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井出留美

食品ロス問題専門家・ジャーナリスト・博士(栄養学)

井出留美

奈良女子大学食物学科卒、博士(栄養学)(女子栄養大学大学院)修士(農学)(東京大学大学院農学生命科学研究科)。食品企業広報室長として東日本大震災食料支援の折、食料廃棄に憤りを覚え、自らの誕生日であり転機の3・11を冠した(株)office3.11設立。日本初のフードバンクの広報を委託され、PRアワードグランプリ ソーシャル・コミュニケーション部門最優秀賞や食品産業もったいない大賞食料産業局長賞へと導いた。『賞味期限のウソ 食品ロスはなぜ生まれるのか』(幻冬舎新書)は3刷。食品ロス問題を全国的に注目されるレベルまで引き上げたとして、2018年、第二回食生活ジャーナリスト大賞「食文化部門」を受賞。

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      国連が貴重なタンパク源として昆虫食を推奨している。長野県ではイナゴが有名。食品ロスを活用し5週間5カ国のヨーロッパを巡るドキュメンタリー映画『0円キッチン』ではダーヴィド監督がオランダの小学校を訪問する。肉団子の芋虫入りと入ってないのを作る。入れると団子型が保てて食感がクリスピーだと子どもたちの好評価を得る。東京では毎月昆虫料理教室が開催されている。一昨年参加し、コオロギのカナッペやアブラゼミと芋虫のチョコレートコーティングののったケーキを食べた。見た目がグロテスクなので普及するのは難しいかもしれないが、ヨーロッパでは粉末タイプが流通している。途上国では肉の消費量が増え、タンパク源が不足している。水資源や飼料を多く費やす牛肉に代わり、昆虫食が貴重なタンパク源となり得ることがわかる。SDGs(持続可能な開発目標)に基づき「日本さえよければいい」ではなく世界全体の持続可能性を考えることが大事。

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      規格外の魚を提供する居酒屋に取材したところ、韓国で食されており化粧品原料にもなるヌタウナギ(ヤツメウナギと同じ無顎類の深海生物、厳密には魚・鰻ではない)は余って捨てられており、美味しく食べられる調理法で活用する必要があるとのこと。ニホンウナギは絶滅危惧種で資源の持続可能性を保つことが食品企業としての責任。環境問題のキーワードである3R(スリーアール)の最優先はReduce(廃棄物の発生抑制)。もう大量生産・大量消費・大量廃棄の時代ではない。SDGs(持続可能な開発目標)は2030年までに世界の食料廃棄を半減する目標を定めた。ヤマダストアーは「恵方巻の大量販売をやめます」「海産物を大切にする」と宣言し消費者の共感を生んだ。企業は「作り過ぎない」「売り過ぎない」を原則とし、我々消費者も「買い過ぎない」。絶滅危惧種を余らせて廃棄するような企業からは物を買わないぐらいな気持ちで。買い物は投票です。

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      当初、全国紙などマスメディアの報道では、原因は断定されていないものの、福岡市内で食べたものによる可能性も推察される記事になっていました。調査により、福岡市ではなく、長崎市の飲食店が特定されたのであれば、当該店が公式サイトを通して謝罪し、原因と再発防止策を発表するのが食品関連企業のあるべき姿と考えます。3日間の営業停止処分を受けた、この飲食店の公式サイトを確認しましたが、5月28日午後13時現在、何も掲載されていませんでした。ミスや不祥事を起こした後の対応にこそ、その組織や個人の考え方や姿勢が現れます。修学旅行の団体客が向こうから来るのが常態化しており、気の緩みがあったのかもしれません。NHKの報道によれば、修学旅行は中止され、生徒らは鹿児島へ戻ったとのこと。中学3年間の思い出の1つである修学旅行がこのようなことになってしまった。そのことに対しても、飲食店は真摯な姿勢を示して欲しかったです。

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      食べ物を無駄にすることに対し「その是非は?」と問うているが問うまでもない話。先日、日本の大学生が諸外国と比べて政治や国際問題に関する議論ができない、あまりに稚拙過ぎて国外の大学に戻ったという記事があった。高校生が食べ物をわざと無駄にすることでしか楽しめないなら大学生になっても推して知るべし。シュークリームはニワトリが24時間かけて産んだ卵や牛の命が使われており、単なるモノではない。洋菓子店の店長がおっしゃっている通り「食べ物は遊びじゃない。美味しく召し上がっていただくために一生懸命作っている」。作り手の気持ちや努力、費やされた原材料や動植物の命、電気や水などのエネルギーを無駄にしている。是非を問う意義があるのは、双方にPros/Cons(メリット・デメリット)があり、どちらにも確定できないような問題のこと。倫理的にも経済的にも環境的にも損失だとわかっていることの是非を議論するまでもない話。

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      2000年、大手メーカーによる食中毒事件があり、私が勤めていた企業含む多くの食品企業が自主回収しました。連日の社告(お詫び広告)に続き、健康被害が無いものまで回収され、食品の無駄が指摘された当時「自主回収するかどうかの判断基準として消費者の健康被害があるかどうかを最優先に考えましょう」と書かれたマニュアルが省庁から配布されました。あれから18年。相変わらず「健康上に被害がないが、念のため回収します」という食品企業の自主回収が相次いでいます。あの時の学びは何だったのでしょう?食品において、安全性を担保することと資源を最後まで活用することの双方が重要です。天秤のバランスを取るように、どちらも大事で、どちらに偏ってもよい結果にはなりません。もう「健康上の害はないけど念のために自主回収する」といった無駄なことはやめませんか?コメントを読んでも多くの方が「もったいない」と思っていらっしゃるようです。

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      賞味期限接近の品が驚くほど安く買えるのはいいですね。反面、買い物時間を10分間に制限し、多数の客が殺到する中、短時間で煽ってカゴに大量に入れさせているのを映像から感じます。東京書籍の教科書『新しい技術・家庭 家庭分野』の「食品の選択・購入」には「食品を選択、購入するときは、外観で見分けるほか、表示やマーク、価格、環境への配慮についても確かめましょう」とあります。また開隆堂発行の教科書には「加工食品を選択・購入する場合は、目的や用途をはっきりさせ」とあります。短時間で他の客との競い合いもある中、はたしてこれらの項目を吟味できるのか疑問です。10分間で得た”戦利品”は、後で吟味し購入するかを決められるそうですが、最初に吟味すればよいのでは。小さい子も来ていたので、教育面でも懸念を感じます。食品ロスの出どころの半分は家庭です。食品の適切な買い方を身につけることは、食品ロス削減の意味でも重要です。

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      元食品メーカー勤務者として、消費者の気持ちを考慮し自主回収を決断されたのはとてもよく理解できます。ただ、食べても健康に影響がないとわかっているのに「万全を期すため」自主回収に踏み切ったのはもったいないとも感じます。200gの商品を310,000パックだと62トンの食品が無駄になってしまう計算です。以前、缶詰の一部に金属片が混入した食品メーカーが自主回収しましたが、回収製品のうち、安全性が確認されたものについては廃棄せずフードバンクへ寄付し活用していました。食で大事な「安全性の担保」と「資源活用」はどちらにも偏らず、天秤のようにバランスを保つ必要があります。日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会(NACS)は「食のリコールガイドラインの提案」で「回収の判断基準は消費者への健康被害の可能性の有無で決定し、事業者は環境配慮と経済的損失に配慮する」と述べています。私もこの考え方に賛成します。

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      医学博士の須見洋行氏が説明している通り「賞味期限が2-3日過ぎたとしても充分食べられます」。納豆メーカーの社員も同様のことを話していました。賞味期限を「品質が切れる日付」と誤解している人が多いですが、「美味しさの目安」であり、きちんと保管されていれば、過ぎても食べられます。国(消費者庁)は、企業が賞味期限を設定する際に掛け算する「安全係数(1未満の数字)」について、0.8以上を推奨しています。たとえば10日間美味しく食べられる食品であれば、企業はそれに0.8などの数字を掛け算し、製造から8日間の時点の日付を「賞味期限」として表示します。複数の企業にインタビューしたところ、この数字は0.7や0.6、0.5など、国が推奨する0.8より小さい数字を使っている企業が多くあります。以前は0.3を使う企業もありました。この「賞味期限の設定」の背景を知れば、実際より2割以上短くなっていると判断できます。

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      素晴らしい取り組み。これまでも人知れず同様の寄付をしてきた企業や個人はいると思うが、Yahoo!トピックスに取り上げられるようになったこと自体、社会の機運が変わってきたのを感じる。チョコレートを受け取った男性の3割程度が自分では食べていないという民間の調査結果もある。バレンタインのような季節商品は、当日売り切れないと見切り(値下げ)販売し、それでも売れ残れば返品か廃棄になる。恵方巻やうなぎなど、日持ちのしないものであれば廃棄かリサイクルになってしまう。カカオの資源も枯渇しており、国際カカオ財団と21企業は、カカオ原産国の熱帯雨林を保護するため恊働を始めた。カカオ農家は、世界銀行の定める絶対貧困の定義未満で暮らしている例もある。国連「持続可能な開発目標(SDGs)」の理念にあるように、先進国だけ良ければいいという考え方ではなく、途上国のことも配慮し、「誰一人取り残さない」社会にしていきたい。

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      吉野家がご飯量の盛り付けを見直し食べ残しを減らしてエコマークを取得したとのこと。全国の飲食店でご飯量の盛り付けを調整しているのは他にも多数ある。環境配慮のキーワードである3Rの優先順位はReduce(リデュース)Reuse(リユース)Recycle。最優先のリデュースに合致するのは吉野家のご飯の盛り対策とイオンの賞味期限延長、日本気象協会の取り組み。ダイエーのフードバンク協力は優先順位2番目のリユース。吉野家の「規格外肉をリサイクル」は優先順位3番目。リサイクルは3つの中で最もエネルギーやコストの負荷がかかる。日本はリサイクル技術が進んでいるが、食品リサイクル法改正ではリデュース最優先と決定した。メディアは3Rの最優先はリデュース=廃棄物の発生抑制という事実をきちんと理解し報じて頂きたい。ちなみに元記事のタイトル『「食品ロス」を急ぐワケ』は、正しくは『「食品ロス削減」を急ぐワケ』だと思う。

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