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市川衛

医療の「翻訳家」

市川衛

(いちかわ・まもる)医療の「翻訳家」/医療ジャーナリスト/メディカルジャーナリズム勉強会代表/京都大学医学部非常勤講師。00年東京大学医学部卒業後、NHK入局。医療・福祉・健康分野をメインに世界各地で取材を行う。16年スタンフォード大学客員研究員。【主な作品】(テレビ)NHKスペシャル「腰痛 治療革命」「医療ビッグデータ」ためしてガッテン「認知症!介護の新技」など。(書籍)「脳がよみがえる・脳卒中リハビリ革命(主婦と生活社)」「誤解だらけの認知症(技術評論社)」など。※記事は個人としての発信であり、いかなる組織の意見も代表するものではありません

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    • 市川衛

      Yahoo!ニュース オーサー| 報告

      育児に対する常識が変わるかもしれないニュースです。

      「液体ミルクや粉ミルクに頼って母乳育児しないなんていかがなものか」という意見もあります。
      たしかに母乳育児のメリットは様々な研究で示唆されていますが、一方で母乳育児にこだわることによる母親への精神的な不利益などデメリットも指摘されています。

      私が取材の中で知った知見による限りですが、「母乳育児は良いものだけれど、絶対にそうしなければいけないほどのメリットもない」というのが正直なところです。

      粉ミルク・液体ミルクを使うことのメリットとして、父親が主体的に育児に関わる道を開く、というものがあります。これはとても大きなものです。

      子どもを抱える家族が、「○○べき」という価値観に従わなくてもいい選択肢が増えつつある現状は歓迎すべきものだと思います

    • 市川衛

      Yahoo!ニュース オーサー| 報告

      感染症の流行が起こった(もしくは疑われる)場合には、誤った情報が拡散されやすいことが過去の研究で示されています

      ウィスコンシン医科大学のメガ・シャルマ医師らが2016年に行った調査では、北米でジカ熱が流行した際に、FB上では「感情的なデマ」が、適切な情報に比べて圧倒的に拡散されたことがわかりました

      シャルマ医師はCNNのインタビューに「この傾向は、パンデミックの際に有害になると考えられます。感染を広げる原因となる行動やパニックを生み出す可能性があるからです。ジカ熱だけでなく、エボラ出血熱や新型インフルエンザ、鳥や豚インフルエンザでも同様です」と答えています

      今回日本でも、同様のケースが発生しました
      「○○の感染症が流行している」と思うと恐怖を感じ、手当たり次第に情報を拡散したくなりますが、一呼吸おいて根拠を確認することが、役に立つ態度と言えるかもしれません

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    • 市川衛

      Yahoo!ニュース オーサー| 報告

      JAFによれば、気温35℃の炎天下の駐車場に窓を閉め切った状態でミニバンを駐車した場合、エアコンを使用していない車両の熱中症指数は、わずか15分で人体にとって危険レベルに達しました。

      乳幼児は自分の危険予知することも、異常事態が起きた時に自力で命を守る行動をとることもできません。「たった15分だから」と思わずに、だっこして一緒に外に出るなど、対策をとってもらえるように切に願います

    • 市川衛

      Yahoo!ニュース オーサー| 報告

      記事のケースは、薬剤の有効性や安全性を調べる「治験」の第1相の最中に起こった出来事だと考えられます。治験は第1相から第3相まであり、第1相は薬の効果(有効性)ではなく、「人間に投与して大丈夫なのか」という基本的な安全性を調べることを目的とした試験です。

      そのため、その薬の治療対象がたとえば高齢者や、慢性の病を抱える人だったとしても、まずは若く健康で、薬の副作用があっても耐えられる体力を持つ人に報酬を払って服用してもらうことになります。

      もちろん人間に投与するわけですから、動物実験などを繰り返し、「ほぼほぼ人間に悪い効果は出ない」ことを確認してから始まります。

      それにもかかわらず、服用後に亡くなった方がいたというのは、ゆゆしき事態です。亡くなった方に心からの哀悼の意を表するとともに、この事態が本当に薬剤との関連で起きたのかどうか、徹底的に調べることが求められます。

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    • 市川衛

      Yahoo!ニュース オーサー| 報告

      ストレスが、がんの発症や進行に悪い影響を与えるということは以前から言われており、ほぼ定説化しています。記事の研究は、そのメカニズムの一端をマウスの実験によって確かめたものです。

      記事では製薬への可能性について言及していますが、薬の開発には、ものすごく長い時間とお金がかります。あくまで、将来的な可能性ととらえたほうが良いかもしれません。

      がんを抱えた人は、将来への不安や他者との関係性で生きづらさを感じやすく、それによるストレスを抱えやすい状況に置かれます。

      近年では、がんの当事者や経験者同士の気兼ねない交流を目的とした取り組みや、(がんのステージに関わらず)苦痛を軽減させる緩和ケアなどの重要性が指摘されています。

      こうした取り組みの大切さを改めて感じさせてくれる、という意味で記事の研究は意義のあるものと思います。

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    • 市川衛

      Yahoo!ニュース オーサー| 報告

      非常に高い薬価が注目されていますが、対象患者は200人程度と見積もられており、年間の市場規模は70億円程度と推定されます。

      一方で2018年の日本国内売上ランキングを見ると1位の薬の市場規模は1300億円以上、2位も3位も1000億円を超えています。

      ですので、この薬は単価を見ると高額ですが、日本の医療財政に特別に甚大なダメージを与えるというものではないと言えるかもしれません。

      もちろん貴重な保険料からプールされたお金を使うわけですから、適切な人に適切に使われるよう注意していくことは大切です。

      しかし、対象者が適切に使ったにもかかわらず「財政に負担をかけてまで助かるのか」といわれたり、心理的な負い目を感じたりすることがないよう、冷静に評価することが大事だと思います。

    • 市川衛

      Yahoo!ニュース オーサー| 報告

      自認する性別などで当事者が差別されたり、生きにくさを感じたりすることは大問題です。

      しかし、それを「問題だ」と騒ぎすぎることで、かえって当事者が生きにくさを感じたとしたら本末転倒です。

      こういう声もきちんと報道される、というのが大事と思います

    • 市川衛

      Yahoo!ニュース オーサー| 報告

      がん治療薬として話題の「オプジーボ」に、副作用(想定しなかった作用)が見つかったとする記事です。薬の副作用とされる脳機能障害で亡くなった方には、心からのお悔やみを申し上げます。

      すべての医薬品には、副作用があります。重要なのは、それが薬による効果(メリット)を超えるものかどうか、ということです。

      そのため薬の承認前に行われる臨床試験(治験)では、効果を調べると同時に重大な副作用がないかは厳密に調べられます。

      しかし限られた人数に行われるため、まれな副作用については見つけることができないこともあります。そのため実際に多くの人に使われた後で、副作用と思われるケースが見つかった場合は報告することが求められています。

      今回、注意喚起がされたことは、ある意味で制度がきちんと機能していることを示していると言えるかもしれません。こうした情報が積み重なることが、より適切な治療法の選択につながります

    • 市川衛

      Yahoo!ニュース オーサー| 報告

      過去最大という見出しを見ると、医療事故が増えているように感じます。

      しかし実際は記事にあるように、起きた事故を隠すことなく報告する文化が定着してきていると解釈する方が妥当だと感じます。

      事故が報告されなければ、それを検証し再発防止をすることも難しくなります。医療事故が報告され件数が増えてきていることは、より前向きな変化の第一歩と考えられます。

    • 市川衛

      Yahoo!ニュース オーサー| 報告

      食肉処理場から得た、死後4時間を経過したブタの脳に、合成した血液を含む液体を送り込んだところ、脳の神経細胞の一部に活動が見られた、という研究です。

      これまで、脳神経細胞は栄養や酸素が完全に絶たれると数分で死んでしまうと考えられてきましたが、なかにはもっと長い時間にわたって生きながらえるものがあるのかもしれない、ということを示唆する結果です。

      ただし、この研究は「すでに死んでしまった細胞が、生き返る」ということを示したものではありません。なので、現時点では、例えば「死んでしまった人を、生き返らせられる」可能性が示されたとは言えないものです。

      いずれにせよ、私たち自身の脳にはこれまでの研究ではわかっていない可能性が秘められていることを感じさせる研究です。今後、脳卒中やアルツハイマー病のような病への理解を深めるための基礎実験として意義あるものと言えそうです。

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