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園田寿

甲南大学法科大学院教授、弁護士

園田寿

1952年生まれ。関西大学大学院修了後、関西大学法学部講師、助教授をへて、関西大学法学部教授。2004年からは、甲南大学法科大学院教授(弁護士)。専門は刑事法。ネットワーク犯罪、児童ポルノ規制、青少年有害情報規制などが主な研究テーマ。現在、兵庫県公文書公開審査会委員や大阪府青少年健全育成審議会委員などをつとめる。主著に『情報社会と刑法』(2011年成文堂、単著)、『インターネットの法律問題-理論と実務-』(2013年新日本法規出版、共著)、『改正児童ポルノ禁止法を考える』(2014年日本評論社、共編著)、『エロスと「わいせつ」のあいだ』(2016年朝日新書、共著)など。趣味は、囲碁とジャズ。

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      「みだりに廃棄物を捨てた」という行為が、廃棄物処理法16条(投棄禁止)違反とされたのでしょう(罰則は25条14号)。確かに「廃棄物」とは、〈ごみ、燃え殻、ふん尿、廃油、動物の死体その他の汚物〉など(2条)ですから、「鼻をかんだティッシュ」は形式的には「廃棄物」だといえそうです。しかしこの法律は、「廃棄物の排出を抑制し、及び廃棄物の適正な分別、保管、収集、運搬、再生、処分等の処理をし、並びに生活環境を清潔にすることにより、生活環境の保全及び公衆衛生の向上を図ること」という社会的な利益を保護することが目的ですので、特定の家に〈ごみ〉を投げ込むことが本法違反だと解することには無理があります。軽犯罪法1条27号も「ごみ」をみだりに捨てる行為を処罰していますが、「公共の利益に反すること」が要件ですから、本件はこれにも当たらないのではないかと思います。
      ぴったりとくる法律はあるのでしょうか?

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      最高裁は、平成29年の大法廷判決で判例変更を行い、強制わいせつ罪において必要だとされていた「性的意図」を原則不要だとしました。ただし、(1)外観から性的行為であることが明らかな場合は、行為者に特別な「性的意図」がなくとも強制わいせつ罪が成立し、(2)外観から性的行為かどうかが不明な場合は、「性的意図」を一つの判断要素として考慮できるというものでした。
       本件は、後者のケースかと思います。裁判所が本件をどう判断するかは明らかではありませんが、多くの学説はおそらく暴行罪や器物損壊罪にとどめることでしょう。しかし、私は、本件行為が、(1)性的意図によって導かれていること、(2)被害者は性的な嫌悪感を感じており、その被害は暴行や器物損壊とはまったく異質であること、(3)性的意図を正面から認めることは、その後の処遇においても有益であることなどから、強制わいせつ罪を認めるべきだと思います。

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      「女性の勤務先に自分の体液が入った避妊具を投げつけた」という行為が、ストーカー規制法第2条1項6号の「汚物、動物の死体その他の著しく不快又は嫌悪の情を催させるような物を送付し、又はその知り得る状態に置くこと」に当たると判断されたものと思われます。
       「体液」は、「著しく不快又は嫌悪の情を催させるような物」に該当するといえますが、ストーカー行為は、「特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的」(第2条1項)で、「当該特定の者」などに対して行われることが必要です。勤務先に女性を名宛人として送付するような場合は、「特定の者」に対する行為であることは明白ですが、「勤務先に投げつけた」という場合は、「誰が」「誰に対して」行ったのかが不明です。この点で、本件行為が「ストーカー行為」に該当するかどうかは、議論の余地があります。

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      【事実の概要】
      父親が心愛(みあ)ちゃんのアンケートの開示を要求。市教委は、個人情報であり「本人の同意がない」として拒否。その後、父親が本人の字で書かれた「同意書」持参。市教委が、開示。
      【改めて野田市の個人情報保護条例を読む】
      未成年者は、法定代理人による代理請求が可能(第15条2項)。ただし、開示が「当該未成年者の利益に反すると認めるとき」(第17条5号)には、開示しないことができる。野田市の〈運用の手引〉によると、第5号について、「対象文書の内容によっては代理人との利益相反も有り得ることから、〈略〉注意すること。〈略〉利益相反が少しでも疑われる場合は、本号を適用すること」とあり、例として「代理人から未成年者への虐待が疑われる場合の『未成年者から市への虐待に関する相談記録』」があるとされている。今回は、これに違反している可能性がある(罰則は、2年以下の懲役又は100万円以下の罰金)。

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      殺人の故意(殺意)は、一般に殺傷能力のある道具(凶器)を、人体の枢要部分(胸や首、頭部など)に、(攻撃の態様や回数などから)致命的に用いた場合に認定されます。被告人は、自分が運転する4輪車を、2輪車に乗っている無防備な被害者に時速100km近い速度で追突させていますので、殺意があったと認定されてもやむを得ないと考えられます。追突後に録音された「はい終わり」という声も、殺意の存在を推測させる間接的な証拠だとされ、被告人が追突直前に一瞬軽くブレーキを踏んだことも、殺意を否定するだけの有効な事故の回避行動とはいえないとされました。このような事実認定は、概ね無理のないものかと思われます。
      懲役16年という量刑判断ですが、死亡について故意が否定された東名高速の事件(懲役18年)と比べると、本件では被害者が1名で、殺意も激情に駆られた瞬間的なものだったということが根拠になっていると推測されます。

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      最初からだますつもりならば詐欺罪ですが、ボタンを押す時点でラテのボタンを押す意思が生じたならば窃盗罪になります。どちらも法定刑の上限は10年以下の懲役で同じですが、窃盗罪ならば「50万円以下の罰金」を選択することが可能になっており、窃盗罪の方が刑は軽くなっています。そこで本件は、軽微な被害ということで、窃盗とする方が犯人にとって有利なように見えます。しかし、詐欺罪で処罰される方が圧倒的に有利な場合もあります。
      というのは、盗犯等ノ防止及処分ニ関スル法律という法律があり、過去10年間に3回以上、盗犯(窃盗罪や強盗罪など)で懲役刑を受けた者が、(詐欺以外の)盗犯を犯すと、3年以上の有期懲役(20年まで)に処せられるからです。
      男に盗犯の前科があったかどうかは分かりませんが、同じ犯行を繰り返していたようですし、最初からだます意思(詐欺の故意)はあったのではないかと推測されます。

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      医師でもないのに、医師だと経歴詐称して病院に勤務していたら、これが詐欺だというのは分かる。しかし、暴力団員であるのに、違うと詐称して就職し、きちんと仕事をしていたのに、なぜ詐欺になるのかはちょっと理解できない。郵便局にはどのような財産的被害があったのか? 暴力団員と分かっていたなら雇っていなかったので、「だまされて給料を払った」といえるのか? 社長が熱烈な阪神ファンで、阪神ファンしか雇わないという会社に、巨人軍の熱烈なファンで、かつて巨人軍の球団事務所で働いていたことを隠して就職しても詐欺になるのか? 暴力団は反社会勢力だから巨人ファンとは違うというのは理由になっているのか? 反社会的勢力の排除という社会政策実現のために、詐欺罪という個人的被害を想定している条文を利用しているのではないか? 高校生の弟が成人の兄の免許証を示してコンビニ店主をだまし、タバコやビールを買えば詐欺罪なのか?

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      殺意の存否は、心の問題ですし、異常な状況を後から言葉で正確に表現することも普通は難しいですから、本人の自供以外、その時の行動や周囲の状況などの情況証拠(間接証拠)から合理的に推測する以外、方法はありません。
      一般には、殺傷能力の高い道具(凶器)を、人体の枢要部分(胸や首、頭部など)に対して、致命的(回数や攻撃方法など)に使用したかどうか、殺害の動機の存否、殺害後の行動といったような証拠に基づいて、殺意の存否が判断されます。
      本件では、時速100km近い速度でバイクに追突すること自体、生命に対して極めて危険な行為で、殺意の存在を推測させますが、被告人は直前に一瞬ブレーキを踏んでいたということです。これをどう解釈するかが問題です。ブレーキを踏むことは、一般には事故の回避行動ですが、有効な回避行動だと評価できないならば、殺意の存在を否定することは難しいので、ここが重大な争点になるでしょう。

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      犯人が、かりにこれをその場で破壊していたとしたら、器物損壊罪で最高3年の懲役。しかし、犯人は盗んだので、窃盗罪で最高10年の懲役。物理的な法益侵害という面で考えると、器物損壊の方が窃盗よりも決定的で、客体が消滅するという意味で絶望的です(盗まれた物は戻ってくる可能性があります)。しかし、窃盗罪の法定刑の方がはるかに重い。これは、具体的な物の侵害という面だけでは説明できません。つまり、窃盗罪は、個々具体的な物に対する侵害という面と、さらにそれを超えた国家的な財産秩序(財産制度)に対する侵害といった側面をも持っているのです。古今東西、どんな国でも盗みは重罪ですが、財産秩序を無視した不当な手段で他人の物を手に入れ、他人を犠牲にして物質的な欲望を満たすという、その自己中心的な精神が処罰されているのです。
      盆栽は世話が難しく繊細なものですから、1日も早く持ち主の元に戻ってくるのを願っています。

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      朝日新聞(2018年12月29日付)にも出ていましたが、昭和24年の死体解剖保存法で、死体の解剖や骨格標本の作成などについて法的なルールが整備されました。それ以前には明確なルールはなく、病院で身寄りのない患者が死亡したような場合には、病院から大学医学部などに医学教育のために遺体が提供され、骨格標本も作られていたようです。それが中学や高校に移され、保管されていたケースは多かったのではないかと思われます。また、さらに古くは刑務所(監獄)で獄死や刑死した遺体も医学部に提供されていました。死体解剖保存法以降は、死体の全部または一部を標本として保存する場合は、原則として遺族の同意が必要となったので、医療用の教材会社が外国から輸入した(本物の)人骨で作成した骨格標本を販売するようになり、現在見つかっている骨格標本の多くは、これではないかと推測されます。今保管していることには、問題ないと思います。

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