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猪瀬聖

ジャーナリスト

猪瀬聖

慶應義塾大学卒。米コロンビア大学大学院(ジャーナリズムスクール)修士課程修了。日本経済新聞生活情報部記者、同ロサンゼルス支局長などを経て、独立。食の安全、働き方、マイノリティ、米国の社会問題を中心に幅広く取材。著書に『アメリカ人はなぜ肥るのか』(日経プレミアシリーズ、韓国語版も出版)、『仕事ができる人はなぜワインにはまるのか』(幻冬舎新書)など。

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      2018年に米国内で発生した差別や偏見を動機とした個人への暴力行為の件数は、過去16年間で最高となっています。背景の1つとして指摘されているのが、トランプ氏が2017年の大統領就任以来、繰り返しているマイノリティに対する差別的言動です。それがマイノリティに不寛容な雰囲気を醸成しているとみられています。実際、トランプ氏は「パール・ハーバー(真珠湾)」という言葉をときどき口にするので、それで日本人や日系人が攻撃対象にされた可能性はあります。事件のあったロサンゼルス郊外のトーランス市は、昔から日系人や日本企業の駐在員が多く住んでいる場所で、大きな日系のスーパーマーケットやショッピングセンターもあり、日系人に対する偏見は強くない地域です。今回の事件の詳しい背景はわかりませんが、そこで今回のようなヘイトクライムと見られる事件が起きることは、今の米社会の雰囲気をよく表しています。

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      米ABCニュースの現地からの映像を交えたリポートだと、「自治区」には食べ物の屋台も出ていたりして、かなりのんびりとした落ち着いた雰囲気です。地元警察も、最初はデモ隊と衝突しましたが、いまは姿を見せず、とりあえず気のすむまで集会をやらせておこうという感じに見えます。トランプ大統領は「テロリストを鎮圧しろ、しないなら俺がやる」とシアトル市長に命じましたが、シアトル市長はトランプ氏がホワイトハウス周辺でデモが行われた時に地下壕に避難したことを引き合いに出し、「自分の地下壕に戻れ」と命令を無視。シアトルのあるワシントン州知事も「無能な大統領は口出しするな」とトランプ氏を批判しています。デモ隊の要求は今一つ不明ですが、米メディアの報道を見る限り、緊迫感はあまりないようです。

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      どの世論調査でもトランプ氏の支持率は軒並み下落していますが、本人は相変わらず、気に入らない相手をツイッターで攻撃するなど意気軒高です。11月の大統領選に勝利できる自信がよほどあるのでしょう。実際、CNNの調査では、全体の支持率は38%と過去最低水準ですが、共和党支持者の間の支持率は88%と非常に高い水準を維持しています(ちなみに民主党支持者の間の支持率は2%)。問題は、共和党と民主党の中間に位置する無党派層で、CNNの調査では37%が支持、56%が不支持となっています。これを何とかひっくり返せば、再選は十分可能です。今後は、無党派層の支持を増やすため、景気回復により力を入れると同時に、社会政策では、これまでの保守層寄りの過激な発言をやや控え、穏健路線に舵を切る可能性も十分に考えられます。

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      トランプ氏のツイッターを見ると、確かに「今やすべて完全にコントロール下にある、昨夜(土曜夜)のデモの規模は予想よりはるかに小さかった」と述べていますが、記事の見出しにあるような「情勢鎮静化」という言葉は使っていません。そもそも首都ワシントンでのデモは最初から大半が平和的なものでしたし、ニューヨーク・タイムズ紙は、土曜日のデモの規模はトランプ氏の認識とは逆に、それまでより明らかに大きかったと伝えています。したがって、州兵を撤退させたのは「情勢鎮静化」ではなく、首都に軍隊を投入し自国民と対峙させることに対し、コリン・パウエル氏を含め軍出身の重鎮たちが足並みをそろえてトランプ氏を批判したことが大きいと思われます。週末のデモには、議会共和党の重鎮ミット・ロムニー氏も参加するなど、トランプ大統領のデモ対応に対して身内からの批判も強まっており、トランプ氏は四面楚歌の状態に陥りつつあります。

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      トランプ氏はもともと黒人票は当てにしていません。自分が黒人に人気がないのはわかっているし、黒人票はオバマ前大統領の副大統領をつとめた民主党のバイデン候補に行くとわかっているので、とくに黒人票をとりにいくような努力はしないでしょう。トランプ大統領が一番心配しているのは、最近の世論調査で、キリスト教福音派など宗教票がトランプ離れを起こしつつあることが明らかになったことです。結果的に宗教関係者の批判を招いて失敗に終わりましたが、先日、ホワイトハウス近くに集まった黒人差別に抗議するデモ隊を催涙弾などで蹴散らして、教会前で聖書をかかげたパフォーマンスをしてみせたのは、再選に向けて、福音派や反黒人色の強い白人保守層などにアピールするためのものとみられています。

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      日本のメディアが通常のニュース番組で伝えているのは、トランプ大統領の言い分と、略奪行為の現場やデモ隊が警官隊と衝突するセンセーショナルな映像がほとんです。しかし、米国内のメディアは、デモ隊の大半は平和的に行進しており、略奪行為を働いているのはデモとは無関係な便乗犯との論調も多く、そうした映像も盛んに流しています。また、トランプ大統領の強硬発言を知事の多くが批判的に見ていることも報道しています。日本にとっては所詮、遠く離れた海外のニュースであり、現地の取材体制も限られているため、特に報道の初期段階では事実の伝え方が偏ってしまうのはやむを得ない面もありますが、それによってニュースの受け手の印象が180度違ってしまう可能性があることにも、留意しておかなければなりません。

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      この記事が伝えるように、米国内では「デモは全般に平和的に行われており、暴力や略奪は一部の市民がデモに便乗しているに過ぎない」との報道が目立ちます。実際、そうした映像も多く流されています。また、米テレビの報道番組で当時を知る黒人牧師が「昔のデモは黒人ばかりだったが今回のデモの参加者は多様化している」と述べた通り、映像を見て目を引くのはデモに白人、それも女性の姿が非常に目立つことです。女性は同じ社会的マイノリティとして、黒人が白人男性社会から受けてきた不当な差別を他人事と思えないのでしょう。全米に広がるデモを引き起こした根本原因が人種問題にあることは間違いありませんが、黒人VS白人の構図と単純にとらえるよりは、女性を含むマイノリティに対し高圧的で差別的な言動を続けるトランプ大統領に対する市民の怒りが、ミネアポリスでの事件を機に爆発したと見るほうが、正しいのかもしれません。

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      米国では黒人というだけで相当なハンディを背負って生きなければなりません。黒人が警官に射殺される確率は白人の2.5倍。ニューヨーク市内のある地区では、新型コロナによる外出禁止令発令中にソーシャル・ディスタンスの命令を破ったとして逮捕された市民の9割近くが黒人でした。「黒人は犯罪者」という根強い偏見が警官の行動に影響を与えているためで、この偏見は「警察官のジレンマ」と呼ばれてます。米国では大麻を合法化する州が増えていますが、背景には「白人も黒人も同じように大麻を吸っているのに、逮捕されるのはいつも黒人」という黒人社会の強い不満があり、それに同調する世論があります。こうした中、大企業が声を上げ始めたのは注目すべき現象です。黒人は全人口の13%を占めるに過ぎず、購買力もさほどないにもかかわらず、企業が黒人の側に立つ姿勢を鮮明にしているのは、企業が社会的責任を果たそうとしているように見えます。

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      ワシントン・ポスト紙によると、2015年以降、警官によって射殺された黒人の数は1252人。一方、白人は2385人。これを人口比に直すと、黒人は人口100万人あたり30人、白人は同12人。黒人が警官に射殺される割合は白人の2.5倍に及んでいます。射殺に至らなくても、黒人は、ちょっとしたことで警官に職務質問されたり、警官から不当な暴力を受けたりする可能性が白人に比べて明らかに高いことが、様々な調査で裏付けされています。米国は自由と平等をかかげる国ですが、黒人にとっては不自由と不平等の国なのです。しかも、黒人の場合はもともと、自ら進んでアメリカンドリームを求めて米国に移住したわけではありません。警官による黒人への暴力や差別的な対応が最近、再び目立っており、黒人社会の不満が高まっています。

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      「各国が歓迎」と見出しにありますが、この記事が書かれた時点で、実際に歓迎を表明している国があるかどうかは不明です。実際、記事も、「歓迎する気配だ」とは書いていますが、「歓迎している」とは書いていませんし、歓迎している事実も書かれていません。トランプ大統領の名前が繰り返し出てきますが、少なくとも、米国の主要メディアの報道を調べる限り、トランプ氏が歓迎しているという記事は今のところ見当たりません。GDP世界3位の日本の経済活動再開が海外から歓迎されることは当然のことで、歓迎されるのも容易に想像がつきますが、想像だけで記事を書くと読者をミスリードするリスクがあり、また、この記事に関して言えば、経済活動の全面再開に慎重な国内世論も依然ある中、結果的に、海外の評価をことさら気にする日本人の国民性を利用する形で、政府の決定を安易に正当化してしまう危険性もはらんでいます。

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