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井出留美

食品ロス問題専門家・ジャーナリスト・博士(栄養学)

井出留美

奈良女子大学食物学科卒、博士(栄養学)(女子栄養大学大学院)修士(農学)(東京大学大学院農学生命科学研究科)。食品企業広報室長として東日本大震災食料支援の折、大量の食料廃棄に憤りを覚え、自らの誕生日であり転機の3・11を冠した(株)office3.11設立。日本初のフードバンクの広報を委託され、PRアワードグランプリ ソーシャル・コミュニケーション部門最優秀賞や食品産業もったいない大賞食料産業局長賞へと導いた。国内外での講演や企業コンサルティングを行なう。市議、商店街振興組合理事長らと食品ロス削減チーム川口主宰。『賞味期限のウソ 食品ロスはなぜ生まれるのか』(幻冬舎新書)上梓、3ヶ月で3刷に。

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      食品をネット販売する場合、食品を扱う施設の所在地の保健所に食品販売許可届出を申請し、営業許可を取得する必要がある(食品の種類により異なる)。営業許可のない店舗から購入するのは、記事で書かれている通り、危険。食品を安全に保管する設備がないかもしれないし、食品衛生法が守られていないかもしれない。食品を安全に管理する知識がない状態で食品を売るのは、異物混入や食中毒などの食品事故につながる可能性がある。定価で仕入れた食品に法外な利益を上乗せして転売し、万一食品事故を起こしたら、販売者は食品衛生法違反で懲役や罰金などに処せられる。たとえば腐敗・変敗したものを販売した場合、3年以下の懲役または300万円以下の罰金。リスクの高い行為はすぐ止めるべき。買う側も、売り手がきちんとした食品事業者であると確認して買いたい。何より、美味しい食品を提供したいと真摯に作って売っている会社の方の思いを尊重してあげたい。

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      「炎上に乗ってさらに再生回数を増やそうと思った」「人の悪口を言ってアクセスを稼いでいる人がいる」という発言があるが、心の底から反省しているのだろうか。「お店の方に申し訳ない」とのことだが、申し訳ないのは店の人に対してだけではない。食べ物となるのに命を捧げた生き物(肉・魚や卵など)、食品の製造・加工・調理した人、運んだ人、販売した人、調理のためのエネルギーを生み出した自然(水・風・太陽)など、挙げればきりがない。食べ物を作り出すまでにどれだけ多くの命やエネルギーが費やされているか。日本の相対的貧困率は先進国の中でも高く、学校給食しか食べるものがなく夏休みに痩せてしまう子もいる。「金さえ払えば残そうが勝手」という意見があるが、消費者には権利だけでなく義務も責任もある。大量食べ残しをして批判を浴びても広告費を稼ぐことができるYouTubeの現状は非常に残念。投稿規定などに改善の余地があると思う。

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      「お金を払ってるんだから、食べきろうが残そうがお客の勝手」という意見を目にするが、せっかく作った料理をほとんど残されて、それを片付ける接客スタッフや、料理を作った厨房スタッフはどんな思いをしているのだろう。「働き方改革」という言葉をよく耳にするが、最初から食べないつもりなら注文しなければいい。働く側の時間や負担は、その分、軽減できたはずだ。ニワトリは1日1つしか卵を産むことができない。料理の背後には命を捧げた生き物がいる。農産物を作る生産者の方がいる。それを運んだ人がいる。作るまでに大量のエネルギー(電力や水、ガスなど)も費やされている。ハンバーガー1個に使われる原材料ができるまでには3,000リットルもの水が使われている(バーチャルウォーター=仮想水)。食べ残しを捨てるのもコストだ。そういう目に見えないところや手間をかけてくれた人にまで思いを至らせることができないことをとても悲しく思う。

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      日付表示が省略できるのは3ヶ月以上賞味期間があるものに限る。年月日表示から年月表示への切り替えは、報道が増え多い印象だが、農林水産省によれば、2009年〜2016年10月の7年半で年月表示に切り替わったのは3,215品目。1年以上賞味期間があるペットボトル飲料やレトルト食品、3年間賞味期間のある乾麺や缶詰なども、日付が入っている商品の方がまだまだ多く、切り替えは充分とは言い難い。現行の規則では、月の末日でない限り、半端な日付は切り捨て前月表示にする。たとえば賞味期限が「2017年11月29日」だと「2017年11月」とはならず、29日分を切り捨て前月の「2017年10月」になり、結果的にロスが増えてしまう。また、切り捨て表示しなければいけないと全企業が認識しているとも言い難い。記事の通り、年月表示化の主眼は日付後退問題(前日納品の品より一日でも賞味期限が古いと納品できない)の改善といえる。

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      タイトルだけ読むと「炭水化物はだめ」と短絡的に受け取られる可能性もあるかもしれない。この記事の調査結果によれば「炭水化物摂取割合が70%を超えると総死亡リスクが統計的に有意に上がる」とあるので、糖質を含む炭水化物を制限しなさいといった極端な結果は示していない。日本人の食事摂取基準の最新版(2015年)でも炭水化物摂取の目標量は50〜65%とされており、70%は超えていない。ただ、アルコールの摂取エネルギーは炭水化物1gあたりより高いので、アルコールを多く飲む人は、特に夜は炭水化物を少なめにするなどの心がけは必要かもしれない。厚生労働省が毎年実施している国民健康・栄養調査では、所得が低い層ほど野菜の摂取量が少なくなることがわかっている。所得が限られると安価で満腹感の得られやすい炭水化物に偏る傾向がある。食料支援の必要な方に食事や食品を提供する場合、炭水化物に偏らないよう配慮が必要だと考える。

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      「まずい」ことと「異物混入など衛生管理が不充分である」ことには重なる部分もあるが、全く同じではない。本件では、主に次の3つが背景にあった。1、一食250円という限られた予算で食材を調達するのが難しい。2、濃い味付けに慣れた子どもが塩分量の少ない給食をまずいと感じる。3、虫や髪の毛などの異物混入が頻発。1と2は全国の給食で言える問題かもしれないが、3に関しては全国一律に発生しているわけではなく、この学校特有の問題ではないだろうか。そうであれば、原因と今後の再発防止策をもう少し深堀りしたい。9年前から「おいしい給食」というキャッチコピーを掲げて取り組んできた東京都足立区は、学校給食の残渣が、平成20年開始当初の11.5%(小中学校平均)から、平成28年度には4.2%まで削減できている。限られた予算で美味しい給食を実現できている他校との比較に基づき、なぜ本校ではできなかったのかも議論して欲しい。

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      日本の法律では、3ヶ月以上賞味期間がある食品は、日付表示が省略できる。2013年から、ペットボトルなどの飲料に関しては、業界全体で年月表示化が進められてきている。出典の元記事には書かれていないが、この「年月日」→「年月」表示化では、半端な日付は切り捨てされる。たとえば「2017年11月11日」が賞味期限であれば、11日分が切り捨てられ「2017年10月」表示となる(月末の場合のみ、その月表示になる)。場合によってはロスが増える。そこで食品メーカーは、年月日を年月表示化にする動きと並行して、賞味期限そのものを延長する取り組みを進めている。たとえば製造工程や包装材を改良し、7ヶ月の賞味期間だったマヨネーズを12ヶ月まで延長したキユーピー株式会社や袋麺・カップ麺などの取組みがある。賞味期限そのものを延長する取り組みに加え、この「年月表示化」の取り組みが組み合わさり、食品ロス削減の実現となりうる。

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      まずはお客様に健康被害のないことを第一に考えての企業の最善策と考える。アレルギーを引き起こす可能性のある食材のうち7品目(卵、小麦、乳・乳製品、蕎麦、落花生、エビ、カニ)は、原材料欄に明記すべき義務表示品目である。今回の場合、バターが「乳・乳製品」に相当し、乳アレルギーの方が誤って食べないよう、自主回収の判断が下されたと考える。「もったいない」の声もあるようだが、マルハニチロは、自主回収した製品の安全性を確認した上で寄付し活用した実績がある。2016年11月、金属片混入により自主回収したさんまのかば焼き缶詰のうち、エックス線を使った機械で安全性が確認された約11,000個を2017年3月、セカンドハーベスト・ジャパンに寄付している。今回の場合、冷凍品かつ貝類であるため、前回の缶詰より難しいとは思うが、乳アレルギーの方への注意喚起をすることで、廃棄せずに活用できる可能性もゼロではないだろう。

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      JR東海は、賞味期限が切れる前に備蓄を交換しておくべきだったかもしれない。だが非常事態に際し、五感で食べられると判断し、善意で顧客に供したのであればベターな選択ではないか。賞味期限は、日持ちが5日以内の食品に表示される消費期限と違い、品質が切れる日付でなく美味しく食べられる目安である。国(消費者庁)は「賞味期限が切れてもすぐ食べられなくなる訳ではない」としているし、企業は安全係数を掛け実際の日持ちより短めに設定している。缶詰は、缶の品質保持期限=3年から賞味期限3年とされているが、理論的には半永久的に持つ。国が「賞味期限は目安だから消費者が判断し食べなさい」と言う一方、備蓄食品の多くが賞味期限の1年前に新品と交換され廃棄されるのは矛盾している。メディアは、これを報道するのなら、消費期限と賞味期限の違いや賞味期限は美味しさの目安である旨も説明すれば、消費者の誤解も食品ロスも減るのではないか。

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      食品製造業の場合、同様の異物混入のクレーム(消費者からの申し出)が3件あれば、その背後に100件近く発生していると認識し、健康被害が予想される場合は自主回収をも考える。クレーム件数=発生件数、ではない。全ての消費者がわざわざ手間をかけて申し出てくれる訳ではないからだ。学校給食にそのまま当てはめることはできないが、異物混入が100件認識されていたということは、これ以上発生していた可能性もある。学校給食は、成人してからも、懐かしい思い出として長く残っていく。子どもたちが口にする給食に金属片が入っていたことは、安全性の面から深刻であることは言うまでもないが、この給食を体験した子どもたちに「学校給食に虫や金属片が入っていた」という嫌な思い出を心に残してしまうことを想像すると、取り返しのつかない事態が残念でならない。食べることは一生続く。子どもたちにはこれから給食のいい思い出を作っていってあげたい。

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