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樋口尚文

映画評論家、映画監督。

樋口尚文

1962年生まれ。早大政経学部卒業。映画評論家としてキネマ旬報、朝日新聞などに寄稿。著作に「大島渚のすべて」「黒澤明の映画術」「ロマンポルノと実録やくざ映画」「『砂の器』と『日本沈没』70年代日本の超大作映画」「グッドモーニング、ゴジラ」「実相寺昭雄 才気の伽藍」「昭和の子役」「映画のキャッチコピー学」「有馬稲子 わが愛と残酷の映画史」ほか多数。文化庁芸術祭、芸術選奨、キネマ旬報ベスト・テン、毎日映画コンクール、日本民間放送連盟賞、藤本賞などの審査委員をつとめる。映画の監督作に「インターミッション」(主演:秋吉久美子、染谷将太)、「葬式の名人」(主演:前田敦子、高良健吾 / 2019年公開)。

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      堀川弘通監督『黒い画集 あるサラリーマンの証言』は、松本清張原作の映画化のなかでも大傑作のひとつですが、今回のドラマは同じ原作に果敢にチャレンジしていて楽しみです。また、松本清張は存命中から原作の映像化に独自の解釈や切り口が持ち込まれることをお手並み拝見と歓迎していたので、今回のような大胆な設定変更はとても喜んだのではないかと思われます。

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    • 樋口尚文

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      『パラサイト』と『ジョーカー』が作品賞を競っていたのではないかと思うが、ともに痛烈に格差社会を描いていると言われてはいるものの、そこへの反逆に追い込まれ、稀代のアンチヒーローとなってゆく『ジョーカー』の主人公が一種悪の爽快さを感じさせたのに対し、『パラサイト』の主人公の寄生家族は、そういった割りきれた痛快さとは無縁の、もやもやとした位置に生きていて含み多きものがあった。なにしろ『パラサイト』の一家は『ジョーカー』の彼のような被害者意識すら希薄で、生きていくための前向きなタフさと確信犯ぶりさえ感じさせる。彼らには金満一家がそれほど幸福にさえ見えていない気さえする。だが、そんな半地下の彼らをすら戦慄させる完地下の存在が、今時の社会の救いのなさを暴き出す。よってソン・ガンホの爆発は怒りではなく義憤なのだ。この重層的な苦味がきいた傑作のアカデミー賞受賞はまことに快挙である。

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      映画『葬式の名人』でも堂々たるシングルマザーを演じて女優賞を獲得した前田敦子さんが、続いて『伝説のお母さん』でどんな素敵なママぶりを見せてくれるのか大いに楽しみです。前田さんはまだ若いのに、自分の人生の選択についてきっぱり潔い感じがして、その運命に対して据わった態度がオカン的とも言えます。その点が、この厳しい時代の育児の困難さをファンタジーの糖衣にくるんで見つめようとする『伝説のお母さん』という企画にもひじょうにハマっていると思います。

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      台所に立つご家庭の主婦が背中で見ているものと言われた往年のテレビでは、そんな「ながら」視聴者を振り向かせ、瞠目させる「定番の目印・フック」が何より貴重だと、テレビ草創期の作り手たちは気づいた。そのやり方がすっかり成熟した70年代後半ともなると、視聴者もやや食傷気味だったはずなれど、『快傑ズバット』ともなると、もはやヒーロー物のセルフパロディすれすれまで「やりきった感」が視聴者に痛快さと笑いを呼んだのだと思う。また、そういうフレームはすでに始まっていた戦隊物的な東映様式なのに、フレーバーはかなり日活無国籍アクション(これは実は『キカイダー』のジローでもおなじみだった石ノ森原作の嗜好に由来)というアマルガム感覚も異質だった。また映画では二軍的な宮内洋さんが、テレビ映画では存分に決めてやるという気概や工夫の熱意が奏功していた。

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      この記事で興味深いのは劇場入場者数が「48年」ぶりの数字を記録したという点で、実はその48年前の1971年は、わずかその十余年前には黄金娯楽産業であった映画がテレビ普及やレジャーの多様化で地滑り的に凋落し、この年ついに邦画五社の雄・大映が倒産、日活もロマンポルノ路線に転換という、邦画の窮状きわまった年だった。今半世紀近くを経て、ようやくそこに戻ったということなのである。しかも、現在の動員数を増やしているのはごく一部のアニメ作品などであり、その一方でデジタル化は生まれる作品数を増
      やしたので、多くの映画がスクリーンからあぶれている。そのように到底安閑とできない現状にあって、大手映画会社にはいちだんと観客を「創造する」良質の作品を生む企画力が求められている。

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      バブル期終盤を彩ったこのドラマが放映からもう30年近くを経ているというのが驚きですが、その時を知らない世代によってリメイクされるのは(この作品がひじょうに当時の空気を背負っているので誤解されがちなれど)男女の恋愛の普遍的な主題をシャープに扱ったものなので、ひじょうに意義ありと思います。濃いファンも多くいるハードルの高いリメイクだけに、そこに果敢にトライしようとするプロデューサーの意気込みも伝わります。

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      前田さんの坊ちゃん、お母さまと対面しましたが、本当にかわいいお子さまで、お母さまも慈愛あふれる感じで前田さんをサポートされていますね。あのあたたかい雰囲気から察するに、ご主人も含めて一家で前田さんの公私を支える体制はバッチリできているように思いました。前田さんは復帰後もいきなり女優賞をいくつも獲得し、今後も女優としてさらに成長していかれるでしょうから、ぜひ心おきなく仕事に専心してほしいです。そしてまずは、この新しいドラマが楽しみです。

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      大河の衣装に目がチカチカするという苦情があると聞き、スタッフも大変だと同情した。そもそも衣装も建築もその時代当時ならかなり派手で色鮮やかなことが多いはずだし、またそういう観点とは別に最終的には想像の産物である大河ドラマをもう少しのびのびと楽しめないものかと思う。黒澤明の『影武者』『乱』などにも相当な色彩解釈の飛躍があったと思うが、それが作品世界を沸き立たせていた。大河にまるで興味のない若い世代がコスチュームプレイとして興味をもってくれることも期待できると思うので、スタッフには堂々今の意図をぶれずに貫いてほしいと思う。

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      宍戸さんはそもそも端正な二枚目、今で言う「シュッとした」面立ちだったのにあえて映画会社に無断で性格俳優的な方向での整形をしました。邦画黄金期にこの選択がどれだけベンチャーであったかというのは計り知れないことですが、これによって明らかに正調ヒーローの好敵手という確固たるポジションも築かれ、結果たとえば鈴木清順監督の『野獣の青春』『殺しの烙印』のような異色作でも主演を張ることができました。『殺しの烙印』に至っては、あまりのアヴァンギャルドさに監督が会社を追われるはめになりましたが、炊飯器の湯気に発情し、主役なのにみじめに死んでしまう異色のきわみというべきアンチヒーローを、宍戸さんは何の疑問もなく悠然と演じて素晴らしかった。宍戸さんを知らぬ若い観客は、きっとこれを観て驚嘆することでしょう。