市川衛

医療の「翻訳家」 報告 オーサー

記事のケースは、薬剤の有効性や安全性を調べる「治験」の第1相の最中に起こった出来事だと考えられます。治験は第1相から第3相まであり、第1相は薬の効果(有効性)ではなく、「人間に投与して大丈夫なのか」という基本的な安全性を調べることを目的とした試験です。

そのため、その薬の治療対象がたとえば高齢者や、慢性の病を抱える人だったとしても、まずは若く健康で、薬の副作用があっても耐えられる体力を持つ人に報酬を払って服用してもらうことになります。

もちろん人間に投与するわけですから、動物実験などを繰り返し、「ほぼほぼ人間に悪い効果は出ない」ことを確認してから始まります。

それにもかかわらず、服用後に亡くなった方がいたというのは、ゆゆしき事態です。亡くなった方に心からの哀悼の意を表するとともに、この事態が本当に薬剤との関連で起きたのかどうか、徹底的に調べることが求められます。

市川衛

医療の「翻訳家」

(いちかわ・まもる)医療の「翻訳家」/医療ジャーナリスト/メディカルジャーナリズム勉強会代表/京都大学医学部非常勤講師。00年東京大学医学部卒業後、NHK入局。医療・福祉・健康分野をメインに世界各地で取材を行う。16年スタンフォード大学客員研究員。【主な作品】(テレビ)NHKスペシャル「腰痛 治療革命」「医療ビッグデータ」ためしてガッテン「認知症!介護の新技」など。(書籍)「脳がよみがえる・脳卒中リハビリ革命(主婦と生活社)」「誤解だらけの認知症(技術評論社)」など。※記事は個人としての発信であり、いかなる組織の意見も代表するものではありません

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