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竹村俊彦

九州大学応用力学研究所 教授

竹村俊彦

1974年生まれ。2001年に東京大学大学院理学系研究科博士課程修了。博士(理学)。2001年から九州大学応用力学研究所助手。2006年から同研究所准教授。2014年から現職。同研究所大気海洋環境研究センター長。専門はコンピュータを使った大気中の微粒子(エアロゾル粒子)などの大気汚染物質により引き起こされる気候変動の数値シミュレーション。気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第5次評価報告書主執筆者(Lead Author)。SPRINTARS PM2.5・黄砂予測を運用。Highly Cited Researcher(高被引用論文著者)に4年連続選出中(2014〜2017年)。

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      論文にざっと目を通してみました。まず、記事中に「年に数回の言語力や数学力を問う知能テストを実施」とありますが、テスト自体は2010年と2014年のみ(しかも調査都市は両年で一致していない)とのことなので、記事が間違っています。テスト実施日を基準として、どれくらい過去に遡って大気質の指標の平均値を取って統計上のスコアの中に含めるかで、大気汚染にさらされる期間の違いとしているようです。私は疫学調査の専門家ではありませんが、統計の取り方に問題がありそうです。この研究論文が掲載されたPNASは、質の高い(インパクトの強い)雑誌として有名であるため、一般向けの記事として取り上げたものと思いますが、真偽については慎重に取り扱う必要がありそうです。

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      被害が広範囲に及んでいることから、局所的な竜巻が主要な原因とは考えにくいです。私が運用しているSPRINTARS予測によると、パキスタンおよびインド・パキスタン国境の砂漠地帯で発生した大規模な砂嵐が、居住地域に飛来したと考えるのが妥当でしょう。

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    • 竹村俊彦

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      このニュース記事の「詳しく知る」欄のリンク先(あるいはこのコメントの私の名前のリンク先の「記事」)で、今回の現象の仕組みを解説しています。シベリアで起こっている森林火災の煙が北海道へ飛来することは、私が開発して運用しているPM2.5予測システムにより、2日ほど前から予測できていました。これは、リアルタイムの森林火災の情報を入力して予測計算しているために可能です。そういった情報を入力していない予測システムでは、今日の北海道のPM2.5高濃度は当然予測できません。このシーズンは、シベリアでの大規模な森林火災が毎年起こっているため、気圧配置によっては北日本へ煙が流れてきます。空が霞んでいる時には、できるだけ屋外での活動を控え、外出する際にはマスクをすると良いでしょう。しばらくはシベリア森林火災は続くことが予想されるため、私が運用しているPM2.5予測から事前に情報を得ておくことも有効でしょう。

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      「九州大学などによると、19日は九州北部でも日本の環境基準を超える汚染濃度になる可能性があり、注意が必要だという。」とありますが、この予測は私が提供している情報を見て報道しているものと思います。しかし、今日は私は日本テレビからの取材には応じていませんので、私がコメントしたように報道するのは問題が大きいですね。しかも、明日(19日)の九州北部は一時的にいつもよりは少しPM2.5の濃度が上がる、という程度の予測であり、ニュースでわざわざ注意を促すレベルではないでしょう。ということで、この報道は悪質です。

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      車の通行をナンバーで規制するなど、その場しのぎの対策はほとんど効果はありません。PM2.5の濃度は、ほぼ日々の気象条件で決まります(私の12月2日の記事に解説)。私が無償で提供しているSPRINTARSのPM2.5予測情報によると、前線が通過して風で吹き流されることにより、今日(14日)午後から北京の濃度は低下していき、明日(15日)の北京は青空が広がるでしょう。その一部が、15日深夜から16日にかけて、日本へ飛来してくると予測されています。当然、濃度は相当薄まった状態での飛来です。

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      地球温暖化は、人間が体感することがどうしても難しい、数十年以上の時間での変化です。そのことが、危機感がどうしても薄くなりがちな原因の1つです。一方、大気汚染は、特に新興国で現在大きな問題を引き起こしており、日々の生活レベルで危機感を持つことができます。温室効果ガスも大気汚染物質も、その主な発生源は化石燃料の大量消費です。したがって、強い危機感を持つことができる大気汚染の対策が、地球温暖化対策にもなり得る、という観点を多くの方々が持つことが、地球温暖化への取り組みの進展になるのではないでしょうか。
      ただし、私の12月1日の記事で解説したとおり、大気汚染対策のみを先にしてしまうと、地球温暖化を加速させてしまう恐れがあります。両方の対策を同時に進めることが肝要です。

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    • 竹村俊彦

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      この記事の見出しは間違っています。きちんとしたコンピュータソフトウェアでPM2.5の予測をしている国立環境研究所、日本気象協会、そして私が運用しているSPRINTARSとも、今晩から明日にかけて北海道でいくらか濃度が上昇すると共通して予測していますが、今回はいずれの予測でも九州・沖縄での濃度上昇はないと予測しています。実際に、今日(9日)の九州地方は、各地きれいな青空が広がっています。この衛星画像を提供された先生方は、予測を科学的に行っているわけではありません。こうした記事は、科学的に基づいた情報を提供しなければなりません。

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    • 竹村俊彦

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      昨日12日から今日13日にかけて、西日本の多くの気象台で黄砂を観測しています。専門的な測器を使った観測によると、確かに黄砂は少し飛来してきているようですが、今回の大気の霞みの主な要因は、PM2.5であると考えられます。PM2.5については気象庁は管轄外なので観測していない一方、黄砂のみ目視で観測して公表するので、ニュースでは黄砂のみが話題になります。これにより、情報の受け手としては、黄砂のみの偏った情報を受け取ることになり、黄砂だけが飛来していると誤解するのではないでしょうか。黄砂とPM2.5とでは、健康影響が異なってくるので、この問題は重要です。
      黄砂の観測に関する問題点は、私のYahoo!個人の記事ページで詳しく解説しています。

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