Inside2015.12.25

スマホシフト、どれだけ進んだ? Yahoo!ニュース月間115億PVの内訳を解説

写真/アフロ

2015年も気がつけばあと残りわずか。皆さんは今年1年、どのようにしてニュースを見ていましたか?

昨年、Yahoo!ニュースでは月間100億PVの半数をスマホからのアクセスが占めるようになりました。それまでYahoo!ニュースといえばPC版のイメージが強かったことなどから、当ブログでご紹介した当時、読者の方々から「Yahoo!ニュースもついにスマホが上回るようになったのか」といった反響を多くいただきました。

あれから1年、今年Yahoo!ニュース全体のアクセスは月間115億PVを超える規模に成長しましたが、「スマホシフト」はどれだけ進んだのでしょうか。振り返ってみたいと思います。

PCとの差は1.5倍まで拡大

Yahoo!ニュース全体のアクセスのデバイス別推移を見てみます。

昨年の6月にスマホがPCを逆転して以降、PCとの差は徐々に拡大。今年の8月にはPCが前月比でほぼ横ばいの一方、スマホがグンと伸びており、PCの約1.5倍に達しました。8月の月間PVは119億超(過去最高値)だったため、そのおよそ6割がスマホからのアクセスが占めていることを考えると、非常に多くのユーザーにスマホが浸透しているということが伺えます。

またYahoo!ニュースの場合、30代以下の若いユーザーだけではなく、40代、50代以上からも多くご利用いただいているため、これまで若年層が中心だったスマホユーザーの年齢層が今年に入って40代、50代にも広がり、その結果がYahoo!ニュースの数字にも現れたともいえそうです。

スマホが伸びた一方で、PCからのアクセスは横ばい傾向でしたが、PCからのインターネット利用者は減少しているという調査結果も出ており、今後Yahoo!ニュースのPCユーザーの傾向にも影響が出ることも予想されます。

アクセスが伸びた原因は?

PCが横ばいで推移する中で、Yahoo!ニュース全体のアクセスが月間約115億PVまで達した、つまり前年比で約15%増となった主な理由は、今ご説明したようにスマホからのアクセス増加ですが、「世の中全体のスマホユーザーが増加していること」のほかに、何か要因はあったのでしょうか。いくつか挙げてみます。

アプリユーザーの伸び

まず、スマホからのアクセスに直結する、Yahoo!ニュースアプリのユーザー数の推移を見てみます。

Yahoo!ニュースアプリがリリースされた2013年7月から2015年10月にかけての月間利用者数(MAU)の推移を見てみると、今年は2014年、2013年に比べてユーザー数が伸びた年となりました。アプリでは、以前当ブログでご紹介した都道府県ニュースのタブがご好評をいただいているほか、今年は新たにリリースした「テーマ」機能のタブがアプリ内に実装されました。そうしたアプリ独自の機能へのニーズの高まりがアプリユーザーの伸びにつながったものとみられます。

アプリからの利用はスマホからのアクセスに直結するため、アプリユーザーの伸びがスマホの成長を下支えしているといえます。このブログをお読みの方の中には、Yahoo!ニュースに限らず「ニュースはアプリで見る」という行動が当たり前になっている人も多いのではないでしょうか。

Yahoo! JAPANトップページのリニューアル

Yahoo!ニュースにニュース提供社から配信いただく記事の個別ページの、Yahoo! JAPANスマホ版トップページからのアクセス(月間PV)の推移を見てみると、今年の5月以降に大幅な伸びがみられました。今年の5月を振り返ってみると、Yahoo! JAPANのスマホ版トップページがタイムライン型のUIにリニューアルされるという、Yahoo! JAPAN全体にとっても大きな出来事がありました。その影響がYahoo!ニュースの数値にも現れたとみられます。

Yahoo! JAPANスマホ版トップページのタイムラインについては、リニューアルした5月以降も、社会的に重要かつ注目度の高い記事を事前に予測する仕組みを開発してタイムライン上で見やすく表示するなど、社内のデータサイエンス専門チームが中心となり、編集や制作、開発とともに改善・研究を行っています。

ちなみに、個別ページ内の「関連記事」の送客数の推移を見てみると、2015年1~4月は前年の最高値を下回る月があったものの、トップページリニューアルの5月以降は持ち直し、増加傾向が続きました。

この関連記事(以下の赤枠部分参考)のリンク枠は、配信をいただく際にニュース提供社側がそれぞれ独自に設定しているもので、提供社側のサイトに掲載されているコンテンツを見ることができるものです。

ニュースに対するアクションは?

今年のYahoo!ニュース内でのニュースに対する「行動」にまつわるデータについてもみてみます。

こちらは、「コメント」機能についている「そう思う・思わない」ボタンが押された数と「意識調査」の投票数を合わせた数値の推移です。スマホからのアクセスがPCを上回った前年もこちらはほぼ横ばいで推移していましたが、今年は、「投票する」や「コメントする」といったニュースを読んだ先の「ユーザーの行動を示す数値」にも、スマホユーザーの増加傾向が反映された年となりました。

「夏休み」の時期に相次いだ重要ニュース

冒頭のグラフ(Yahoo!ニュース全体のデバイス別の月間PV推移)で、8月以降のアクセスの大幅な伸びについて触れました。夏休みと重なる時期ということもあり、ニュースの量が減少するため、例年、この時期はアクセスの低下が見込まれます。

一方で今年の8~9月を振り返ってみると、大阪府高槻市で中1の少年少女が殺害された痛ましい事件や、東京五輪エンブレムの使用中止決定のほか、茨城や栃木、宮城などで甚大な被害が出た豪雨のニュースなど、全国的な注目を集めるニュースが相次いで報じられました。

編集部が「号外」と判断した重要ニュースは、Yahoo!ニュースアプリの通知機能を通じてリアルタイムに受け取ることができる「プッシュ通知」でもお届けしておりますが、特にユーザーの命に関わる9月の豪雨のような災害時には、現場の状況の変化に応じて複数回のプッシュ通知を送信するなどの対応をとりました。プッシュ通知で直接お届けしたニュースは通常のニュースよりもアクセスが伸びることや、ユーザーのニュースそのものへの注目度の高さなどが、アクセス数にも影響したものとみられます。

2016年のYahoo!ニュースは?

ここまでYahoo!ニュースの今年のデータの一部をご紹介してきましたが、もちろん、アクセス数だけがYahoo!ニュースを表すものではありません。

先日開催しました「オーサーカンファレンス2015」で、社長の宮坂学や「Yahoo!ニュース 個人」責任者が触れたように、コンテンツの「質」の面についても今後一層重視し、皆様によりよいコンテンツをお届けするための取り組みを進めてまいります。

これまでYahoo!ニュースの大きな価値軸の1つに、たくさん見られるようになりたいというのがありました。インターネットでニュースを見てもらいたいという思いでずっとやって、それはかなりできるようになり、今年は『たくさんの人が見れば良いニュースなのか』を考える1年でした。

ステルスマーケティングの問題などもあり、優れたニュースサイトというのは当たり前ですが内容が良くないといけないという原点に立ち返りたいと思います。ユーザーが知りたいニュースに応える一方で、知るべきもの、議論するものを伝える点は引き続き追求したい。量から質への転換を色んな面で体現していこうと思います――「書き手をエンパワーする――「Yahoo!ニュース 個人」オーサーカンファレンス2015を開催しました

1PVの価値は多様化していて、スマートフォンの登場で動線が劇的に変わっている。1年位かけて取材した記事と、テレビを見て書いた記事が等価なのかという問題は常にあります。PVという指標は万能ではないと、Yahoo!ニュースを運営している中で思う。どう解決するかという時に定性的な判断が必要になってくる。

例えば「『Yahoo!ニュース 個人』はYahoo!ブログでやればいいじゃないか」という話ももちろんあると思いますが、そこにガイドラインや書き手の選別を加える事で一つのメディアになっていくというのが「Yahoo!ニュース 個人」の実験だと思っていて、これをどんどん突き詰めていって広めていきたいと思います――「『PVという指標は万能ではない』~ネット論壇著名人らが語る炎上・言論・メディア【下】

今後も多くのユーザーの皆様にご利用いただいているサービスとして、皆様によりよいニュース体験をお届けすべく、スタッフ一同尽力して参ります。2016年も、Yahoo!ニュースをどうぞよろしくお願いいたします。

Yahoo!ニュースからのお知らせ

2016年1月10日(日)午後1時より、「ニュースメディアをめぐる<雲>ゆきとデジタルメディアの未来」と題し、日経電子版、Yahoo!ニュースがそれぞれの事業やメディアの未来について語り合うオープンフォーラムが開催されます。参加費は無料(要予約)。 詳しくはこちらをご覧ください。

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