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前田恒彦

元特捜部主任検事

前田恒彦

1996年の検事任官後、約15年間の現職中、大阪・東京地検特捜部に合計約9年間在籍。ハンナン事件や福島県知事事件、朝鮮総聯ビル詐欺事件、防衛汚職事件、陸山会事件などで主要な被疑者の取調べを担当したほか、西村眞悟弁護士法違反事件、NOVA積立金横領事件、小室哲哉詐欺事件、厚労省虚偽証明書事件などで主任検事を務める。刑事司法に関する解説や主張を独自の視点で発信中。きき酒師、日本酒品質鑑定士でもある。

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      料理と同じように米などの原料を使って酒をつくることなど個人の自由であり、酒税法の免許制度は憲法違反ではないかと争われたことがありました。

      自分で飲むため、製造免許を取らないまま、自宅でどぶろくやこれを濾した清酒をつくっていた男性が、酒税法違反で起訴され、罰金30万円の有罪判決を受けた「どぶろく訴訟」と呼ばれる裁判です。

      しかし、1989年に最高裁は酒税の徴収確保の観点から合憲だと判断し、男性の上告を棄却しています。

      この点、梅酒ではなく「口噛み酒」に関する話でしたが、映画「君の名は。」でも主人公の三葉が妹からその商品化を提案され、酒税法違反だとたしなめる場面がありました。

      原始的な製造方法であり、アルコール分が1%を超えるまで発酵させることは難しいでしょうが、うまく管理を行えば1%を超え、酒税法の「酒類」に該当してしまうからです。しかも、酒税法は無免許での販売業も禁止しています。

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      これだと(1)地元議員らに現金を渡した事実そのものが存在しないのか、(2)それはあったが票の取りまとめを依頼する趣旨ではなかったのか、否認の具体的な中身が不明です。

      ただ、克行氏のPCから配布リストが押収され、関係者の大半が現金の授受を認めているとか、スマホのGPS情報分析でその日時場所を特定したとの話もあるので、(2)が最大の争点になるでしょう。2019年4月の統一地方選の陣中見舞いや当選祝い名目のものもあるからです。

      一方、検察は、定数2名で争われる激戦区で現職の溝手氏が自民党公認となる中、新人の案里氏までもが公認を得た2019年3月以降の現金であり、票の取りまとめを依頼する趣旨も含まれると判断している模様です。

      克行氏が「案里をよろしく頼みます」と申し添えて現金を手渡したとの証言もあるようなので、検察がこうした事案を有罪立証に向けた代表例として取り上げることも考えられます。

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      これまで目立った政治的圧力がなく、比較的スムーズに捜査が進んで外堀を埋めることができたのは、東京から離れた広島の地が事件の舞台だったことも大きいでしょう。今後は最高検、東京高検、東京地検特捜部が事件を引き取り、全国から応援検事を得たうえで、東京と広島に兵力を分散し、検察を挙げて徹底捜査を行うことになります。

      河井陣営をめぐる疑惑は選挙運動員に対する報酬支払や地元議員らに対する投票買収だけではありません。自民党本部から河井陣営に対立候補である溝手顕正氏の10倍にあたる1億5000万円が交付された経緯やそれが買収資金の原資なのか、その使途や残金の行方なども捜査の焦点になります。

      そもそも、衆参の議員夫妻をそろって選挙違反で立件するなど憲政史上例がないし、法務行政のトップだった元法相をその配下だった検察が摘発するというのも前代未聞の事態です。2人の逮捕だけでも政局に与える影響は甚大でしょう。

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      夫妻の逮捕状のほか、併せて夫妻の自宅や議員会館事務所など関係先の捜索差押え許可状も請求していることでしょうが、その中に自民党本部など1億5000万円の疑惑をめぐる関係先まで含まれているか否かが重要となります。

      もし含まれていれば、特捜部は相当の覚悟をもってこの事件の捜査に着手するということになるからです。

      なお、特捜部が逮捕状を請求する際は、関係者の供述調書など膨大な証拠を引用し、事案の概要をコンパクトにまとめた「強制捜査の必要性について」などと題する統括捜査報告書を捜査主任検事が作成しています。

      また、供述調書などにも重要な記載部分にあらかじめ付せんを貼るなどしていますし、主任検事が地裁令状部まで足を運び、担当裁判官に口頭で事案や証拠の説明をすることもあります。

      裁判官ができるだけ速やかに事件記録を検討し、令状発付の可否を判断できるようにするためです。

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      自陣営の選挙運動員に報酬を支払った運動買収と、地元有力者らに現金をばらまいた投票買収の容疑がありますが、前者の一部は連座制の適用を前提とした「百日裁判」で案里氏の秘書の公判が先行し、6月16日には有罪判決も出ました。

      まだその判決が確定したわけではないし、たとえ確定しても連座訴訟で案里氏の当選が無効になるまで時間もかかります。それでも、河井陣営で組織的な運動買収が行われていたとか、克行氏の了承も得ていたといった事実が裁判所に認定されたわけで、夫妻逮捕に向けて検察に「はずみ」がついたのは確かでしょう。

      地元議員ら約100人の関係者の大半が河井夫妻の現金提供を認め、取調べもすべて録音録画されているといいます。克行氏のパソコンから配布リストが押収されたとか、スマホのGPS情報を分析して授受の日時や場所の特定まで進められているといった話もあります。すでに外堀は埋められているといえるでしょう。

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      「Xデー」すなわち逮捕日は検察内のごく一部しか知らない極秘の情報であり、そこから漏れたとしか考えられません。こうしたリークを検察用語で「風を吹かせる」と呼びます。

      政治的配慮から都知事選告示日の18日を避けるという見方もありましたが、この報道が事実であれば、検察は真正面からこの日に逮捕や大規模な捜索をぶつけてきたということになります。

      衆参の議員夫妻をそろって選挙違反で立件するなど憲政史上例がないし、法務行政のトップだった元法相をその配下だった検察が摘発するというのも前代未聞の事態です。

      検察は少なくとも(1)河井陣営の選挙運動員に選挙運動の報酬として現金が交付された運動買収と、(2)広島の有力議員や首長、地元有力者らに案里氏への投票や票の取りまとめを依頼する趣旨で現金が交付された投票買収について、河井夫妻を立件したうえで、たとえ全面否認のままでも起訴まで持ち込む覚悟だと思われます。

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      検察は「嫌疑なし」ではなく「嫌疑不十分」で不起訴にしています。防犯カメラの映像を分析しても「サーズ」発言はなかったとは断言できないといった理屈かもしれませんが、不起訴の理由が何なのかによって、男性に対する金銭的補償も大きく左右されます。

      すなわち、逮捕や勾留されたものの不起訴となった場合、法務省の訓令である「被疑者補償規程」に基づき、1日あたり1000円~12500円の補償が行われることになっています。

      この点、「嫌疑なし」であれば検察自ら手続を始め、特に問題なく支払われることになります。しかし、「嫌疑不十分」だと厳しく、本人の申請を受けて手続が始められ、「その者が罪を犯さなかったと認めるに足りる十分な事由があるとき」という要件をみたすか否か、かなり慎重に判断されるので、支払いに向けたハードルが高くなるわけです。

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      河井案里氏は、広島県議会議員だった2006年3月、予算特別委員会で質問に立ち、当時の知事にその政治責任を問いただしています。知事の後援会事務局長が県内の議員らに金をばらまいた選挙買収疑惑が発覚したからです。

      のらりくらりとした答弁の知事に対し、案里氏は次のように述べています。

      「知事がこのことを御承知だったか、または御承知ではなかったかにかかわらず、あなたの責任というのは変わらないのですよ。この真実を明らかにすることだけが、知事が生き残る唯一の道なのです。この真実をあなたの口から県民の皆様にお伝えにならない限り、あなたの政治的生命は損なわれてしまう」

      「私が一言申し上げるとするならば、知事、男らしくなさいよ。私が、もし広島県知事でしたら、恐らく辞職をしています。男らしくしなさい、これだけです」

      案里氏らも、自民党の離党でお茶を濁すのではなく、早急に議員辞職すべきではないでしょうか。

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      真相解明が求められるのは、(1)河井陣営の運動員に選挙運動の報酬として現金が交付された運動買収や(2)広島の有力議員や首長、地元有力者らに案里氏への投票や票の取りまとめを要請する趣旨で現金が交付された投票買収のほか、(3)自民党から案里氏に対立候補である溝手顕正氏の10倍の1億5000万円が交付された経緯やその後の使途、残金の行方です。

      すでに(1)(2)については広島地検を捜査本部として相当の捜査が進められ、特に(1)の一部は連座制を前提に秘書の裁判が先行し、有罪判決も出ています。

      検察は(1)→(2)の順にステップを踏んで河井夫婦を立件し、次いで本丸の(3)を目指すと見られますが、元法相ら国会議員を立件するわけですし、(3)だと政権中枢の関与もうかがえるので、今後は最高検、東京高検、東京地検特捜部が引き取り、全国から応援検事を得たうえで、本格的な政界捜査を行うということでしょう。

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      一審判決は一般道を時速146キロで走行する行為が客観的に危険運転であるということまでは認定しているものの、制御困難とは思っていなかったという男の主張を踏まえ、故意に疑義があるとし、無罪の結論を導いています。

      裁判員が関与した裁判でしたが、そもそも「未必の故意」が認定できる事案ではないかと思われるので、検察は控訴し、高裁の判断を仰ぐのではないでしょうか。

      とはいえ、危険運転致死傷罪の最高刑はたとえ被害者が何人でも懲役20年どまりですし、これを前提とした検察側の求刑も懲役15年でした。

      たとえ高裁でこの犯罪が認定されたとしても、被害者や遺族からすると到底納得できない量刑になることでしょう。

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