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今野晴貴

NPO法人POSSE代表。雇用・労働政策研究者。

今野晴貴

労働・福祉運動家/社会学者。NPO法人POSSE代表。ブラック企業対策プロジェクト共同代表。年間2500件以上の若年労働相談に関わる。2013年に「ブラック企業」で流行語大賞トップ10、著書『ブラック企業』(文春新書)が大佛次郎論壇賞を受賞。その他の著書に『求人詐欺』(幻冬舎)、『ブラックバイト』(岩波新書)、『ブラック企業ビジネス』(朝日新書)、『生活保護』(ちくま新書)など多数。1983年生まれ。仙台市出身。

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      適切な整備をせず、ただ人手不足を埋めるための高齢者や女性の「活用」は、新しい弊害を引き起こしている。まず、高齢者の労災が増加している。平成元年から同27年までの間に、労働災害全体の件数が減少する中で、60歳以上だけは件数が減少しておらず、全体に占める割合が12%から23%へ増加しているのだ。こうした背景には、若者が担ってきた労働に高齢者をそのまま配置することで、加重な負荷かがかかっていることが考えられる。高齢者を「活用」するのであれば、それに見合った職場環境の整備が必要である。
      また、女性の「活用」も弊害を生んでいる。むろん、女性が差別されず、働くことができるべきであることはいうまでもない。だが、出産や育児の負担が平等ではなく、また、社会的サポートも不十分な状況では、そもそも出産をすることもできない。差別が解消されないままに働くことばかりが求められれば、結局新たな社会問題を生むだけである。

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      政府は「働き方改革」の一環として労働時間の上限をはじめて策定したのだが、「自動車運転」の業務には適用されないこととなっている。
      新しい法律では、残業時間は単月で月100時間未満、連続する2カ月から6カ月平均で月80時間以内、原則で定められている月45時間(変則労働時間制の場合42時間)を上回るのは年間で6回まで、と定められる。
      だが、自動車運転の業務については、5年遅れの2024年4月から上限規制が導入することが目指され、その水準も年960時間(月平均80時間)以内の規制にとどまり、他の業種とは差別されることになる。
      自動車運転の業務に加え、建設事業、新技術、新商品等の研究開発の業務、医師についてはこれが適用されない。これからも「青天井」の労働時間が法律で引き続き認められることになる。
      自動車運転における過重労働や事故が問題となる中で、このような「措置」は不適切であると考えられる。

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      介護・保育の「都市流入」はとりわけ深刻である。育成は地方の学校で行われるのに、せっかく育ててもどんどん東京や関西に流出してしまうからである。こうした流出の最大の要因は、あまりにも大きい賃金格差である。保育や介護の賃金にはかなりの差が認められるため、ほとんど「地元」での就職が選択肢とならないのだ。
      そこで、地方で盛んに行われているが「奨学金制度」である。専門学校等の学費を一部自治体が援助する代わりに、卒業後の就労を特定の自治体内に制限する。ただし、そうした場合には、劣悪なブラック企業に就職した場合にも辞めることができず、うつ病になるまで働かされてしまうといった弊害を助長している側面もある。
      さらに、外国人労働政策の最大の論点も、都市への移動の可否にある。日本人の都市集中の「穴」を埋めてきたのが、移動の自由がない奴隷的な技能実習制度であったのだが、新しい制度でも移動を制限するのかが論点なのだ。

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      願望の問題以前に、収入が低いために結婚ができないことはデータが明瞭に示している。例えば、連合総研の2016年のデータでは、非正規雇用労働者の男性の90%が未婚であり、年収100~200万円未満では93%、200~300万円未満では89%、300~400万円未満でも73%が未婚である。
      そもそも、非正規雇用や低収入の者は結婚相談所の登録が断られ、合コンにも誘われない。この記事の男性は収入を増やす予定だと言うが、非正規雇用とブラック企業が蔓延する中で、「予定通り」に増えるかどうかはまったくわからない。
      そうした中で、結婚「できない」のではなく「しないのだ」と、あえて考えようとする場合も多いのではないだろうか。「意識調査」では類似のことがよく起こる。例えば、「自分は貧しくない」と思いたいため、収入が低くても自らは「中間層」だと答える人が圧倒的に多くなる。
      これと類似の効果はないだろうか?

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      ネットゲーム依存は世界的に問題化しており、韓国では16歳未満の児童に対して深夜零時から朝6時までインターネット・ゲームへのアクセスを規制している。中国でも、18歳未満の児童が一日5時間以上プレイした場合には、ゲームをする権利が喪失するという規制を試験的に導入している。これらの国は、自国に成長するゲーム産業を抱えているのだが、その弊害に気づいて規制を強めているのだ。そして、残念なことに、規制のゆるい日本市場が、外国企業にとって格好のターゲットにされているといわれている。
      ゲームに限らず、「経済成長」や投資先の拡大のためには、規制を緩和すべきだという考え方がある。だが、それは「労働(サービス)の質」を無視して行われた場合には、かえって将来的な経済のマイナスになる。介護・保育・教育なども、「質」に注目するならば、規制はむしろそれを担保している。もちろん、規制の内容が適切かという問題はあるにせよ。

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      おそらく警察官には適用されないだろうが、今後政府は国家公務員の副業を解禁するとしている。彼らの専門能力を、民間企業などで広く活用することが目的だという。
      だが、この記事にあるように、副業をすることは本業以外の時間を活用して働くことを意味する。休息をとる時間が削られても、本業の使用者はなかなか実態を把握することができず、本業に支障をきたすことも容易に想像できる。
      また、労働市場への影響も懸念される。多くの労働者にとって、副業は「収入を増やす手段」と見なされているが(なぜか政府はこれを軽視している)、副業が原則化していくと、本業の賃金が引き下げられる可能性もある。副業を行い、本来の職業に専念していないのだから、法的にも賃金の引き上げは正当化されてしまう可能性は否定できない。そうなると、要するに労働時間がだけが延びていくことになる。
      副業については本業や労働市場への影響をよくよく考慮すべきである

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      労働問題としては比較的よく見られるケースである。とりわけ、残業代の支払いなどが絡んでいる場合、「いっそ事業をたたんでしまう」という形で支払いを逃れようとするケースが後を絶たない。
      また、今回のケースでは本当に赤字があったようだ(そのように読める)が、労働組合が結成されたり、パワハラや残業代不払いを指摘されたことをきっかけとして「偽装倒産」し、社員を全員解雇すると同時に、密かに別会社にすべての資産を移して営業再開するというやり方は非常に頻繁に見られる。
      最近扱っているケースでは、労基署での過労死認定と同時に偽装倒産し、すべての資産を別会社に移すことで、民事訴訟での請求を回避しようとしたケースもあった。
      このような「偽装倒産」が行われると、雇用の継続や賃金債権の請求には煩雑な手続きが必要となるが、それでもあきらめさえしなければ権利の行使は可能であるので、そのことを知っておいてほしい。

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      中小企業は大企業と違い、社労士などの「専門家を雇う資金」が足りないために、適法な労務管理が難しいとされてきた。要するに、経営体力が足りないために、労務管理の適正化ができず、結果として違法状態になってしまうことが多かった、ということが指摘されてきたのである。
      だが、最近では事情が変化している。むしろ、社労士などの「専門家」の一部が、違法行為を積極的に中小企業経営者に指南している事例が増えている。経営者の知識不足につけこみ、「残業代は支払う必要はない」「団体交渉には応じる必要はない」などのまちがった法律知識を伝え、結果的に経営者が膨大な賠償金を支払うケースが増えているのだ。
      こうした現象は、そもそもの知識不足に原因があるが、たとえ経営資源の一部を専門家の投資しても、まともな労務管理の情報を必ずしも得られない実態があるということを示している。

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      「まじめ」な労働者にとっても重要な論点だ。この記事からわかることは、有給休暇を取得させなかったり、病気なのに休ませないような会社に対しては、理由を届け出て一方的に休んでも「解雇」の理由には到底ならないということ。
      ただし、なかなかこのような「権利」を行使できないのは、休んだあとに嫌がらせや査定でマイナス扱いをする可能性が高いからだ。企業内の人事査定には、仕事内容や業績だけではなく、情意考課の要素が強く、どうしても休んだことがマイナスになりがちである。
      では、公正な評価を実現するために、労働法はどう考えているのか。正当な理由のある欠勤を理由に著しく不利益な取り扱いをした場合には、不当であるという法的な評価はあり得るだろう。しかし、明らかな社会的差別でない限り、評価の方法自体に法的な規制はない。公正な評価を社員側から実現する方法は、労働組合を結成しての「交渉」が労働法の前提とされているのである

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      自販機補充の労働問題は、業界全体に広がっている。最近は、大手企業の「働き方改革」が進む中で、中小下請け企業で労働環境がさらに悪化している。例えば、本記事でも登場するジャパンビバレッジの労働環境が問題化する中で、自販機の運営会社はより安い単価で補充を請け負う会社に委託先を移している。
      具体的には、ジャパンビバレッジから一部業務が移っている「大蔵屋」という補充請負会社では、月給に96時間分の残業代が含まれており、朝5時から夜8時までの長時間労働を強いられているという。
      このように、大手企業が問題化すると、中小企業や下請け企業のより劣悪な業者へと切り替えられるということは、他の業界(例えばNHKのしわ寄せを食っている映像制作業界など)にもみられる。
      労働問題の改善のためには、業界全体の改革が不可欠である。当然、自販機業界の大元である飲料メーカーの社会的責任も問われなければならない。

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