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園田寿

甲南大学法科大学院教授、弁護士

園田寿

1952年生まれ。関西大学大学院修了後、関西大学法学部講師、助教授をへて、関西大学法学部教授。2004年からは、甲南大学法科大学院教授(弁護士)。専門は刑事法。ネットワーク犯罪、児童ポルノ規制、青少年有害情報規制などが主な研究テーマ。現在、兵庫県公文書公開審査会委員や大阪府青少年健全育成審議会委員などをつとめる。主著に『情報社会と刑法』(2011年成文堂、単著)、『インターネットの法律問題-理論と実務-』(2013年新日本法規出版、共著)、『改正児童ポルノ禁止法を考える』(2014年日本評論社、共編著)、『エロスと「わいせつ」のあいだ』(2016年朝日新書、共著)など。趣味は、囲碁とジャズ。

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      殺意の存否は、心の問題ですし、異常な状況を後から言葉で正確に表現することも普通は難しいですから、本人の自供以外、その時の行動や周囲の状況などの情況証拠(間接証拠)から合理的に推測する以外、方法はありません。
      一般には、殺傷能力の高い道具(凶器)を、人体の枢要部分(胸や首、頭部など)に対して、致命的(回数や攻撃方法など)に使用したかどうか、殺害の動機の存否、殺害後の行動といったような証拠に基づいて、殺意の存否が判断されます。
      本件では、時速100km近い速度でバイクに追突すること自体、生命に対して極めて危険な行為で、殺意の存在を推測させますが、被告人は直前に一瞬ブレーキを踏んでいたということです。これをどう解釈するかが問題です。ブレーキを踏むことは、一般には事故の回避行動ですが、有効な回避行動だと評価できないならば、殺意の存在を否定することは難しいので、ここが重大な争点になるでしょう。

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      犯人が、かりにこれをその場で破壊していたとしたら、器物損壊罪で最高3年の懲役。しかし、犯人は盗んだので、窃盗罪で最高10年の懲役。物理的な法益侵害という面で考えると、器物損壊の方が窃盗よりも決定的で、客体が消滅するという意味で絶望的です(盗まれた物は戻ってくる可能性があります)。しかし、窃盗罪の法定刑の方がはるかに重い。これは、具体的な物の侵害という面だけでは説明できません。つまり、窃盗罪は、個々具体的な物に対する侵害という面と、さらにそれを超えた国家的な財産秩序(財産制度)に対する侵害といった側面をも持っているのです。古今東西、どんな国でも盗みは重罪ですが、財産秩序を無視した不当な手段で他人の物を手に入れ、他人を犠牲にして物質的な欲望を満たすという、その自己中心的な精神が処罰されているのです。
      盆栽は世話が難しく繊細なものですから、1日も早く持ち主の元に戻ってくるのを願っています。

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      朝日新聞(2018年12月29日付)にも出ていましたが、昭和24年の死体解剖保存法で、死体の解剖や骨格標本の作成などについて法的なルールが整備されました。それ以前には明確なルールはなく、病院で身寄りのない患者が死亡したような場合には、病院から大学医学部などに医学教育のために遺体が提供され、骨格標本も作られていたようです。それが中学や高校に移され、保管されていたケースは多かったのではないかと思われます。また、さらに古くは刑務所(監獄)で獄死や刑死した遺体も医学部に提供されていました。死体解剖保存法以降は、死体の全部または一部を標本として保存する場合は、原則として遺族の同意が必要となったので、医療用の教材会社が外国から輸入した(本物の)人骨で作成した骨格標本を販売するようになり、現在見つかっている骨格標本の多くは、これではないかと推測されます。今保管していることには、問題ないと思います。

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      大阪府迷惑防止条例6条1項1号の「人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で、公共の場所又は公共の乗物において、衣服等の上から、又は直接人の身体に触れること。」に当たるのかが問題になりました。「公共の場所(乗物)」での行為が要件なので、相手方ではなく、それを見た大阪府民が「著しく羞恥」したり、「不安を覚え」たのかが問題です。「著しく」とは「ひどい」ということ、「羞恥」とは「性的な恥じらい」、また「不安」とは「身体に対する危険や心理的圧迫感」のことですが、実際には、(1)相手との関係、(2)時間帯、(3)周囲の状況、(4)行為の継続性、(5)行為者の意図などから総合的に判断されます。本件では、二人は顔見知りであり、遊ぶつもりであった可能性があること、行為の時間が極めて短く、態様も持ち上げただけであったことなどから、犯罪性が否定されたものと思われ、妥当な判断だったと思います。

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      ゴーン容疑者に〈任務に背く行為〉があったのかは、彼の行為がまずは日産の内規や定款などに反していないかどうかですが、彼が処理すべき事務の性質や内容、地位や権限など、行為時の具体的な状況に照らして実質的に判断されます。
       また、彼がサウジアラビアの知人に行った出金ですが、それについては、前田恒彦氏が指摘されているようにその知人の取調べがポイントであり、正当な業務の対価だったのか、それとも取引の仮装だったのかが、背任の成否を分けます。
       さらに、評価損の日産への付け替えについては、取締役会の承認を得ないで行われていたかが重要であり、「『新たな為替取引の担当者の選任』という趣旨の案件名と『全員承認』とだけが記されていた。」という議事録の記載をどう見るかが問題です。
       これら全体が、日産にとって不利益で財産上の損害をもたらしたと判断されれば、特別背任の成立の可能性は否定しがたいものとなるでしょう。

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      受け子については、組織防衛のため、受取る荷物について詳しいことは何も話されないのが一般であり、受け子が摘発された際には、詐欺に加担していたとの認識(故意)がなかったと弁解されることが多い。本件では受け子は、荷物が拳銃か薬物と思ったと抗弁したのであるが、行為当時(平成27年)本件のような空室利用送付型詐欺はそれほど一般的でなかったことから、荷物が詐欺の被害金と思うきっかけがあったのかが争点の一つとなった。最高裁は、空室利用送付型詐欺が社会に広がっていたかどうかにかかわらず、被告人が荷物の中身を確認していない以上、詐欺の可能性があるとの認識は排除されないとした。本判決は、専門家が「事例判決」と呼んでいる限定的判断であり、一般化して拡大することは故意のない者を処罰する危険があるが、今後、同種の事案では、受け子が荷物の中身を知らなかったという主張は、ほとんど認められないことになるだろう。

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      これは、「不動産侵奪罪」という(珍しい)犯罪に当たる可能性があります。刑法235条の2に不動産侵奪罪の規定があり、「他人の不動産を侵奪した者は、10年以下の懲役に処する。」とされています。これは昭和35年に新設された規定で、当時、戦後の混乱期に他人の土地を不法占拠する事案が全国で問題になっていましたが、不動産は持ち去ることができないので窃盗にならないのではないかという議論があったのを、立法的に解決したものです。
      「侵奪」とは、不動産に対する他人の占有(管理)を排除し、無断で自己または第三者の占有に移すことです。裁判例としては、他人の土地に無断で倉庫を建てたとか、他人の畑の棒杭を抜いて入り野菜を無断で栽培したとか、他人の土地に大量の廃棄物を堆積させた事案などがあります。本件では、府(他人)の土地と知りながら勝手に整備して駐車場として貸し出していたということですので、本罪が成立すると思います。

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      引用されている最高裁決定は「シャクティパット事件」と呼ばれており、新興宗教の教祖が、重篤な患者を信者である息子に命じて自分が宿泊中のホテルに連れてこさせ、「治療」と称する儀式を行い、結果的に死亡させたという事件です。
      殺人は、普通、「刺す」「殴る」「撃つ」といったような積極的な行為(作為)で行われますが、「救助しない」といった消極的な行為(不作為)でも可能です。ただ、その場合は、救助できる可能性のあったすべての人が殺人罪に問われることになるので、要件を限定して認められています。上の最高裁決定では、他の者が救助できないような状態に被害者を置いたという、被害者の生存に対する強い排他的支配性が認められ、これが不作為による殺人を認める中心的な根拠となっています。本件では、救命の可能性、殺意の有無など、他の要件が慎重に認定されなければならないことは、記事で松宮教授が指摘されているとおりです。

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      公的な報告書などでは、受動喫煙が明確に「他者危害」であることが強調されています。一般に、刑罰による規制を根拠づけるのは〈保護原理〉と〈侵害原理〉です。前者は〈パターナリズム〉と呼ばれるもので、本人のために処罰する場合であり、たとえば禁止薬物の自己使用が典型例です(処罰より治療だという意見も強い)。後者は、他者に対する危害行為を刑罰で禁止する場合であり、この場合は、被害が大きく、刑罰以外では有害行為のコントロールが難しいということが基本です。受動喫煙禁止は後者の場合です。故意に煙を吹きかける場合は、刑法の暴行罪が成立しますが、咳とか喉の痛み、嘔吐感など、身体状態の不良変更であっても、それが一時であるならば傷害罪(過失の場合は過失傷害罪)の適用は難しいです。その意味で、条例の規制は意味があると思いますが、私的空間にまで刑罰的コントロールが及ぶことについては慎重であるべきではないかと思います。

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      性に関することは基本的にプライベートなことですが、それが犯罪行為である場合は、もちろん公にすることに正当性が認められます。本件では、愛知県青少年保護育成条例違反(いん行罪)が問題になっています(法定刑は「2年以下の懲役又は100万円以下の罰金」)が、しかし、これは16年前の事件ですので、すでに公訴時効期間の3年間が経過しており、刑事事件として起訴することはできません。時効制度の意味については諸説がありますが、本件のような比較的軽微な事件については、時間の経過とともに社会の処罰感情も弱まることから、行為者の今の社会生活の安定性を処罰に優先することにも理由はあると思います。
      犯罪を起訴して、処罰することは公共的な利益にかかわる問題ですが、制度上処罰することができない一芸人の16年前のいん行について、これをこのようなかたちで公にすることについて、何らかの社会的利益があるのでしょうか。

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