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前田恒彦

元特捜部主任検事

前田恒彦

1996年の検事任官後、約15年間の現職中、大阪・東京地検特捜部に合計約9年間在籍。ハンナン事件や福島県知事事件、朝鮮総聯ビル詐欺事件、防衛汚職事件、陸山会事件などで主要な被疑者の取調べを担当したほか、西村眞悟弁護士法違反事件、NOVA積立金横領事件、小室哲哉詐欺事件、厚労省虚偽証明書事件などで主任検事を務める。刑事司法に関する解説や主張を独自の視点で発信中。きき酒師、日本酒品質鑑定士でもある。

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      男性が店員にオーダーした時点で最初からカフェラテを注ぐつもりだったと確定できれば詐欺の成立も考えられたのですが、検察が窃盗を認定したということは、その点の自白や常習性に関する客観的な裏付けがとれなかったということでしょう。

      また、検察は同じ窃盗でも既遂ではなく未遂を認定しています。男性がコーヒーマシンでカフェラテのボタンを押したあと、コーヒー用のカップにカフェラテが注がれた段階でコンビニ店のオーナーが男性を取り押さえたので、カフェラテの占有がいまだ店側から男性に移転していなかったと評価されたからでしょう。

      いずれにせよ、最初から不起訴という処分結果が見えていた事件ですが、コンビニでは頻繁に起きている不正で常習者も多いようですから、一罰百戒や抑止の観点からは、逮捕や勾留、実名公表などによって社会的制裁を受けた意義は大きいものと思われます。

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      弘中惇一郎弁護士とは、厚生労働省虚偽証明書事件で弁護人として相まみえたほか、陸山会事件で証人出廷した際、その尋問を受けたことがあります。他方、辞任した大鶴基成弁護士とは、彼が東京地検の特捜部長時代に特捜部員として仕え、最高検検事時代には陸山会事件に関して指揮を受けたことがあります。

      両者を知る者からすると、ゴーン氏が本気で無罪を勝ち取ろうと思うのであれば、遅きに失したとはいえ、弘中弁護士を選択したのはベターな判断だったと思われます。

      新証拠探しに手を抜かず、検察のわずかな“ほころび”を見抜いて突くという独特のセンスや嗅覚が鋭く、公判での尋問の組立て方や発声、立ち位置、異議の出し方も上手く、現に数々の無罪を得るなど、成果を上げているからです。

      もちろん、弘中弁護士だからといってあらゆる事件を無罪にできるわけではありませんが、検察にとって手強い相手であることは間違いありません。

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      「ヤメ検」すなわち検察庁を辞めた元検事の弁護士、特に特捜経験が豊富な元検察幹部であれば、特捜部がどの範囲まで捜査をし、どのような証拠をどのタイミングでいかに収集しているか、といった勘所を押さえています。

      検察内部の決裁時期や担当者の顔ぶれ、彼らの思考回路、処理・求刑基準なども理解しているので、起訴前の捜査段階における弁護だと、まずまず役立つ存在といえるでしょう。

      しかし、起訴後の弁護、特に検察と公判でガチンコ対決となるケースだと、例外もあるものの、刑事事件を専門とするプロパーの弁護士、とりわけ独自調査に丹念に取り組み、検察が設定した枠を飛び出して想定外の土俵で戦おうとする弁護士と比べ、主張の組み立て方や証拠の見方、尋問のやり方などが優れているとは限りません。

      結局、ゴーン氏は「ヤメ検」をカットし、「無罪請負人」である刑事弁護専門の弁護士に今後の公判対応を委ねたということでしょう。

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      3名とも逮捕せず在宅のまま検察に事件が送られ、部員については被害者側が寛大な処分を望んでいることから「起訴猶予」による不起訴で終わるはずです。

      他方、当時の監督やコーチについては、同じく不起訴でも、犯罪の成立が前提となる「起訴猶予」ではなく、「疑わしきは罰せず」の観点から「嫌疑不十分」となるでしょう。

      被害者側は、部員の単独犯として処理されることに納得できないとして、検察審査会に審査の申立てができます。そこでは市民感覚に基づいた判断が下されます。

      ただ、複数の角度から試合を撮影した動画を分析したり、他の部員ら200人超から事情聴取をしたものの、証拠上、監督やコーチによる違法行為の指示までは認定できなかったとのことなので、結論が覆される可能性は低いものと思われます。

      それでも、事件後の日大の対応の悪さや、記者会見で司会者らが示した傲岸不遜な態度に起因する悪印象は消えてなくなりません。

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      犯人が日本人であろうが外国人であろうが、レイプされた被害者が日本人でありさえすれば、たとえ国外で発生した事件であっても、わが国の刑法の強姦罪(2017年から強制性交等罪)で処罰可能です。

      しかし、仮にこの男性を強姦罪やその共犯に問う場合でも、被害から10年で時効となり、起訴できなくなります。2000年代後半の事件ということで、もしそれが2009年だと今年で時効です。2008年以前だとこの男性が頻繁に海外に出国していて日本にいなかったトータルの期間が長く、時効が中断していない限り、既に時効が完成しているのではないでしょうか。

      性犯罪を厳罰化した2017年施行の刑法改正では導入が見送られましたが、時効期間の延長や撤廃が提言されているところです。

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      性犯罪の厳罰化などを盛り込んだ2017年施行の改正刑法には、施行3年後をめどに施策の再検討を行うことが盛り込まれています。

      改正議論の際は、暴行・脅迫の要件を緩和し、あるいは撤廃すべきか、親など監護者だけでなく教師と生徒といった特殊な人間関係下における性的被害を明文で厳罰化すべきか、時効期間を延長、撤廃すべきか、といった問題も検討されたものの、導入は見送られています。

      性欲を減退させるホルモン療法やGPS端末の装着による行動監視、幼児に対する性犯罪者の住所登録を含め、今回の調査は性犯罪の更なる厳罰化や再犯防止に向けた新施策導入の下地となることでしょう。

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      刑事訴訟法は「捜査については、公務所又は公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることができる」と規定しています。「捜査関係事項照会」と呼ばれるもので、捜査当局はこれをフル活用して捜査を進めています。

      Tカードに限らず、ポイントカードの捜査では、(1)登録時の個人情報(氏名、生年月日、住所、電話番号、メールアドレス、登録クレジットカードや預金口座など)や(2)登録後の利用情報(交通、コンビニ、 ファストフード、銀行、新聞、航空会社、レンタルビデオ、ネット通販、ガソリンスタンド、ホテルなど)を得ることができます。

      現金払いでレシートを廃棄済みでも、ポイントカードを提示していれば、利用日時や場所、内容などが把握できます。コンビニへの立ち寄り状況などを分析することで、通勤経路や行動範囲などが分かります。そこから防犯カメラの映像を入手し、アリバイ確認などにつなげることもできるわけです。

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      2016年10月に民事裁判の一審で被害者が全面勝訴するや、12月に離婚届が出され、2017年1月には財産分与を理由としてこの受刑者の所有不動産の名義が全て元妻に変更されたという事案です。この受刑者は、2013年に懲役6年の実刑判決が確定し、沖縄刑務所で服役中でした。

      そこで、離婚届の提出前のみならず、提出後であっても、元妻が頻繁に面会に訪れたり、手紙のやり取りをしたり、差入れをしていたか否か、また、その際の会話や手紙の内容、出所後の身元引受人が元妻になっていたのか否かといった事実のほか、妻以外の関係者との面会や手紙のやり取りの内容などが、偽装離婚か否かを立証する際の捜査のポイントとなります。

      刑務所での面会時は刑務官が立ち会って会話を書面に記録していますし、手紙についてもコピーを取って残しておくこともあるので、警察は既に刑務所からこれらの資料を手に入れているのではないでしょうか。

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      民事裁判の判決後、被害者の調査によってこの受刑者が地元沖縄に総額4億円のテナント物件などを所有していることが分かりました。しかし、その矢先、財産分与の名目でその名義が妻に移されてしまいました。

      被害者は民事裁判で勝訴していても財産の名義がこの受刑者ではなくなったため、差し押さえができなくなりました。そこで、この受刑者を刑事告訴していたものです。

      2019年に出所予定ですし、警察・検察の人事異動時期である4月の前までには捜査を遂げる必要があるので、このタイミングでの逮捕に至ったものと思われます。

      債務超過の場合、自己破産で債務の免責を受けることができます。それでも、詐欺や横領、窃盗など悪意による不法行為に基づく損害賠償は、殺人、傷害致死などに基づく損害賠償などと並んで免責されない決まりです。

      そのため、売買や財産分与などを仮装し、財産の名義を変えるといった資産隠しが横行するわけです。

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      確かに起訴後は許可されるまで何回でも保釈請求ができますが、既に却下されている場合、それ以前と比べて何か事情の変化がないと、簡単には許可になりません。

      弁護側が2度めの保釈請求に至った経緯として考えられる事情ですが、1回目の保釈請求に際し、検察側が裁判所の求めに応じて意見書を提出しており、そこに保釈反対の理由が詳しく記載されているので、裁判所でこの意見書を閲覧・謄写した上で、その内容を踏まえ、2度めの保釈請求に当たって何らかの手あてをし、反論を展開し、裁判所の再考を求めるといったことです。

      例えば、1回目の請求時のようにフランスを生活拠点としながら裁判に出頭するのではなく、日本に住居を借り、そこで暮らすことにしたとか、16億円超が流れたとされるサウジアラビアの知人の陳述書を用意し、保釈可否の判断をする裁判官に読んでもらうといったものです。

      参考:拙稿「知っておきたい保釈制度Q&A」

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