窪園博俊

時事通信社 解説委員 報告 オーサー

賃金の下振れで明らかになったのは、安倍政権と黒田日銀が目指す物価2%の達成がますます絶望的になったことだ。安倍政権の意向を受けて大規模な緩和を行っている黒田日銀だが、物価が上がる理由として、賃金が上がることを挙げている。給料が増えた家計が消費にお金を使い、それにより様々な物品・サービスの価格が上がるのだ、という。
 この理屈を聞いて、納得する向きは少ないだろう。日本経済は外需主導で景気が回復する。潤うのは大企業・製造業が中心で、労働者の多くが属する中小企業の恩恵は少ない。また、最近は海外経済の不調で外需も下振れ、企業全体の景況感も悪化しつつある。
 もともと賃金にけん引された物価上昇というシナリオは空論に近く、今回の賃金統計の下振れはそれを改めて浮き彫りにしたと言えるだろう。さらに賃金が低迷する中で強引に物価を押し上げると、家計への打撃が強まる。アベノミクスがアベコベになるわけだ。

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窪園博俊

時事通信社 解説委員

1989年入社、外国経済部、ロンドン特派員、経済部などを経て現職。1997年から日銀記者クラブに所属して金融政策や市場動向、金融経済の動きを取材しています。金融政策、市場動向の背景などをなるべくわかりやすく解説していきます。言うまでもなく、こちらで書く内容は個人的な見解に基づくものです。よろしくお願いします。

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