解が苦手になったり、主語の省略に対応できないといったケースもよく見かけます。反面、論理的思考や自己主張については長けている場合も多く、一長一短といったところです。

      一方で、ノーベル賞を多く輩出する国は、母国語での高等教育に力を入れている傾向があるといい、京大の山極総長も思考言語が日本語であることの重要性について言及しています。もちろん早期の英語教育だけが影響するわけではありませんが、母国語をおろそかにせずにしっかり使いこなせるような教育が、対話を生み、主体性を育むのではないかと感じます。

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