園田寿
甲南大学法科大学院教授、弁護士
1952年生まれ。関西大学大学院修了後、関西大学法学部講師、助教授をへて、関西大学法学部教授。2004年からは、甲南大学法科大学院教授(弁護士)。専門は刑事法。ネットワーク犯罪、児童ポルノ規制、青少年有害情報規制などが主な研究テーマ。現在、兵庫県公文書公開審査会委員や大阪府青少年健全育成審議会委員などをつとめる。主著に『情報社会と刑法』(2011年成文堂、単著)、『インターネットの法律問題-理論と実務-』(2013年新日本法規出版、共著)、『改正児童ポルノ禁止法を考える』(2014年日本評論社、共編著)、『エロスと「わいせつ」のあいだ』(2016年朝日新書、共著)など。趣味は、囲碁とジャズ。
園田寿の最近の記事
-
11月29日(金) 11時10分
-
11月11日(月) 6時00分
-
10月1日(火) 3時44分
園田寿の最近のコメント
-
田代まさし NHK動画非公開に「今こそ公開すべきでは」の声写真
女性自身 11月7日(木) 20時59分
園田寿
|芸能人が犯罪を犯した場合、番組を降ろされたり、上映が中止になったりする。これらは犯罪に対する社会的制...続きを読む裁であって、犯罪を行った者に対する社会的な排外の動きである。広い意味で〈応報的感情〉の結果といえるが、それが過剰になっていないかはつねに検証されなければならない。
そして、今回の動画非公開は、明らかに過剰な反応である。
彼は番組で、「塀の中にいるときは朝から晩まで毎日、心の中で『薬やりてぇ』と思っていた」、今でも、やらない自信はないが、このようなことを公言できるようになったことが自分の進歩だとも言っていた。多くの人の支援を受け、違法薬物についての啓蒙活動を行っていただけに、依存症の怖さ、治療の難しさを社会にアピールする結果になった。
NHKは、このような貴重な記録を非公開にしてどうする!
内容をそのまま公開することに問題があるなら、編集して薬物の怖さをアピールする資料として公開すべきである。 -
こちらの記事は掲載が終了しています
園田寿
|逮捕された日本人がはたしてどのような画像やビデオを所持したいたのかは不明です。日本では、「児童ポルノ...続きを読む=現実の児童に対する性的虐待の記録」が前提ですので、漫画やイラスト、アニメなどは「児童ポルノ」として処罰の対象とはなりません。
ところが、かつてオーストラリアの最高裁は、性的に露骨な子供のイラストは児童ポルノとみなすという判決(2008年)を下していました(被告人はシンプソンズの漫画を所持していた)。
国によって「児童ポルノ」の定義が異なるので、海外に行く場合は十分に注意が必要です。不用意に相手国で「児童ポルノ」と判定されるような画像を所持していた場合には、たいへん厄介なことになります。
また、被告人はクラウド(海外サーバ)を利用していた可能性もあります。海外のサーバであっても、専権的に自由にアクセス可能であるならば、「所持」の概念に含まれると解されますので、この点も注意が必要だと思います。
園田寿
甲南大学法科大学院教授、弁護士 報告 オーサー田代まさしが、NHKのある番組に出たときに、刑務所にいたときは、毎日朝から晩まで、「薬やりてぇ~」、「出たらどうやってまたやるか」ということばかり考えていたと言っていた。こんなことを公言するくらいだから、必死で薬への欲求と戦い、周囲の支えもあって、何とか薬への欲求を抑えることができているのだと思っていた。逮捕のニュースは本当にショックだった。事実なら実刑になるだろうが、彼は塀の中でまた、「ああ、薬やりてぇ~」と毎日心の中で叫びながら過ごすことだろう。
覚せい剤を製造する、人に売る、人に打つ、すすめる等の行為の悪質性と当罰性の高さはどんなに強調してもしたりないくらいだが、人格破壊の防止と暴力行為への親和性から自己使用の処罰も肯定されている。しかし、それじたい他者侵害的行為ではなく自傷行為といえる薬物自己使用を処罰することに意味があるのかと考えざるをえない。本来は、医療・保健の問題ではないか。