前田恒彦 認証済み

元特捜部主任検事 報告

1995年に地裁でこの4要件が示された時代には裁判員制度はありませんでしたが、今もし安楽死が殺人罪で起訴されたら、裁判員裁判となり、市民の代表である裁判員が審理に参加し、市民感覚に基づいてその是非や要件、量刑判断が示されることになります。

そうなれば、介護疲れの末の殺人事件のように、裁判官だけで審理されていた時代に比べ、安楽死の違法性を否定する要件が緩和したり、寛刑化することも考えられます。

しかし、今回は本人が2人の医師に殺害を依頼しているため、嘱託殺人罪で立件されています。これは殺人罪よりも罪が軽く、裁判員裁判の対象外なので、たとえ起訴されても、裁判官だけで審理されることになります。

そうなると、先例踏襲ということで、過去の安楽死事件で裁判所が示してきた要件を踏まえ、それに当たるか否かといった観点が重視され、改めて司法の場で安楽死に関する議論が深まることはないかもしれませんね。

こちらの記事は掲載が終了しています

前田恒彦 認証済み

元特捜部主任検事

1996年の検事任官後、約15年間の現職中、大阪・東京地検特捜部に合計約9年間在籍。ハンナン事件や福島県知事事件、朝鮮総聯ビル詐欺事件、防衛汚職事件、陸山会事件などで主要な被疑者の取調べを担当したほか、西村眞悟弁護士法違反事件、NOVA積立金横領事件、小室哲哉詐欺事件、厚労省虚偽証明書事件などで主任検事を務める。刑事司法に関する解説や主張を独自の視点で発信中。きき酒師、日本酒品質鑑定士でもある。

前田恒彦の最近の記事

前田恒彦の最近のコメント

  • チリ人容疑者の移送始まる 筑波大生不明、仏に引き渡しへ写真

    共同通信 7月23日(木) 11時42分

    前田恒彦認証済み

    |

    被疑者も被害者もフランス国民ではなく、犯罪が行われたと思われる場所がフランス国内だということだけなの...続きを読む

  • こちらの記事は掲載が終了しています

    前田恒彦認証済み

    |

    安楽死が違法性を阻却される要件の一つとして、「医師が倫理的に妥当な方法で行う」というものがあります。...続きを読む

Yahoo!ニュース オーサーコメント