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川上泰徳

中東ジャーナリスト

川上泰徳

元新聞記者。カイロ、エルサレム、バグダッドなどに駐在し、パレスチナ紛争、イラク戦争、「アラブの春」など取材。中東報道で2002年度ボーン・上田記念国際記者賞受賞。2015年からフリーランスとして夏・秋は中東、冬・春は日本と半々の生活。現地から見た中東情勢を執筆。著書に新刊「シャティーラの記憶 パレスチナ難民キャンプの70年」(岩波書店)「『イスラム国』はテロの元凶ではない」(集英社新書)「中東の現場を歩く」(合同出版)「イスラムを生きる人びと」(岩波書店)「現地発エジプト革命」(岩波ブックレット)「イラク零年」(朝日新聞)◇連絡先:kawakami.yasunori2016@gmail.com

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      イランは米主導の有志連合構想に対抗して外交攻勢を強めており、ザリフ外相の日本訪問もその一環である。外相は23日にフランスのマカロン大統領と会談する。イランはホルムズ海峡の安全確保は、域外諸国軍の介入によるのではなく、周辺諸国が責任を持つべきだと主張する。日本にも有志連合に参加しないよう求めるだろう。イランの主張に説得力があるのかと思うかもしれないが、イランは湾岸アラブ6カ国ではカタール、オマーン、クウェートと外交関係を維持し、ザリフ外相は11日、カタール、18日、クウェートを訪れた。サウジアラビアと共に対イラン強硬派だったアラブ首長国連邦(UAE)は7月に沿岸警備隊司令官が6年ぶりでテヘランを訪れて海峡の安全対策を協議した。反イランのトランプ構想への同調ではむしろサウジが少数派だ。海峡の安全と安定は湾岸諸国自身にとって死活問題であり、そのために当事国中心で協力するのは現実的な方策であろう。

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      安田純平氏はシリア内戦で何が起こっているかを知り、伝えるためにジャーナリストとしてシリア入りし、武装組織に拘束された後も自身の状況や拘束組織について克明に記録し、その一端を帰国後の会見やインタビューで明らかにした。ジャーナリストの仕事を続けるために旅券を申請し、5か月間、外務省が「審査中」として発給しないのは、政府による報道の妨害と言わざるを得ない。2月には、1000万人以上が飢餓状態にあるイエメン内戦を取材しようとしたフリージャーナリストの常岡浩介氏が旅券の返納命令を受けて出国できない事件もあった。シリア内戦であれ、イエメン内戦であれ、戦争や紛争には地域の政治や経済、社会の矛盾が集まり、それは常に他地域や世界に広がり、日本にも及ぶ危険性をはらんでいる。政府がジャーナリストの紛争地取材を阻むのは、世界で起こる問題と危機から国民の目を塞ぎ、主権者である国民の判断材料を奪う不当な行為である。

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      テロが起きたカティーフ(「クデイフ」は方言の発音)はサウジのシーア派の中心都市。ISの犯行声明というのは多分、後付け。サウジ国内でISを支持するスンニ派厳格派勢力のシーア派攻撃をISがお墨付きを付けたということだろう。この記事でも、ほかの新聞でもサウジ政府が空爆したイエメンのシーア派「フーシ」と関連づけているが、目を向けるべきはイラク、シリア情勢だ。イランが主導し、イラクのシーア派民兵やレバノンのヒズボラを使った軍事介入によるシーア派ベルトの構築に反発するスンニ派の間に、「対シーア派ジハード」が広がっている。それがカティーフに及んだとみるべきだ。ISにサウジの若者2500人が参戦しているという情報もあるが、そのような若者たちと、サウジにいるIS支持の若者たちの間で連絡をとっているはずで、サウジ政権にとっては、国内のIS支持者が暴力に走るのは、国内の治安にとっては非常な危険な動きとなる。

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      アンバル州の州都ラマディはドレイミ族など、サダム・フセイン時代の軍や情報関係の主力を担った最強のスンニ派勢力の拠点。ISがラマディを制圧したということは、ISがスンニ派部族と協力関係を固めたことを意味する。アンバル州ではイラク戦争後に1300人以上の米兵が戦士しており、ラマディのスンニ派部族がシーア派主導の中央政権と協力してISに対抗しようと決めれば、ISは阻止できたはず。その意味では、ラマディ陥落は、マリキ政権と同様に、アバディ政権も、スンニ派部族勢力とのパワーシェアリングに失敗したということになる。アバディ政権はシーア派民兵組織を投入する方針のようだが、泥沼化する方向に向かうだろう。さらにバグダッドでも、アンバル州のファルージャやラマディに近い地域はスンニ派の強硬派住民が多いところもあり、2006年-08年のシーア派・スンニ派抗争の時のように、バグダッドの分裂にもつながりかねない。

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      エジプトのムルシ元大統領に死刑判決で、日本のメディアはモルシの出身組織のムスリム同胞団の過激化の可能性を書いている。同胞団が武装闘争路線をとればエジプトは90年代のアルジェリア化する。しかし、これまでにそうならなかったわけで、今後もその可能性はないだろう。イスラム主義の政党で、武装闘争をするかどうかは状況に応じて変わるわけではなく、組織の在り方の根幹にかかわる。同胞団が小さい組織なら、組織の存立が脅かされれば武闘化するかもしれないが、同胞団は所帯が大きすぎる。草の根的な社会活動で、民衆の支持を得て、選挙すれば勝つと思っている組織だから、もっと現実的な思考だ。しかし、武装闘争をイスラムの正義と考える者たち、特に弾圧に怒りを募らせる若者たちが同胞団を飛び出て過激派組織に入ったり、過激派組織をつくる動きはあるかもしれない。イスラム過激派の多くは60年代のナセル時代の同胞団弾圧で生まれたのだから。

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      アブアリ・アフリの死亡を発表したのはイラク国防省で、米軍筋は「情報はない。モスクは空爆していない」とする。真相は不明。アフリは4月くらいから有志連合の空爆でけがをしたバグダディの代わりに「イスラム国」を率いているといわれてきた。1998年にアフガニスタンに行ってアルカイダに参加したとされ、イラク戦争後にイラクに戻り、「イラク・アルカイダ」から「イラク・イスラム国」の幹部になったという。バグダディに比べても、指導力や実務能力があり、カリスマのある人物という情報がメディアには流れていた。この数日のアラブのメディアでは、アフリがモスルの大モスクでの金曜礼拝の説教を、バグダディに代わって行ったとして、後継者になったと受け止めるようなニュースが出ていた。死亡したとすれば、その矢先ということになる。