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斎藤秀俊

一社法人水難学会会長、国大法人長岡技術科学大学大学院教授

斎藤秀俊

人類誕生以来600万年にも及び、祖先は水難という不幸と闘ってきました。そのような経験が我々の遺伝子の中に「水難は神の領域」として埋め込まれてきたかもしれません。600万年も続いた事象を10年や20年で解決できるわけないですが、水難学は、工学、医学、教育学、宗教学、語学、気象学などの学際領域に育ちました。水難学は、予防、事故、事件、ういてまて、救助、水辺のケガや急病まで幅広い事象を扱いますので、風呂から海まで水にまつわる事故・事件、津波災害や大雨災害に関する話題を提供していきます。また、小型船を日ごろから操縦してますので、船舶事故により引き起こされる水難の解説にも足を踏み入れます。

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    • 斎藤秀俊

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      神津島の港の浚渫作業で出た砂をオリンピック会場に運んで悪臭防止。
       泳いでいて臭いはわかるものだし、口や鼻に海水がジャブジャブ入ると、泳ぎ終わっても鼻の中からいつまでも臭うような感覚になるものです。水難救助訓練で東京湾に入るとどこでも全体に独特な臭いを感じます。
       神津島の白い砂は流紋岩。白い二酸化ケイ素を多く含む粘度の高いマグマからできる火山岩が砕けたものです。同じ白い砂でも、アルミニウムが成分に入ったゼオライトやカルシウムからなるカルサイトだと砂の粒一つ一つに臭いの元の化学成分を吸着する能力がありますが、二酸化ケイ素だと粒には期待できません。砂全体のろ化作用に期待するのでしょう。
       後者だと、海底の砂が巻き上がれば、ろ化されたものも巻き上がります。オリンピック期間中に砂が巻き上がるような海象にならないように願いましょう。

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      解剖の結果、遺体の肺の中には水が入っていなかった。
       死因が溺水によるものかどうかを調べる項目の基本です。口、鼻から気管、気管支、肺、肺胞に至るまでの気道をしっかり調べます。呼吸をしている間に吸水して窒息すれば、気道のいずれかに水が残ることになります。
       水を調べれば、どこで溺れたかもおおよそ特定する証拠が得られますし、さらに、どこにどれくらい残るかがわかると、どういう過程をたどったかまで推測できます。
       とにかく、人を殺めないことです。これが一番重要。

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      (男児が)入浴中、目を離した隙に風呂に浮いていた。
       人口動態統計によれば、4歳以下の子供の家庭内浴槽での溺水事故は昔より大きく減少しています。溺死事故に見せかけてもすぐにわかります。
       1980年には家庭内での溺死が総数953人で、そのうち4歳以下の子供の溺死は419人でした。これが2018年には総数5398人で、そのうち4歳以下の子供の溺死は14人でした。お風呂で小さな子供が溺れること自体が極めて珍しくなっています。従って、死因については丁寧に調べられます。
       今年だけでも、お風呂が殺人現場となっている例が複数ニュースにのりました。大変残念です。
       逆に、総数が大きく増加している背景には、高齢者のお風呂での死亡事故が激増しているからです。この20年でほぼ倍増です。

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      用水路転落の男性を発見し、小学5年の2人が近くの大人に通報を依頼した。
       用水路で亡くなる人は、年間50人くらいです。寒い時期なので、水量が少ないとは言ってもわずかな時間経過でも命の危険がありました。
       用水路に落ちた人を見たら、まず119番に通報して救助隊を呼びます。そして、落ちた人に声をかけ、励まします。この一連の動作を「寄り添い」と呼びます。この寄り添いがきちんとできて表彰されたとのこと、立派です。自分の安全を確保しながら、男性の命をつなぐことができました。
       溺れた人は、陸に上げてこそ、初めて救助完了といいます。これはたいへん危険な作業で、専門の知識と技術と資機材をもった救助隊でなければ、安全に遂行できません。
       表彰されること自体はたいへんいいことですが、表彰のうち「安全に遂行できた」寄り添いについてだけニュースになると、なおよろしいかと思います。

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      ミニボートが転覆し釣り客の男性1人が行方不明になった。沖合約200 m付近でボートが転覆していた。もう一人は救助を求めるために泳ぎだした。
       船舶操縦士免許を持っていない場合、2馬力以下の船外機を積載したボートの可能性があります。小さくて、船上で立っただけでもバランスを崩します。エンジンを始動するときの体の動きでも崩します。
       今の海水温は23℃前後。海水に浸かっていれば、しばらくは生きていけるほどの水温です。そう低くはありません。1人はボートに捕まっているところを救助。最も理想的な救助の待ち方です。浮いて救助を待てば、海水温は低くないので生還できます。
       転覆後にボートにつかまっていてほしかった。200 mを泳ぐのに、それなりの体力が必要です。衣服を着ているわけですから。また、岸壁のある所に泳ぎ着いても、陸に上がるところがありません。あっても、数百m泳いで見つけないとなりません。

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      高松市民プールは1978年に整備されたそうです。
       1955年に第三宇高丸と紫雲丸の衝突事故をきっかけに全国の小中学校に水泳プールが整備されていきました。その後、学校プールから公営プールへと整備が続き、まさに国民皆泳運動の中、溺死する人の数が激減しました。
       「讃岐の国は海辺の国なれば水練は武道の一斑たるべし。」高松城は古式泳法、水任流発足の地。高松市民も市役所も忸怩たる思いでおられると思います。
       今、全国の小中学校でもプール廃止を進めて、地域のスイミングスクールの施設と人員のリソースを活用する動きです。大きくコストを下げることが可能です。浮いたコストで、全世代が一年中泳げるような施設を整備するなど、お金の流れる方向を変えることに知恵を絞るのが行政の腕の見せ所です。

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      ブドウ2粒を電子レンジで加熱すると、光る。
       材料科学の専門家としてコメントします。本来の電子レンジの使い方ではないので、家電ではマネしないでください。
       マイクロ波を受けると、水分子と電子が振動(運動)します。振動すればエネルギーが放出されます。水分子は熱で、電子は電流でエネルギーを放出します。
       水を多く含むものは、グツグツ煮えるわけです。一方、水がないと電流で焦げたり、電流が空気を経て他のものに伝わると、火花が発生します。
       プラズマは火花を伴う電流が発生したときにみられます。ただ今回は程よい水蒸気が空気中に発生しているはずで、水蒸気を介して電流が流れれば、少し目立つプラズマ、大気圧プラズマといいますが、それが発生するでしょう。分光すれば原因はすぐにわかります。
       活性炭少量をマイクロ波中に入れても同じ現象が起こります。活性炭は乾いているようで、たくさんの水分を含んでいるからです。

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      計20カ所の氾濫発生は他の河川事務所より多く、相当混乱していたとみられる。発表手順に問題がないかなど検証したい。
       多くの担当者が仮にいても、同時多発的な事象に対応するのは無理でしょう。なぜかというと、河川のどのあたりでそれが起こるのか、発災するまでわからないし、多くの地点から届くとんでもない値の膨大な情報を処理しようとしてもパニックで最後は思考停止あるいは遅くなってしまいます。
       河川に設置された水位計や流速計などのセンサーによるデータ、降雨の場所と量を過去の水害発生時のデータを組み合わせれば、河川の上流から下流まで危険度を数値としてあらわすことができる、すなわち人工知能を活用する時代がきていると思います。

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    • 斎藤秀俊

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      茨城県を流れる那珂川の氾濫発生情報を自治体や報道機関に出さなかった問題。氾濫が同時多発的に起きて事務所が混乱し、情報を処理できなかった可能性がある。
       同様な問題は、今年の8月11日に海でも発生しています。小笠原諸島近海に停滞していた台風10号から発生した風浪がうねりとなって日本列島の太平洋側を襲ったため、同じような時間帯に太平洋側の各地の海岸で水難事故が多発しました。これも本来であれば、事前に特別な警報を出すべき問題ですが、同時に多発的に発生する事象として、だいぶ時間がたってから気が付いたようなものです。
       気象災害は、同時多発的に発生する。そこに人がいなければ犠牲者はでないのですが、いれば犠牲者が出る。マクロ的にはこれでいいのですが、人が亡くなるのは特定の場所つまりミクロの部分の現象。マクロとミクロをごちゃまぜにすると、いつまでも結論がでません。

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    • 斎藤秀俊

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      大変参考になる体験談です。助手席に足の悪いお義父さんと猫を乗せ、軽トラックで飛び出したが、すぐに異変に気付いた。右カーブの下り坂に差し掛かる時だった。水深が30~40センチとぐっと深くなり、どこが道路か完全に見失った。
       1点目。愛が判断を狂わせます。かわいい猫がいるので避難をためらった気持ち、よくわかります。
       2点目。足の悪い義父さん。歩いて避難することが難しいので、車を避難に使うのも選択肢に入ります。
       3点目。冠水道路に出てしまった。ここだけが失敗でした。自宅の周辺が冠水していたら、自宅などの2階に垂直避難です。2階が絶対に大丈夫とは言いませんが、冠水した道路を避難するより、確実に命を長らえることができます。
       愛する家族とペット。いろいろな思いの中で避難の意思が右左にぶれます。

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