朝日新聞、明治大学情報コミュニケーション学部清原聖子ゼミナール、Yahoo!ニュースの
フェイクニュース共同調査プロジェクト
「フェイク」を見抜く4つのポイント
2016年のアメリカ大統領選をきっかけに「フェイクニュース」という言葉に注目が集まりました。
Yahoo!ニュースは、この問題について明治大学情報コミュニケーション学部清原聖子ゼミナールと朝日新聞と協力し、「人々はどのような情報にだまされやすいか」について調査研究をしました。ニュースの元となる情報が正確かどうかを見分けるいわゆる「ファクトチェック」ではなく、「情報を受けとる人が注意すべき点は何か」ということに焦点をあてました。日常生活でニュースに触れる機会が多くない学生が、「だまされそうな情報」「怪しいけどSNSで拡散しやすそうな情報」などフェイクニュースの「種」になるかもしれない実例を収拾。その真偽を確認したうえで同大の清原聖子准教授、朝日新聞の記者とYahoo!ニュースの編集者が「デマ、誤情報、意図的な印象操作」などにあたる情報を抽出して類型化を試みました。
ただ、どれだけ情報を分類をしても、フェイクニュースを完全に見抜くのは難しいということがわかりました。
例えばSNSでは「シェア」や「いいね」が増えると、たとえフェイクニュースでも「真実かもしれない」と思ってしまうこともあり、結局は情報を受け取る側が「こういう情報に気をつけよう」という心の準備がないといけないからです。
ここでは、今回の調査研究のなかで発見した「こういう情報に気をつけよう」という注意すべきポイントを、「SNSを背景とした情報の流通」とフェイクに遭遇する類似リスクのある「個人売買を背景とした商品の流通」のそれぞれの事例を対比して、わかりやすくお伝えします。
情報の流通事例(フェイクニュース) | |
1. 新しい情報に出会えるかもしれないSNS 情報の受け手は「ニュースサイトにはない情報、ネタに出会える期待」などを持ってSNSを閲覧しています |
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2. フェイクニュースの発信者の意図 情報の受け手にとって、多くは有益な情報ですが、なかにはフェイクニュースがある可能性があります。 フェイクニュースは発信者の ・「だます悪意をもったもの」 ・「善意から流したもの」 ・「義憤・正義感にかられて流したもの」 ・「真実だと思って流したもの」 という様々な意図を持って伝わってきます。 |
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3. フェイクニュースの伝え方の特徴 フェイクの特徴のひとつが「裏付けのないラベリング」です。【拡散希望】や【○○の真実】といった、拡散を煽るような言葉がついていることがあります。また、関係ない動画やグラフなどの図表を引用していることもあります。 |
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4. 【被害の連鎖】二次流通 情報の受け手は、「自分は騙されない」と過信することがあります。そのままフェイクと気が付かずに「善意」や「怒り」で情報を発信し、自分もフェイクニュースの拡散者の一人となってしまうケースも。 |
商品の流通事例(フリーマーケット) | |
1. 安くて良い商品に出会えるかもしれないフリーマーケット 商品の買い手は「百貨店には無いような掘り出し商品に出会える期待」などを持ってフリーマーケットを訪れます |
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2. 偽物を売る販売者の意図 商品の買い手にとって、多くは有益な商品ですが、なかには偽造品、粗悪品などが紛れている可能性もあります。 偽造品、粗悪品は販売者が ・「だましてでも利益を得たい」 ・「偽物と知らず販売している」 という様々な意図を持って売られています。 |
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3. 偽物の伝え方の特徴 偽物と気が付かせないために、お客さんが買いたくなるような言葉で商品を脚色します。「最安値」「○○も使っている」など、商品以外の部分でアピールをします。 |
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4. 【被害の連鎖】二次流通 買い手は「自分は騙されない」と過信することがあります。偽物と気が付かず、オークションで転売したりする可能性もあり、その場合は自分も偽物の販売者となってしまうのです。 |
このように、インターネットには自分にとって有益な情報に出会える一方、見知らぬ誰かが流通させた「フェイク」に出会う危険性があります。
「出会う場所」、「発信者の意図」、「伝え方の特徴」に注意を払わないと、「フェイク」と気が付かずに情報を受け入れてしまいます。それどころか、自分が無意識にフェイクニュースの拡散者となる「被害の連鎖」も起きてしまいます。
上記で挙げた4つのポイントに気をつけながら、自分で情報の確からしさを判別できるようになることが、「フェイクニュース」に惑わされないためには重要なのです。
※この記事は朝日新聞社、明治大学情報コミュニケーション学部清原聖子ゼミナール、Yahoo!ニュースが共同で行ったフェイクニュースの共同調査研究をもとに作成されています。