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前田恒彦

元特捜部主任検事

前田恒彦

1996年の検事任官後、約15年間の現職中、大阪・東京地検特捜部に合計約9年間在籍。ハンナン事件や福島県知事事件、朝鮮総聯ビル詐欺事件、防衛汚職事件、陸山会事件などで主要な被疑者の取調べを担当したほか、西村眞悟弁護士法違反事件、NOVA積立金横領事件、小室哲哉詐欺事件、厚労省虚偽証明書事件などで主任検事を務める。刑事司法に関する解説や主張を独自の視点で発信中。きき酒師、日本酒品質鑑定士でもある。

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      静岡県警と厚労省麻薬取締部が別の薬物事件について合同で捜査中、4月18日に被疑者の自宅を捜索したところ、薬物ではなく、たまたま回転弾倉式のけん銃1丁が発見され、その場で被疑者を現行犯逮捕した、という珍しい事案です。

      薬物事件に関して発付された捜索差押え許可状では、けん銃は対象外となっているはずですから、その令状でけん銃を押収することはできません。ただ、刑事訴訟法は逮捕に伴う逮捕現場における令状なしでの捜索差押えを認めています。県警はこの規定を使い、今回のけん銃を押収したものと思われます。

      被疑者本人のものなのか、もしそうであれば、いつ、どのようなルートから入手し、何のために所持していたのかが捜査の焦点になります。刑罰は1年以上10年以下の懲役です。もし適合する実包と共にそのけん銃を保管していたのであれば、3年以上20年以下の懲役と刑罰も重くなります。

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      堺市では、昨年10月にも府営住宅の12階から自転車を投げ落とし、当たった女性に頭部打撲などの重傷を負わせた男が殺人未遂罪で逮捕されています。ただ、起訴は傷害罪にとどまったばかりか、今年4月2日の大阪地裁堺支部の判決では人に衝突させる故意が認められないとされて重過失傷害罪が適用され、懲役1年6月、執行猶予3年を言い渡されています。

      というのも、男が下を見ることなく、人の存在を認識しないまま自転車を投げ落としたからでした。

      今回の事件でも、逮捕された男が12階から下を見て警備員ら人の存在を認識しながら消火器を投げ落としたのか否かが問題となり、防犯カメラの映像の解析などがポイントとなるでしょう。

    • 前田恒彦

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      道路交通法施行令は、道路標識に基づく交通規制につき、単に前方から見やすいように「設置」するだけでなく、そのように「管理」までして行わなければならないとしています。

      よく問題となるのは、当初は見やすいように設置されていたのに、街路樹などが伸びて道路標識が隠され、見えにくくなっているケースです。これを見落として取り締まりを受けても、法令に基づいて適切に「管理」されているとは言えません。青切符処理などを拒否し、検察官にもその旨の主張をし、客観的に裏付けられれば、不起訴になるでしょう。

      ただ、取り締まり後に剪定される可能性もあるので、取り締まりを受けた直後に道路標識の状況を写真撮影して証拠化しておくべきです。

      今回のケースが珍しいのは、「管理」ではなく「設置」自体に問題ありとされた点と、刑事処分で不起訴になるよりもハードルが高い行政処分の取り消しが裁判で認められた点です。

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      改正法による録音録画の義務付けは、裁判員裁判対象事件や検察独自捜査事件に限られています。しかも、被疑者が十分な供述をし得ない場合などには捜査官の判断で見送り可能とされていますし、在宅段階の取調べや参考人の取調べも除外されています。

      捜査当局はすでに対象事件の可視化を試行済みです。特に検察は被疑者を逮捕する事件全般に広げ、供述調書の任意性・信用性が争いになりそうな場合には録音録画を実施するという運用になっています。6月から現状が激変するわけではありません。

      あくまでこれは第一歩であり、まずは完全実施が当たり前という運用としたうえで、将来的には在宅・身柄拘束段階を問わず、被疑者・参考人を問わず、検察が公判前に証人と打ち合わせる手続や裁判官による勾留質問を含め、およそ事情聴取の形式をとる手続は全過程を録音録画して記録に残すことを原則としていくべきでしょう。

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      ヤフー入社前である大学院生時代の2016年に実行された事件であり、3年近い捜査でようやく送検に至りました。刑罰は5年以下の懲役又は50万円以下の罰金ですが、被害相当額が大きい上、ブログで手口を公開しているので、略式罰金ではなく、公判請求になっても不思議ではない事案です。

      なお、オンラインゲームに関する事件ではありますが、2017年には、「モンスターハンターフロンティアG」のプログラムを改変するチート行為を代行したとして、私電磁的記録不正作出・同供用罪で正式起訴された大学生に対し、懲役1年、執行猶予3年の判決が言い渡されています。

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      ゴーン氏の勾留期限は4月14日であり、検察側は裁判所にさらに10日間の延長を請求するはずです。まずは弁護団としてはこれを阻止しなければなりません。また、追起訴で捜査終結となると、再び保釈請求をするわけで、許可を得たいところでしょう。

      しかし、夫人が海外にいて証人尋問に応じなければ、いずれもゴーン氏にマイナスに働きます。そこで、弁護団としては4月14日の前に裁判所に出頭させ、証人尋問に応じさせる必要があったわけです。

      ただし、検察庁での取調べと違って宣誓を要し、記憶に反する虚偽証言をしたら偽証罪に問われます。夫人やゴーン氏が起訴されたり有罪判決を受けるおそれがあれば証言を拒絶できますが、この権利を使うとゴーン氏にマイナスに働くでしょう。一方、資金の流れや認識、出国後の行動などに関して具体的な証言をし、虚偽だとなると、かなりリスキーです。弁護団がいかなる助言をするのか、注目されます。

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      証人尋問と聞くと、裁判官や検察官、弁護人、被告人が法廷に居並び、傍聴席に傍聴人がいる中で行われるものをイメージするかもしれませんが、今回は「第1回公判期日前の証人尋問」と呼ばれる特別な手続です。

      まだ再逮捕事件の捜査中であり、証拠の具体的な中身を公開できない段階なので、裁判官が捜査に支障を生ずる虞(おそれ)があると認めた場合、ゴーン氏やその弁護人を証人尋問に立ち会わせないことも可能です。また、公判期日前の手続ですから公開されず、傍聴もできません。

      それでも証人尋問であることには変わりはないので、証人は宣誓を要し、記憶に反する虚偽証言をしたら偽証罪で罰せられます。ただし、その証言で自分や夫が刑事訴追を受けたり有罪判決を受けるおそれがあるときは、証言を拒むことができます。

      いつゴーン夫人がわが国にやってくるのか、また、証人尋問でこの証言拒絶権を行使するか否かも注目されます。

    • 前田恒彦

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      動画の中でいかなる実名が飛び出し、複数の容疑に対して具体的にどのような主張が語られるのか注目されましたが、抽象的なものにとどまったばかりか、これまで報じられてきた言い分と重なる部分もあり、新規性がなく、肩透かしに終わりました。

      確かに、検察側の証拠をすべて見ていない段階で主張を固めてしまうのは今後の裁判を考慮するとリスキーですし、特捜部の取調べで語っていない新たな主張をすれば、特捜部がそこに重点を置く捜査をして「弁解潰し」に走ること必至なので、賢明な対応といえるでしょう。

      ただ、この程度の話であれば、「関係者に口裏合わせのメッセージを送った」などと特捜部が驚異を抱くことなどありません。再逮捕報道が出てからバタバタと動くのではなく、保釈時にスーツで堂々と姿を見せ、保釈直後のホットなときに、短時間でもよいので記者会見に応じ、こうした話を早くしておいたほうがよかったかもしれませんね。

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    • 前田恒彦

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      刑法が準強制性交等罪について「人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、性交等をした」と規定しているので、この事件でも父親が娘の「抗拒不能に乗じ」たのか否かが争われました。

      娘に性交に対する同意がなかったのは明らかであり、あとは中学2年ころからの父親による性的虐待や娘が専門学校の学費を父親に負担させた負い目などの事実をいかに評価するか、という問題になります。

      名古屋地裁岡崎支部は無罪としましたが、父親が娘を精神的な支配下に置いていた点は認定しているようなので、控訴して高裁の判断を仰ぐべき事案だと思われます。現に検察は、8日付けで名古屋高裁に控訴しています。

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      軽犯罪法は「虚構の犯罪又は災害の事実を公務員に申し出た者」や「他人の業務に対して悪戯などでこれを妨害した者」を処罰しています。刑罰は拘留又は科料です。前者は1日以上30日未満の身柄拘束ですが、同じ読みでも逮捕に続く手続の「勾留」とは異なるし、懲役と違って刑務作業も強制されません。後者は千円以上1万円未満の金銭罰です。

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