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今野晴貴

NPO法人POSSE代表。雇用・労働政策研究者。

今野晴貴

労働・福祉運動家/社会学者。NPO法人POSSE代表。ブラック企業対策プロジェクト共同代表。年間2500件以上の若年労働相談に関わる。著書に『ブラック企業』(文春新書)、『ブラックバイト』(岩波新書)、『生活保護』(ちくま新書)、『日本の「労働」はなぜ違法がまかり通るのか?』(星海社新書)など多数。2013年に「ブラック企業」で流行語大賞トップ10、大佛次郎論壇賞などを受賞。共同通信社・「現論」連載中。一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程修了。博士(社会学)。無料労働相談受付:soudan@npoposse.jp、03-6699-9359。

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      アニメ制作会社といえば、原画を描くアニメーターの過酷な労働が有名だが、今回、労基署に申告した従業員の職種は「制作進行」だ。あまり知られていないが、制作進行でも低賃金・長時間労働が常態化している。テレビアニメを1話単位で担当し、進行管理が主な業務だ。ところが、原画を描くアニメーターを毎回20人ほどかき集め、彼らの自宅に行って原画を回収する業務まで任せられる。このため、過労死ライン超えの残業は当たり前で、一方で基本給は最低賃金ギリギリの10万円台であることが多い。今回は違法に残業代が払われていなかったが、裁量労働制を適用されて合法的に残業代が払われない制作会社もある。「有名な監督や演出家の下で働けるから」「好きな作品に関われるから」などの「やりがい」で、こうした違法行為を受け入れさせられてしまうケースも多い。記事にある「ブラック企業ユニオン」では、同業界のケースに積極的に取り組んでいくという。

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      実に画期的な解決だ。裁量労働制による長時間労働の労災については、最近では三菱電機や野村不動産の事件が話題になった。しかし、労災認定された本人自身が在職中に記者会見を行い、実態を語ったのは初めてのことだろう。
      また、今回は裁量労働制が全社的に撤廃され、長時間労働が削減され始めており、具体的な数字も発表されている。
      長時間労働と労災を生み出す裁量労働制の問題が改めて明らかになった。同時に重要なのは、これらの被害回復や改善が実現できたのは、当事者がユニオンに相談し、粘り強く団体交渉をしてきたからということだ。被害の回復は諦めなければ必ずできる、ということをよく示しているケースである。

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      トヨタさえも終身雇用を守らないのであれば、いよいよ雇用慣行が崩れてくる。ただし、終身雇用を辞めるのは、企業にとってもよいことばかりではない。
      第一に、終身雇用への期待が崩れれば、労働者は自社のために献身的に努力しても意味がなくなり、企業の特殊性に合わせた技能形成を避けようとする。この企業特殊性な技能は、企業の競争力の源泉だと考えられている。ただし、献身的に努力しても意味がないとの認識が広がれば、ブラック企業や過労死をなくす気運は更に強まるだろう。
      第二に、終身雇用と引き換えにされてきた、「無限の指揮命令権」が認められなくなる可能性がある。日本の裁判所は世界的に異例なほど、企業の命令に甘い。残業や転勤が自由にできる。これができなるなるはずだ。この点も、労働者にとってはプラスだ。
      企業は自由な解雇と献身的な貢献のいいとこ取りはできないのである。

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      社長が「月にいく」ほど蓄えがあるのだから、賃上げができることは当然だろう。しかし、儲かっても自然とは労働者に分配されない。今回は、藤田孝典氏による指摘をきっかけに、世論が盛り上がったことが賃上げにつながったと思われる。
      ただし、今回の「成果」はイレギュラーな部分も否定できない。本来、会社の利益を社員に分配させる仕組みは、労働組合と経営側の労使交渉によるからだ。労使交渉は法律に保護されているので、実効性が高い。今回のような賃上げを継続させるためにも、ぜひ労使交渉の枠組みが必要だ。
      また、時給も1500程度まで引き上げなければ、やはり自立した生活は困難なままだ。大幅な増員も、ワーキングプアを増やしてしまっている側面もある。
      今後の更なる賃上げと正社員化にむけて、ぜひ労使交渉の枠組みをつくってほしい。会社に労働組合を作ることは簡単。ブラック企業ユニオンなど、外部の組織に個人加盟するだけでできる。

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      脱法行為のやり方は、記事が指摘するように独立させるだけではない。労働基準監督署の勧告を受けて、残業代対策のために裁量労働制を(違法に)導入するケースも見られるのだ。
      吉本興業が2012年、アミューズが2013年に労基署の是正勧告を受けている一方で、最新の求人情報を見ると、アミューズはマネージャーに専門業務型裁量労働制を適用し、吉本興業では事業場外みなし労働時間制を適用している。いずれも、1日あたりの「みなし労働時間」を決めておけば、何時間残業しても、追加の残業代を払わなくて良いという制度である。 アミューズも吉本興業も1日8時間のみなし労働時間になっているため、1日9時間働こうと20時間働こうとも、残業代は一切払われない。 つまり、労働基準監督署の勧告を受けて、単に残業代対策のために裁量労働制や事業場外みなし労働時間制を導入されていることが推察されるのである。

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      労基の勧告が出ても、残業代が出るわけではないことに注意が必要。これは、よく勘違いされているところ。
      労働基準監督官は、あくまでも「警察」の立場であるため、賃金や賠償金の支払いを直接強制はできない。労基ができるのは、勧告や指導を行い、それでも改善しない場合には刑事手続きを進め、最終的には司法によって「刑罰」を科すこと。労基法上、禁固刑も用意されているし、手続きの上では逮捕することもできる。
      しかし、実際には、勧告が出されても、あるいは刑事手続きが取られても、残業代を支払わない事業主は存在する。残業代を支払わせるには、自ら民事訴訟を起こして勝訴し、それでも支払われなければ、強制執行の手続きを執るしかない。
      今回のケースは500時間だから、相当の残業代に加え、労災(鬱など)が発生していると思われる。労災についても、賠償金は自ら請求しなければならない。だからこそ、労組・ユニオンの支援が必要なのだ。

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      典型的にサービス残業を強いる構図。「社員からの申請と上司の承認により残業代を払っていた」とあるが、このようなやり方は、運用次第で申請を受け付けなかったり、自粛させる効果をもつ。ブラック企業では、残業代を申請させないことを目的に「申請方式」をとっていることも珍しくはない。
      だが、この記事で明らかになっているように、「申請せずに勝手に残業していた」とされるような場合でも、必要な業務を行っていた場合には、労基法違反になる。ただし、その場合にも、残業代を請求するためには、働いていた勤務の記録などの証拠が必要となる。手書きにメモでもよいので、必ず必要業務を行った場合には記録をつけてほしい。そして、後からでもこのケースのように請求してほしい。
      さらに、実際の残業代請求にあたっては、外部の労働組合や労働側の弁護士に相談するのがよいだろう。労基署を動かす上でも、証拠の整理などが必要になるからである。

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      より深い問題は、労基法が使用者に労働時間の記録を罰則付きで義務づけていないと言うこと。だからこそ、このようなタイムカードの偽装も「平気」で出来てしまう。酷い経営者の場合、労基署がサービス残業を指摘すると、そもそもタイムカードの管理すら放棄してしまう。それでも、何らの罰則も与えられないのである。
      実は、今回の法改正に際しても、労働時間の記録を罰則付きで義務づけることを、労働側は強く求めてきた。つまり、政府もこの問題をよくよく承知の上で、検討会でも検討されて、それでも改正に盛り込まなかった。これでは、企業に対し、「労働時間規制は強まったけど、タイムカードの改ざんや、タイムカードの破棄はこれからも続けていいよ」といっているのと同じである。
      もしタイムカードの改ざんなどが罰則付きで禁じられれば、このような過労死はずっと防ぎやすくなるはずだ。本当の「働き方改革」を進めてほしいと思う。

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      退職代行ではなく、労働側の弁護士に依頼すべき理由は、非弁行為だけではない。社員をやめさせないブラック企業では、残業代不払いやメンタルヘルス疾患の労働災害が横行している。違法行為の被害を抱えたまま、ただ「辞める」だけでは、そうした被害は回復できない。
      労働側の専門的な弁護士やユニオンであれば、辞めるだけではなく、それらの権利侵害に対する被害回復についても必要な助言や手続き、支援を行ってくれる。
      たとえば、パワハラとサービス残業を苦に辞めるという場合。ただ辞めれば、失業と転職で困窮するだろう。メンタルヘルス疾患を患っていれば、しばらく働くこともできなくなるかもしれない。しかし、それらの被害は一切救済されない。
      もし、労働側の弁護士やユニオンであれば、残業代を請求し、労災の手続きについても手続きや支援を行ってくれる。このように、「辞めたあと」で、天と地ほどの差が生じてくることになる。

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      非情に典型的で、蔓延している問題。
      まず、大前提として、労働者本人の「同意」なしに労働条件を変更することはできない。もし新たな「同意」によって契約を結びなおしていないならば、減額された分の全額の支払い義務が発生する。
      それにもかかわらず、脱法的に賃金を「減額」するための手段が、今回のケースに見られる「固定残業代(みなし残業)」を組み込むというやり口である。一見すると額面が変わらないために、あたかも「変化」がないかのように見えるから、騙しやすいのだ。
      最近では、最低賃金の上昇に合わせて、巧みに「固定残業時間」分を変化させて調整したり、裁量労働制が違法扱いされた場合に「備えて」固定残業代の契約を組み込むといったやり口が目立つ。就業規則に新たに書き込むケースも多い。
      そうした賃金制度の変更に対しては、このケースのように事後的に請求が可能である。気になることがある方は、ぜひ専門家に相談してほしい。

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